2008年12月13日

ダブルスタンダードか否か?


誰のための『設備設計一級建築士』
に対するコメント返答で
「意匠屋に甘く、設備屋に厳しく解釈するダブルスタンダード」
と書きましたところ、「意味不明」とのご指摘がありました。


確かに単語の用法がおかしいかも知れません。
「ダブルスタンダード」という言葉はそぐわないのかも知れません。


で、どのような事例に関してワタクシがそう思うのか、具体例をお示ししたほうが
わかり易いかと思いました。

以下に事例を列記してみたいと思います。
順不同。思いついた順。記載順に意味はありません。
なお、(   )内は、けろ の感想です。


最初にお断りしておきます。
本事例は、意匠設計者全般に多く見られる一般的傾向として示しております。
意匠設計者であれば必ずこうだ、と断定しているわけではありませんし、すべての事例を地で行くような方が居ると言うわけでもありません。設備技術者も持ち得るものでもあります。

枝葉末節の「例外」については無視しております。
「本質的傾向」についての議論であることをご承知おき下さい。



……では、始めていきます。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

【A.設備内容の説明】

  意匠A「設備図面を外注しましたが、設計は飽くまで私が責任を持って
      遂行しています」
  施主A「では、空調の方式について説明していただけますか」
  意匠A「詳しい事は設備の者から説明させます」

  (せめて概要くらいは説明できないと「責任を持って設計」したと言えない
   ような気がしますが)

  意匠A「わたしが責任を持つのですから、良いのです」

  (良くわからない事について責任を持つのって、大変じゃないですか?)


【B.施主完成検査】

  意匠B「設備も含めて、工事監理は私が責任を持って履行しました」
  施主B「あの配管は何の為のものですか?」
  意匠B「さあ、何でしょう。設備業者に訊いてみましょう。設備屋さぁ〜ん!」

  (施工済の管が判別できないなら、設計図通り施工されているか、どうやって
   確認したのでしょうか)

  意匠B「『私の責任において』設備担当者に確認させた。だから問題ない」

  (丸投げでも「責任を持って」と言えるんですね)


【C.最低限の知識】

  意匠C「設備屋は建築を知らない。建築に関する最低限の知識が無い」
  設備C「そうですよね。でも意匠屋さんは設備を知りませんよ」
  意匠C「責任を持って専門家に任せるから問題ない」

  (設備は建築に関する最低限の知識に含まれないんですかね)


【D.設計製図】

  設備D「建築士試験には設備製図なんで出ないですもんね」
  意匠D「設備に関する知識は学科で問うているから問題ない」
  設備D「でも設備屋は意匠製図が出来ないと設計資格者になれないん
      ですよね」
  意匠D「試験レベルの意匠製図も出来ないようじゃ最低限の知識があるとは
      言えない」

  (意匠製図だけが製図に関する最低限の知識なんだ……?)


【E.実務経験】

  国交省「『設備設計一級建築士』を創設します。設備設計に関して5年の
      実務経験を有する方が受講できます」
  意匠E「普段の設計・監理は私の責任で設備も含めて一括でやっている。
      だから設備に関する5年の実務経験があるのだ。受講するぞ」
  国交省「それで問題ありません。実務経験内容については一々検証しません」
  意匠E「何か、設備に関する資料あったら貸してくれないか。建築設備士の
      製図課題とか」

  (実務経験があるんじゃないんですか?)


【F.設備設計の外注】

  意匠F「建築設備士は、設計資格じゃない。建築士の下位資格で、入門資格の
      ようなものだ」
  設備F「その通り、法律でそうなっている通りですよね」
  意匠F「ところで、この物件、設備設計を頼みたいのだが、今混み具合はどう?」

  (「設計資格じゃない」のでしょう?)

  意匠F「わたしが言っているのは士法上の「設計」じゃなくて、『設備設計関連
      業務』の事だ」

  (単なる言い換えに過ぎないと思います)


【G.設備設計一級建築士】

  意匠G「飽くまで法適合確認ができるかどうかの資格だ」
  設備G「『設備設計』を冠した資格で、実務経験を前提に授与されているの
      だから、設計できるんじゃないですか」
  意匠G「別にスペシャリストと言うわけではないのだ」
  設備G「じゃあ、設計できないんですね」
  意匠G「いや、私の責任において建築士法で言う所の『設備設計』ができるぞ」
  設備G「じゃあ、設備の設計ができるんですね」
  意匠G「実務は専門家に任せるのだ」

  (設計できるんですか、できないんですか。どっち?)


【H.視野】

  設備H「基準法や士法は意匠設計的視野に基づいて構築されており、
      設備的な視野に欠けている。
      だから、設備技術的な面では不都合が多い。
      設備的な視野も加えて不都合を解消していくべきだ」
  意匠H「各法は設備的視野で作られたものではない。従って
      そのような視野で物事を捉えるべきではない。
      設備技術者は意匠的視野に欠けており、視野が狭い」

  (意匠的視野に欠けていると視野が狭いと言う。
   設備的視野に欠けていても視野は狭くないと言う。これいかに)


【I.設備技術者の業務】

  意匠I「設備関連の各資格は設計資格ではない。だから設計できない。
      建築士の下で補助として設備設計関連の業務を行うだけだ」
  設備I「設計を行わないのだから、非建築士で問題ないし、
      建築士事務所勤務である必要もありませんね」
  意匠I「そんな無資格無登録事務所に責任ある仕事を任せられると
      思うか」
  設備I「だって責任は建築士が負うんですよね」
  意匠I「だが実質的な設計は彼らが行うのだから」
  設備I「でも法的には設計じゃないんですよね」
  意匠I「法的には。でも法の趣旨を読み取るべきだ」
  設備I「法の趣旨では、建築士が実務に詳しくあるべきなのでは」
  意匠I「実務の詳細まで熟知できるはずがないではないか。
      実態を見ればわかるはずだ」
  設備I「実態を見れば、設備設計は設備技術者がおこなっていますね」
  意匠I「だから違法状態だと言っている」
  設備I「であれば、設備技術者が建築士事務所に雇用されていようと
      されていまいと『違法状態』に変わりはありませんね」
  意匠I「いや、建築士事務所勤務であれば、建築士の統括の下で
      業務をしているから問題ない」
  設備I「その部分は外注でも問題ないですね」
  意匠I「いや、大ありだ」
  設備I「なぜ?」
  意匠I「無資格無登録事務所だから」

  (結論ありきで、理由に整合性がありませんが)

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ひとまず、このくらい提示しておきます。

設備屋の立場では、何か変に思えるのです。
何か、意匠屋さんの都合の良いように適当に言いくるめられているように感じてしまうのです。


意匠設計者に関してモノを言う場合と、
設備技術者に関してモノを言う場合とで、
基準となる線引きが変わってくる。

だから、ダブルスタンダード(二重基準)。

いえ、時と場合によってその線引きすらも変わりますから、
マルチスタンダード(多重基準)もしくは
ノンスタンダード(無基準)と言うべきかも知れません。


いずれにせよ、現行の建築法規体系は、この『意匠設計視点のダブルスタンダード』に基づいて構築されております。
よって、他分野の者や一般国民には大変わかりづらい法体系になっております。

だから、もっとわかり易い制度、法体系にしたほうがいいと思うのです。


少々(いえ、多々)頭の弱いワタクシでもわかるように……。


(「ダブルスタンダードか否か」おわり)
posted by けろ at 04:05| Comment(18) | TrackBack(0) | 建築士制度 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
けろ様、雅彦さんの場合はダブルスタンダードという事では無く、用語自体の解釈が違うだけではないでしょうか?(雅彦さんが、普通の日本語を理解できていないと、よく発言されるのはそういう意味だと思います)

雅彦さんの定義する(されているであろう)「建築士でなければ出来ない設備設計」→【設備システムの計画をたてる事】
雅彦さんの定義する(されているであろう)【無資格・無登録事務所】→【設備システムの計画をたてる事】を行っている『建築士事務所』でない設備設計事務所
雅彦さんの定義する(されているであろう)「『建築設備士』の業務」→『建築士事務所』に所属している場合に限り、【設備システムの計画をたてる事】ができる。(もしくは、【設備システムの計画】に対して意見をいえる)
【無資格・無登録事務所】に対する雅彦さんの見解(であろう事)→【無資格・無登録事務所】が不当に安い金額で受注する為、【有資格・登録事務所】の正常な営業活動を阻害している。(又は【有資格・登録事務所】が適正な金額で仕事を受注できない)
日本設備設計事務所協会に対する雅彦さんの見解(であろう事)→【無資格・無登録事務所】を会員として容認し、一般大衆に誤った情報を提供している。(もしくは、【有資格・登録事務所】の正常な営業活動を困難にしている)
ほかにも、いろいろな意見を表明されていますが、主要なものは上記だと思います。(雅彦さん、間違っていたら訂正をお願いいたします)

私の上記の内容の定義は、以下のとおりです。
「建築士でなければ出来ない設備設計」→建築基準法・政令・省令で規定された、『建築確認申請』に必要な『建築設備』の『設計図書及び計算書』の作成は建築士でなければならない。(なお、『建築設備士』の意見を聴いて『設計図書及び計算書』を作成する事が可能である)
【無資格・無登録事務所】→雅彦さんの定義では、あまりにも広範囲すぎる。 『建築士事務所』が建築設備設計関連業務委託を行う事は、違法行為とは断定できない。(少なくとも、『建築設備士』の所属する設備設計事務所は、【設備システムの計画をたて】、『建築士事務所』に対して、報告書・計算書・計画書・図面を提出する事が可能と思います)
【『建築設備士』の業務】→『建築設備設計』に関して、自己の知識の範囲で、建築士に適切な意見を述べる事。
【無資格・無登録事務所】に対する見解→【無資格・無登録事務所】の定義が広範囲すぎるので、一律に論ずる事は不可能です。
日本設備設計事務所協会に対する見解→公益法人として、監督官庁に認められている法人であり、定款で定義する会員の資格に問題があるとは、解釈できない。(したがって、会員資格に問題があり、設備設計事務所に対する誤った知識を一般大衆に与えているとは言えない)
「設備設計」(建築基準法で定義する、設備設計一級建築士でなければ設計できない『設備設計』の事ではありません)及び設備設計者に対する解釈もかなり相違がありますが、これは充分議論されているので、いいでしょう。(雅彦さんが、議論されているのは主に建築士としての設備『設計者』ですので、意見の相違はしょうがないでしょう)

雅彦さんの見解は多分、現在の建築士法・建築基準法の運用がダブルスタンダード(【無資格・無登録事務所】・、【有資格・登録事務所】を同等に扱っている事)であり、ご自身の考えは、【有資格・登録事務所】しか認めないので、ダブルスタンダードではないわけです。
雅彦さんが考える、【建築士である設備設計者】は、【設備システムの計画をたてる設計者】であり、細かい技術計算や、設備設計図を作成する設備設計者は建築士資格不要なので、これもダブルスタンダードではないですね。
したがって、『設備設計一級建築士』に、細かい技術計算や設備設計図の作成の知識は不要(又は求められていない?)のも、雅彦さんの見解としては、一貫しているわけです。
雅彦さん自身は、すごく正直な人だと思いますね。
(上記は、私が雅彦さんの書き込みから、解釈した内容なので、間違っていたら訂正をお願いいたします。)

注.文中【 】内は雅彦さんの定義もしくは、用語、「 」内は一般的な用語、『 』内は建築士法・建築基準法及び、関連政令・省令の用語を意味します。
Posted by masa at 2008年12月13日 18:44
masaさん、具体的に整理していただきありがとうございます。

> 用語自体の解釈が違うだけ

なのですが、その解釈過程に「二重基準性」を見出しております。

ある部分は法を根拠に、他の部分は独自の法解釈を根拠に、別の部分は実態を根拠に持ってこられます。

ご自身のお考えは一貫しているのでしょうが、その根拠が一貫していない。相互に矛盾した要素を内包している。ワタクシはそう感じたので、「二重基準」と表現いたしました。

もっとも、かく言うワタクシ自身が同様のものを内包している可能性もある(自分ではわからない)のですから、別のご意見を拝聴することは大変有り難いことでもあります。
Posted by けろ at 2008年12月15日 10:29
散々愚痴を聞かせていただきました
現在の多くの建築士に設備設計能力が無いことは私も認めておりますし、そのことが既知の事実であったとしても、今回設備設計一級建築士の考査によりデ−タ的にもさらにはっきりしたと思います.
自称、建築設備の設計、監理に5年間の実績のある建築士で合格率3割ですか?それ以外の建築士を含めると数値は間違いなく下がる
だから、設備の設計は個人住宅(2級建築士相当)に限る、もしくは建築設備士に意見を聴くことを義務付ける等資格制限しても全然おかしくない状況だと思います

>設備屋の立場では、何か変に思えるのです。
何か、意匠屋さんの都合の良いように適当に言いくるめられているように感じてしまうのです。
意匠設計者に関してモノを言う場合と、
設備技術者に関してモノを言う場合とで、
基準となる線引きが変わってくる。
だから、ダブルスタンダード(二重基準)。

なるほど、ダブルスタンダ−ドとはそのようなことだったのですか?

今まで何度も云っていることですが、もう一度ハッキリといいます
設備技術者の視線で建築基準法を見ないでください。この法は建築物の最低基準を定めた建築技術者のための法です

建物に要求される機能
1)雨風を凌ぐ(地震、台風から生命、財産を守る)
2)火災の被害を防ぐ(発生を押さえ、起きたときには消火活動や避難の妨げになるものを作らせないようにし生命、財産を守る)
3)健康的な生活が営める
4)快適に過ごすことができる
等ありますが、基準法においては最低基準ということで、1)〜3)までが規定されています

何度も云いますが、快適に暮らすための設備(空調、IT等)は基準法外なのです
それを設備技術者の立場からみるとかなり位相のずれが生じます
立場が違い視点が変われば見えることに差のあるのはしようのないことですが、基準法が建築のための最低の基準であるわけですから、建物を作る建築技術者と云う立場でみてください


話は変わりますが、設備設計一級建築士の法適合確認に際し、masa氏はこれは設計に当たらないから事務所登録は不要である。と述べられていましたが、私もけろ氏同様、設計者であるのに行為が設計ではないということが理解できません
事務所登録が必要なのは設計、監理だけではなく
 ■建築工事契約に関する事務、建築工事の指導監督、建築物に関する調査若しくは鑑定又は建築物の建築に関する法令若しくは条例の規定に基づく手続の代理■が含まれます
このことから、事務所登録なしに適合判定をするのは違法だと思っていましたが、下記のような技術的助言がでていました

http://www.kenchikushikai.or.jp/

以下はその抜粋です

(2)法適合確認を行う場合の建築士事務所登録
 士法第20条の2台2項又は第20条の3第2項の確認は、士法第21条に規定する設計に含むこととされるから、これを業として行おうとする場合には、建築士事務所の登録が必要になる(士法23条第1項)

サポ−トセンタ−の話があるようですが、この助言を見る限り、サポ−トするのも無償で業として行う行為に当たり、違法となるような気がします

Posted by 雅彦 at 2008年12月15日 21:21
雅彦さん、技術的助言の解説ありがとうございます。
国土交通省は、建設工業新聞(平成20年6月18日)の報道発表とは方向転換したという事なのですかね。
当時の報道では、静岡県のNPO法人「静岡県建築技術安心支援センター」が、『設備設計一級建築士』が行うべき、『設備設計』に関する『法適合性確認』を実施する予定となっていたのですが?(国土交通省も、建築設備技術者協会と連携して、『法適合性確認』業務を受託する組織を設置すると記事には載っていました)
現在、『法適合性確認』を受託する組織(『一級建築士事務所』以外のもの)はありません。
国土交通省の技術的助言をうけて、そのような組織を作るのは不可能と判断したのでしょうか?
『設備設計一級建築士』・『構造設計一級建築士』は、建築士法により、業として『設計』・『法適合性確認』を行わない場合も、定期講習の受講義務がありますが、『法適合性確認』が『設計』に含まれるならば、『法適合性確認』を行う場合は、『一級建築士事務所』に所属する必要があるので、『建築士』と同様、業として、『法適合性確認』を行う場合は、定期講習を受講済みでなければいけない事にしてあげないと、不公平のような気がします。
Posted by masa at 2008年12月16日 00:25
>『法適合性確認』を行う場合は、『一級建築士事務所』に所属する必要があるので、『建築士』と同様、業として、『法適合性確認』を行う場合は、定期講習を受講済みでなければいけない事にしてあげないと、不公平のような気がします。

一級建築士の講習で兼用という意味でしょうか?
それとも 【行う:】 は 【行わない】の間違いでしょうか?

構造設計一級建築士・設備設計一級建築士交付申請のご案内に構造設計・設備設計一級建築士証の交付を受けると講習が義務付けられ、返納すると講習は不要と書いてあります
やはり、一時的には登録不要という判断があったのでしょう
このブログの一番最初のレスに建築士を雇用し設計関連業務(積算)を業として行うなら事務所登録が必要と仔細されたQ&Aがあると書いていましたが、確認すると削除されていました
法適合判定を事務所登録不要で行うために削除したのかと思っていましたが・・・

とにかく、自分達の都合により運用を変えるのが役人達です
この度、設計補助業務の無登録事務所への再委託は可、ということも合わせて通知されていますが、これはちとまずいんじゃないでしょうか?
設計補助を形態によらず業務範囲で区別すると事務所内でも無資格者が設計することが出来なくなるわけですから
それとも、設計補助と設計補助業務は別だというつもりでしょうか?

また、このことで若干なりとも有効構造設計・設備設計一級建築士の数が減り、また3(4?)年の間の増加が制限されることになり確認申請現場は影響を受けると思いますが、無登録事務所の技術者が3年間は登録事務所に所属しなければならなくなり「無資格・無登録事務所が多少なりとも減少するのは私の望むところではあります

けろ氏はまた「設備に不利で、不公平だ」と口角泡を飛ばすことでしょうが・・・
Posted by 雅彦 at 2008年12月16日 06:27
愚痴……ですかね。 まあ、そうだと思います。


> 設備技術者の視線で建築基準法を見ないでください。この法は建築物の最低基準を定めた建築技術者のための法です

この説明ですと、「設備」とは建築の要素ではなくて、建築の枠外にあるかのようです。

ワタクシは、設備技術者「だけ」の視点で見るべきだ、とは言っておりません。設備が建築の一要素である限り、設備的視点を入れないとあちこち不都合が出る、と言っております。現在は、意匠設計者視点に偏重しており、設備的視点が極端に欠如している。だから、実際の建築物にそぐわない部分が生じる。

設備技術に深くかかわっていない意匠設計者が何も問題点を感じないのは、仕方ありません。だから、設備屋が声を上げているのですが。


放射線装置の技術発展に伴い、医師法上問題が出てきた時には、放射線技師は法改正を訴えるのではないでしょうか。それなのに放射線装置や技術に詳しくない一般の医師たちが「医師法は医師のためのもの。技師が口出しすべきではない」と言えますか。まず意見を聴くべきではありませんか。


一方で「設備も建築の一部だから建築士が責任を持つのだ(現行法上当然です)」と言い、一方で「設備は建築法規上どうでもいいのだ」と言う。
現行法上「設備はどうでもいい」となっているとしたら、しかるべき改正を要するのではないか、と思います。


法適合確認業務が「設計」に当たるか当たらないか、明瞭ではない。
……かように、今般の諸改正は到らない点が多いのです。建築士法の根幹にかかわる「業」の部分なのに、いい加減過ぎますよね。


> 事務所内でも無資格者が設計することが出来なくなる

あれあれ? 無資格者は「設計」して良いんですか?

『無資格者であっても建築士事務所に雇用されている者は設計を行うことができる』法的根拠をご教示願いたいのですが。


【無資格・無登録事務所】が減少した分、設備の判らない一級建築士を雇用して『一級建築士事務所登録』をした設備設計事務所(現行の設備設計事務所にも多々あるようですが)が増えると思いますよ。現在の意匠設計事務所に、設備と電気の技術者を雇う余裕のあるところは多くありませんから。

最近の傾向では、フリーの人間に「契約社員」という名刺を持たせて、あたかも自社スタッフであるかのようにするんでしょう。実態は変わらないままで。


とにかく無登録が減って、現在よりも遙かに状況が改善しますね(皮肉です)。
Posted by けろ at 2008年12月16日 09:47
雅彦さん、まわりくどい表現になってしまって、すみません。
国土交通省の技術的助言により、設備設計一級建築士・構造設計一級建築士の法適合性確認が、建築士法第二十一条に規定する『設計』に含まれる事になったので、定期講習の受講条件に関しては、建築士・設備設計一級建築士・構造設計一級建築士は区別する必要は無いのではないかという事です。
技術的助言が出る前は、多分、国土交通省も、設備設計一級建築士・構造設計一級建築士は、『法適合性確認』のみを行う場合が想定されるので、『法適合性確認』が『設計』に含まれないと解釈された場合は、建築士事務所に所属しない事が想定されるので、設備設計一級建築士・構造設計一級建築士に限り、すべて定期講習を義務付けていたはずです。
今回の技術的助言により、『法適合性確認』は建築士法第二十一条に規定する『設計』に含まれる事となったので、『法適合性確認』を行う場合も、設備設計一級建築士・構造設計一級建築士は建築士事務所に所属する必要があるので、「設備設計一級建築士・構造設計一級建築士(建築士事務所に所属する場合に限る)は、それぞれ、設備設計一級建築士・構造設計一級建築士の定期講習を修了しなければいけない。」という扱いにしても問題無いのではないでしょうか?
Posted by masa at 2008年12月17日 01:05
「バカに付ける薬はない」ということを実感いたしました
私にささやかな悟りを与えてくださったあなたに感謝いたします

>現行法上「設備はどうでもいい」となっているとしたら、しかるべき改正を要するのではないか、と思います。

建築基準法は最低基準であるため、快適な暮らしのための設備を(一部を覗いて)規定するには相応しくないのです
もし、「快適な建物を造る法案」というものができたならば設備はその中心にいるでしょう
このような、相応しくない法を作れ、いう辺りに設備屋の視点が見られるのであり、それを自覚できない時点であなたはどうしようもない「設備屋根性」に凝り固まった人間となっているのです
建築技術者の視点を持てるべくもないので、この件に関してはこれ以上の説明は致しません。繰り返し、繰り返し今までに説明を行っておりますから、気になるのであれば過去の私のレスを読み直してください


>> 事務所内でも無資格者が設計することが出来なくなる

つまり、無資格でも建築士事務所所属であれば設計ができる、ということですが
あなたも以前フォ−ラムで、正規の営業を行うために建築士など雇う余裕など、設備事務所にはない。という趣旨のことを書かれていましたが、何故雇えば正規の営業ができると思ったのでしょうか?
登録事務所に所属するとはこれと同じことです
前にも云ったように法に設計補助という規定が無いので法的根拠はありません

設計とはそのものの責任で設計図書を作成すること、これが、設計の定義です
これは、建築士法における定義ではありますが、設計全般に云えることです
いや、設計以外でも有資格者が責任を持つことで、その有資格者に与えられた独占権限が発生することは当たり前になっております

1)法律を作るのは国会(議員)ですが、実際の作成作業は官僚が行います
2)税理士事務所、会計士事務所も実際の書類を作っているのは未資格の職員が殆どです
3)調理場においても資格を持たない板前(皮むき、煮方、焼き方等)が料理を作っております

これらはすべて、資格を必要とする業務なのですが実際の作業は、有資格者の指示の元、あるいは意を汲んで未資格者のものたちが造って降ります
しかし、これが世の中に出るには有資格者が責任を持つことが必要になります

1)法なら国会の承認(国会議員の多数決)
2)税理士、会計士資格者の承認(印)
3)料理長の許可

司法書士、行政書士も同じ事です
税理士事務所、会計士事務所、司法書士事務所、行政書士事務所、そして建築士事務所においてはその有資格者の補助として事務所いったいとなって業務を行い、そのことで未資格者たちは知識、技術を身につける場となっているのです
これは法律以前の問題だと思いますが、そうは思いませんか?つまり、法的な登録事務所自体が一人の有資格者と同格となっているということです

各事務所ともその有資格者の責任のもとで業務を行っているのです
しかし、責任を持つためにはそのための資格が必要となってきます
選1)の法であれば挙で選ばれた国会議員であり、調理師、税理士、司法書士、行政書士、そして建築士事務所においては建築士である管理建築士が必要となってくるのです

しかし、これはあくまで同じ事務所の中で、ということが必要条件になると思っていますので、今回の技術的助言のように同一事務所内という形態ではなく、建築基準法に規定されている設計、と規定はされていないけど建物を造るために必要な図書(これを設計補助業務と称している)と分けてしまうことで、あなたが指摘するようなことが起こってくるのではないか、という不安が心を過ぎったのです

基準法に規定されていない図書を作る作業を設計関連作業、基準法で規定されている図書を事務所内で作成する作業を設計補助、という私の認識であれば説明がしやすい

私の意図はそういうことです

           判ってくれないと思いながら書く虚しさよ
                                by雅彦
Posted by 雅彦 at 2008年12月17日 01:15
ワタクシがバカであることは否定しようがありませんので、批難は甘受いたしましょう。

本項は「二重基準性」について記したものです。多分に「設備屋根性」視点ですので頭ごなしに否定したいお気持ちはわからないでもありません。しかしながら、内包する「多重基準性」に対しては、それなりの釈明を求めたい所です。
意匠とか設備とか解釈とか運用とか言う前に、論理的に矛盾していないかを問うているのですから。

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設備が主に「快適な暮らしのため」であると認識されているのならば、まさにその認識の不備をワタクシは突いております。
たとえば自動制御については「建築設備」として定義されていないが、区画貫通の配管等については規定がある。適切な制御により他設備の法適合が確保される場合がある。
意匠屋さんが全知全能ではない以上、今まで気づかなかった視点でも「絶対に不要」とは言えないと思うのですけどね。

設備の視点を持たない人に「設備の視点は不要だ」と言われても、説得力がありません。

ワタクシは意匠「だけ」の視点では「不十分」だと主張しているのであり設備屋視点のみが重要だと言っているわけではありませんから。……こういう部分は読み飛ばしされてしまうようですけど。

「建築基本法」制定の機運もあるようですから、建築に関わるすべての視点を棚卸すべきと思います。

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> 法に設計補助という規定が無いので法的根拠はありません

だから、雅彦さんのご意見は個人的意見にしかならない。なのでこの際、誤解無きよう法に明記したら良い。
ワタクシはそう思うわけです。

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> 資格を必要とする業務なのですが実際の作業は、有資格者の指示の元、あるいは意を汲んで未資格者のものたちが作っております

ワタクシはこれを否定していません。
(でもその資格と内容によりますね。まとめて論じるには無理があります。医師の指示のもとで手術をする人の話は聞いたことがありませんから)
建築士による統括を否定しているのではないのですよ。

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> 基準法に規定されていない図書を作る作業を設計関連作業、基準法で規定されている図書を事務所内で作成する作業を設計補助、という私の認識であれば説明がしやすい

「説明しやすい」のは、おっしゃる通りです。
でも、そう書いてない。
だから、法に明記すべきなのです。
そう思いませんか?

雅彦さんの意見が絶対正しいから、法の記述は今のままで良い。違う捉え方をする者はただのバカだから無視すれば良い……そんなことはありませんよね?

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> 判ってくれないと思いながら書く

お互いさま、という意識を持っていただけると良いかと思います。
でも全く書かないよりも、書いた方がより明瞭になるし、思考の整理過程が文として残ります。
だからワタクシは「虚しく」は思いません。

だから、雅彦さんには感謝しております。
(別にMではありません。設備図にはM−00と図面番号を振るとしても)
Posted by けろ at 2008年12月17日 12:30
masa氏へ

先のレスは当然ながらけろ氏に対してのものです
いくら、普通の平易な日本語の読解力に難のあるあなたでもそれくらいは判っていただけると思っておりますが・・・

定期講習の件は
構造・設備設計一級建築士は無条件に受講を義務付けられているけれども、法適合判定を業務とするには事務所登録する(事務所に所属する)必要があるから(他の建築士のように)事務所に所属するもののみに受講しなければならない、としてもいいのではないか?
ということでしょうか?
適合判定をする可能性がある建築士は受講すると思いますので、それでも構わないとは思います
現に、事務所登録が必要なら取るのじゃなかった、などという人もいるようですから

一つ、気になることがあるのですがもし判れば教えてください
建築士(1、2、木)の定期講習ですが、内容は同じで修了考査の合格基準点が各資格(1、2、木)で違うようなのです
このとき、一級に必要な点数を取れなかった場合は設計業務が出来ない、とされています
この場合、2級に必要な点数が取れていたなら
1)無条件に二級建築士の仕事は出来る
2)二級建築士を持っていて、二級建築士でも申し込んでいれば二級の仕事は可
3)無条件に二級の仕事は出来る
どうなんでしょう? これは木造建築士でも同じ事ですが・・・


以下はけろ氏にです

>「説明しやすい」のは、おっしゃる通りです。
でも、そう書いてない。
だから、法に明記すべきなのです。
そう思いませんか?

誤解のないように云っておきますが説明しなければならないのは、無資格が何故登録事務所内では実質的な設計ができるかと、いうことではありません
先に述べたように、建築士が責任を持つことで設計図書の作成は無資格者が行っても問題ないのです
説明が困難なのは、では何故事務所外なら駄目なのか?という問いに対しての説明が出来ないということなのです

と、ここまで書いて気が付きました
実に単純なことです

何故、技術的助言で「設計補助業務」の再委託は構わないと告知しなければならなかったのか?
それは、新法で設計の再委託を禁止したために、誰かさんのようにコアである設計と設計関連業務の区別が付かず、どのような設計図書でも再委託は駄目だと考える行政や機関、そして事務所に対してのメッセ−ジです
もちろん、設計補助業務の線引きに明確でないところは残っておりますが、少なくても法に規定されていない設備図書をはじめとする関連業務の再委託が違法ではないとメッセ−ジを出したわけです

いくら有資格者が責任を持っても、管理建築士を持たない無登録事務所への再委託は違法である(ただし、設計補助業務は覗く)
本当に単純なことでした

自動制御の図面も駄目だというけろさん
そう思うのであれば、あなたは、もう設備設計の仕事はやめてください。完全に違法行為ですよ

追伸
改正建築士法において明記された無登録事務所への再委託の禁止が実効的に働き始めたということは、それ以前であれば【違法とは云えない】状態であったといえます
すなわち、改正以前に私が違法と云っていたことは、間違いであったということを認め、この場でお詫びいたします  m(__)m

しかし、現在ははっきりと 【違法です】
Posted by 雅彦 at 2008年12月17日 23:02
雅彦さん、ご指摘のとおり、「建築士事務所に所属する場合に限り、定期講習を修了している必要がある」という運用でいいのではないかという意味です。
『設計』・『法適合性確認』を行わない、『設備設計一級建築士・構造設計一級建築士』は、建築士事務所に所属する必要が無いので、定期講習は受講しなくても良い。 建築士事務所に所属する場合は、定期講習修了済みか、直近の定期講習を修了する必要があるという運用にすればいいのではないでしょうか?
建築士の定期講習については、複数の建築士資格を持つものに、それぞれの建築士資格の定期講習修了を義務付けるのは、負担が多すぎるので、建築士定期講習の内容は共通として、修了考査の判定基準を建築士資格毎に変えるという運用なので、一級建築士の免許しか所持していない場合は、修了考査の合格判定を得られなければ、建築士の業務はできないという運用しかできないのではないでしょうか?(建築主は、あくまで一級建築士として『設計』又は『工事監理』の委託を行っているので、一級建築士の能力が無いと判断された場合は、建築主は委託を行わないでしょう)
特例で、二級又は木造建築士免許に書き換え可能としたとしても、一級建築士の免許を得る為には、一級建築士試験を受ける必要があるので、定期講習の指定修了期間までは、定期講習を受講しつづけるか、指定修了期間を過ぎた場合は、『設計』又は『工事監理』を行わないで、定期講習修了をめざす建築士が多くなるのではないでしょうか?(あまりにも、定期講習修了が出来ない一級建築士が多くなった場合は、対応策を建築士会が陳情するでしょう)
なお、複数の建築士免許を所持している場合は、定期講習修了と判定された建築士の業務が出来るのは言うまでもありません。
Posted by masa at 2008年12月18日 01:17
雅彦さん、masaさん、毎度ありがとうございます。
論点がだいぶ整理されてきたように思います。

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> 有資格者が責任を持っても、管理建築士を持たない無登録事務所への再委託は違法である(ただし、設計補助業務は除く)

ちょっと違いますよね。
士法第24条の3第1項では、設計又は工事監理の業務を無登録事務所に再委託することを禁じています。
再委託一般を禁止した上で補助業務を除外しているのではありません。
設計・監理業務に限って禁じています。

雅彦さんらしくないです。

この条文は、
・建築士の業務範囲(士法第3条、第3条の2、第3条の3)
・無登録業務の禁止(士法第23条の10)
から当然の帰結として導き出される内容を、明文化したものと捉える事が出来ようかと思います。委託側の開設者に禁止を明記して、処分の対象とした。

改正前後での違いは、委託側に処分が課されるようになっただけ。委託内容の解釈に変更のあろうはずもありません。

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> 自動制御の図面も駄目だというけろさん

これは誤解です。言いがかりです。

雅彦さんによる無登録事務所批判の理由を踏襲すると、自動制御図面の委託も同様に批判される対象になってしまいますよね、という指摘をしたまでです。

逆に、自動制御図面の委託がOKであれば、同様に各種設備図面の委託もOKになるのでは。そういう問いかけだったのです。

批判理由の説明が矛盾している、と言ったまでです。

日本語の読解力には自身のある雅彦さんでも、ワタクシの妙ちきりんな文章は読み取るのが困難なようで……。申し訳ない限りです。

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> あなたは、もう設備設計の仕事はやめてください。完全に違法行為ですよ

いえいえ、士法第3条の2に規定されている建築物につきましては、ワタクシの設備(に限らず)設計は合法ですけど。
それ以外に、建築工事契約に関する事務、建築工事の指導監督、建築物に関する調査若しくは鑑定、手続の代理も問題なく行えます。
士法第3条の建築物については、「補助業務」を行います。

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> 間違いであったということを認め、この場でお詫びいたします

雅彦さんも人の子。間違えることもあると言うことです。それを非難するつもりは全くありません。

ただ、上に書いたように改正前後で合法違法の線引きに変更があるはずもなく、以前が間違いなら現在も間違いなのではないでしょうか。

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> 設計補助業務の線引きに明確でないところは残っておりますが、少なくても法に規定されていない設備図書をはじめとする関連業務の再委託が違法ではない

だいぶ、譲歩されてきたように感じます。

あとは、線引きを明確にすれば、妙な議論を展開する必要が無くなります。
数多の設備屋さんも妙な言いがかりに怯えることなく、法の規定に厳密に従って、粛々と業務を遂行することができます。

実際、雅彦さんとワタクシは「どこに線があるのか」という議論をしているに過ぎないのだと思います。


> コアである設計と設計関連業務の区別

ここをはっきりさせたいですね。
次期改正による明文化が望まれます。

明文化すると困る(利権を失う)人たちも居るのかも知れませんが。

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masaさん、いつも解説助かります。

管理建築士であり、構造一級と設備一級を両方取得している一級建築士にしてみれば、大金を払って定期講習を4つも受けなければならない。

その他に、建築士会や事務所協会、建築家協会の会費、下手するとJSCAやJABMEEの会費、それぞれのCPDなどなど、経済的にも時間的にも体力的にも本業どころではないくらい大変ですね。

そういう意味では、同情せざるを得ません。
雅彦さんも、さぞや大変なことだと思います。


> 修了考査の判定基準を建築士資格毎に変える

多分、資格区分毎の講習や考査を構築するだけの余裕が時間・人材・経費あらゆる面で足りなかったのでしょう。

制度を決めたはいいけれども、運用が追い付いていかない。
国交省も大変なんだと思いますけど、現場はもっと大変で、実際の混乱も生じてしまいます。
困ったものです。
Posted by けろ at 2008年12月18日 04:45
けろ様、雅彦さん、現行建築士法第二十一条の条文を再確認したところ、『設計』の下に、『「第二十条の二第二項又は前条第二項の確認を含む。第二十二条及び第二十三条第一項において同じ。)』が追加されていました。
したがって、技術的助言が出る前から、『法適合性確認』を行う場合は、『一級建築士事務所』登録が必要だったようです。
つつしんで訂正させていただきます。(あえて、技術的助言で明記したのは、国土交通省自体が、一級建築士事務所以外の『法適合性確認』機関の設置を行うかのような報道に対する対抗措置なのでしょうか?)
したがって、一級建築士事務所以外で、『法適合性確認』又は、『設備設計』(建築士法で、設備設計一級建築士によるか、設備設計一級建築士の法適合性確認の必要なもの)を行えるのは、公共関連団体が所属する設備設計一級建築士に、公共関連団体が発注する建築物の『法適合性確認』又は『設備設計』を行わせる場合に限られるようです。
むしろ、公共関連団体所属の設備設計一級建築士・構造設計一級建築士に定期講習を受講させる為に、建築士事務所所属以外でも定期講習を義務付けているのかもしれません。
公共関連団体所属の建築士(一級・二級・木造)の定期講習受講義務が無いのは不思議ですね。
Posted by masa at 2008年12月19日 02:35
masaさん、解説ありがとうございます。
確かに書いていただいた通りでした。
確認した設備一級にも設計責任を負わせるのですから当然、という理屈になりますね。

建築確認制度が、ちゃんと回っていくといいですね。
……どうなる事やら。
Posted by けろ at 2008年12月19日 09:44
初めまして、お邪魔します。
畑違いですが図面と格闘する仕事をすることになり、
DSやPF管の意味も分からず検索して飛んできた者です(笑)

さて、
無責任な責任者を比喩してダブルスタンダードと表現されたのだと思いますが、
設備さんはお立場的に無責任な責任者の発するダブルバインドに晒されている、
と表現すべきかと思います。

そして無責任な責任者を作り出す制度、つまり
「無責任な人間」に「責任を有する資格」を与えてしまう制度を強くご批判されているようですが、
私は、制度で責任感を育てたという事例を古今東西聞いた事がありません。

改善するにはより志の高い方が成り代わるべく努力して、
並び競合していく他に方法は無いかと考えます。
そういう意味で、
努力で取得できる資格制度と自由主義経済には大きな意義があると思います。

チンケな弱電屋は張り合う余地も無いので、
慣れない図面を書いてお伺いを立て、
「そんな事も分からんのか?」と馬鹿にされても、
「そんな事も分からんのです」と愛想笑いをし、
ご指示に従うのみです。
Posted by 社会学部出身のチンケな弱電屋 at 2008年12月23日 19:21
あと、志の高い者が努力次第で這い上がれる学歴社会も尊重すべきと思います。

以上、お邪魔しました。
Posted by 社会学部出身のチンケな弱電屋 at 2008年12月23日 19:29
度々すみません。
何度か読み返し、けろさんの思いをようやく掴んだ気がします。

私なりに解釈すると、
実際の建築士は力不足で統括者として役に立たない。
建築と設備で専門知識に上下も無ければ優劣も無く、
特に設備設計能力を試されて得た資格でもないのに、
建築士を無条件に上位資格として設備設計を認めるのは不公平である。
それは設備設計の軽視に他ならず、決してサービスの向上には繋がらない。

ダブルスタンダードと言うと横(A≠B)の関係ですが、
制度的に縦(A∋B)の関係が見られますので、
不平等ですがダブルスタンダードではないと思います。
解決には、設備設計の重要性と難易度を社会的に認めさせ、
建築士と同等に昇格するか、建築士を降格する必要があります。
建築士に問われる知識が広範囲過ぎて、
実際に携われる業務はその一部に過ぎないと聞きますので、
個人的には建築士を構築物毎に専門分化して降格し、
もっと平易で効率的に取得できる資格にすべきと思います。
あらゆる建築物に精通する為の(実は使い道の無い)学習に費やす労力で、
設備の勉強にまで手が回らないのでしょうから。

たとえばエンジニアとして建築士と同格に設備士を置き、
単独で業務を行わず、
その上位にそれらを統括するドクター級の実力者を置き、
その実力者を、
建築の必修科目と選択科目および設備の必修科目に合格した上位の建築士か、
設備の必修科目と選択科目および建築の必修科目に合格した上位の設備士とすることで、
専門知識の効率的な習得と運用および専門家同士の連携を促し、
総合的な安全性とサービスの向上を図る、
そういう制度への改正を望まれるのですね?

専門特化して連携するのは高度化する技術を効率的に習得して運用する為に必要と思います。
おっしゃるとおり、
既に高度な専門能力を兼ね備えた統括者から専門特化したスペシャリストを選抜または養成するような発想はいかにも非効率でナンセンスだと思います。
いかにも実は高度な専門能力が有りませんという暴露に見えます。
難易度の高い資格の更に上位に全知全能の神の資格を新設するのも人間の制度としては機能しないと思います。
Posted by 社会学部出身のチンケな弱電屋 at 2008年12月24日 02:54
社会学部出身のチンケな弱電屋 さん、はじめまして。ようこそいらっしゃいました。

本項の「ダブルスタンダード」とは、建築士法から「合法」「違法」を判断する際に、意匠屋さんが良く使用する「線引きの変化」について書いてみたものです。
今までの記事の流れから出てきた内容ですので、わかりにくかったら申し訳ありません。


> 改善するにはより志の高い方が成り代わるべく努力

確かにその通りなのですが、それには時間もかかります。そして何より、実務に携わってきた者にハードルが高く、そうではない者にハードルが低い現状があります。それが問題だと言っているわけです。


> 努力で取得できる資格制度

一般の設備屋さんが設備設計一級建築士を取得するには「努力」だけではなく、意匠屋さんに比べてはるかに長い「実務経験年数」が必要です。異種競技に挑むという壁も立ちはだかります。


> 実際の建築士は力不足で統括者として役に立たない。

ということは、ワタクシは主張しておりません。

ワタクシは建築士が「統括者」であるべきだと思っております。各領域の専門技術者を統括して、一つの建物としてまとめ上げる。プロジェクトマネージャーとしての在り方は必要だと思います。

しかし制度上「実務」と「統括」との線引きが無く曖昧なままになっています。法律と実態との整合を取るべく、都合に合わせて「設計」「設計補助」の用語を適宜使い分けているだけで、「建築」というものの本質や理念、「建築生産システム」の整理と再定義がなされていない。基準法や士法が制定された当時の概念や定義は建築(特に設備)技術の発展に伴って変わらざるを得ないはずなのに、表面上だけ取り繕って済ませている。
そんな事をいろいろ書き綴ってきました。


> 専門知識の効率的な習得と運用および専門家同士の連携を促し、
> 総合的な安全性とサービスの向上を図る

目的はご指摘の通りだと思います。
そのためにどうすべきか。どうあるべきか。
ワタクシにもまだ決定打となるべき案はございません。
このようにブログで発信し、数少ない反響をいただきつつ、模索しているところです。

少なくとも、11月28日施行の制度では「全く役に立たない。むしろ逆効果」だと思っている次第です。

もしよろしければ、今後も弱電に関わるお立場からご意見を頂戴できると有難く存じます。
Posted by けろ at 2008年12月24日 09:38
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