2008年07月19日

管理建築士資格取得講習

今年11月28日施行の改正建築士法において、
「管理建築士」の要件が強化されます。


建築士なら誰でもなれたものが、
資格講習の修了が義務付けられるようになりました。


当地でも講習(今回は「みなし講習」ですが)が行われることになっていますので、受講される方も結構いらっしゃるのでしょう。

今まで「管理建築士」というものが有名無実化していましたから、「資格」として位置づけ、講習&修了考査という流れになったのは一歩前進、といったところでしょうか。


講習スケジュールの講義内容を見ますと、法令、品質確保に関するものだけのようです。

「建築士」としての定期講習が別途あるので、飽くまで「管理建築士」に必要な内容、ということなのでしょう。


それにしても、「テキスト持込可」で、○×式の修了考査って、
どんなもんでしょう。

まあ、現に管理建築士をしている人がボロボロ落ちてしまったら何かと大変なので、
なるべく通そうとしているのかもしれません。
でも遠慮せずに、せめて「持ち込み不可・5択」の建築士試験並みにすべきではないかと思ったりします。

ある意味、耐震偽装事件はじめ、当時ボロボロ出てきた(そして、あまりニュースに取り上げられなくなりましたが、現在でもあちらこちらで出てきている)建築士事務所がらみの処分って、管理建築士が本来果たすべき業務を行っていれば防げたことなのでしょうから。


ただ、実態としては「管理建築士講習」に出席するだけがほとんど唯一の仕事だった(?)従来と比べると、各段に「厳しく」なったと考えることができるでしょう。

はてさて、本来の目的通りになりますでしょうか。


「単に形だけ」にならない、実質を伴った講習&考査になることを期待しております。
(今年の講習で、合格率を30%くらいにすれば、次回以降みんな必死になって対応することでしょう)


大変といえば大変ですが、「現に管理建築士である」方々なわけですから、
それに相応しくスキルアップしていくのは、やぶさかではないはずです。

少なくとも、中身を伴わない「設備設計一級建築士」などとは違って、
少しは「国民一般のため」になる制度ではないかと思います。


(「管理建築士資格取得講習」おわり)



【追記】

ワタクシですか?

ワタクシは今年は受講しません。


何でって……。

受講対象じゃないからです。
現存する建築士事務所の管理建築士が一斉に受講するだけの場所も日程も取れないので、当地建築士事務所協会の方で受講区分を設けています。

ワタクシは平成19年に更新登録をしていますので、
「来年受講してね」ということになっています。

来年は、一級と、コレと、それから……。

ま、生ある限り学習は続くということです。
posted by けろ at 17:55| Comment(10) | TrackBack(1) | 建築士制度 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
管理建築士のみなし講習については、建築技術教育普及センターの説明が少なすぎたのかもしれませんね。 本来は、このみなし講習は、改正建築士法施行(平成20年11月28日)以降に建築士事務所登録を行う建築士の為に行うものなのに、既存管理建築士まで対象にしたのが間違いだったわけです。(一応3万人を受講対象として想定していたようですが、すでに定員を大幅に超えたので、今回は7/18で募集完了となっています)
Posted by masa at 2008年07月19日 19:56
こんちわ
ウラモシ掲示板ではお世話になりました
そろそろ直前ですが学習の調子の方は如何でしょうか

>受講対象じゃないからです。

自主勉メンバーの方もそうでしたが事務所協会にかけあって前倒しで今年受講することができたみたいです。
言ってみるもんですね
何事も受身ではなく前向きに積極的に取り組むことで道は開けると思ってます。(逆もまた然り)

設備一級も構造一級も四の五の言ってないで受講資格が与えられるのならどんどん取りにいくべきです、
体制批判はその後でいくらでもできますよ!

先ず一級取得に全力投球してくださいませ

ファイト!

ところで因みに管理建築士の受講資格の実務経験なんですがけろさんの場合どこのケースに該当するのでしょうか?(意匠一般の設計監理されてます?それとも・・・・?)

ではでは
Posted by Ocha at 2008年07月19日 20:57
Ochaさま、ご無沙汰でございます。

> 事務所協会にかけあって前倒しで
……おかげで、JAEICは困っているようですが。
ワタクシは協会の要請に素直に従ったまでです。


> 四の五の言ってないで受講資格が与えられるのなら
> どんどん取りにいくべきです
につきましては、ワタクシの見解は異なります。
Ochaさまのおっしゃる趣旨は理解できるつもりですが、今のワタクシにはそれを受け入れることができません。
理由は今までこのブログで書いてきた通りです。


> 先ず一級取得に全力投球

『全力』は叶いませんでした。『できる限り』が関の山です。
やはりワタクシにとっては、一級というのは優先順位第一位ではありません。
決して低い位置でもありませんが。


> 管理建築士の受講資格の実務経験なんですが
> 意匠一般の設計監理されてます?

受講要領に書かれている

(1)建築士として3年以上の設計業務(設計・工事監理)
 に従事した者。
(2)建築士として3年以上の国土交通省令で定める
 業務に従事した者。
 @建築工事契約に関する事務
 A建築工事の指導監督
 B建築物に関する調査・鑑定
 C法令若しくは条例に基づく手続きの代理

のうち、
(1)は、ごく僅かです。便所のレイアウト変更に関わる設計監理とか、喫煙室設置の設計とか、コテージの設備設計とか。改修案件は大抵RC造ですが、改修範囲は300m2を遙かに下回るものばかりです。


(2)@Cは、ありません。確認申請に出すようなものは皆無ですので。


(2)Aは、工事監理者の下、設備工事に関して行った指導監督が実務経験になります。


(2)Bにつきましては、既存建物の設備系に関して調査を行い、システムの評価、劣化状況の診断、改修案の提示などを行っておりますので、これらが実務経験になります。


「意匠一般の設計監理」は、ほとんどありません。
設備屋ですから。
でも建築士法上、「意匠設計」でなければならないとの記載がありませんので、殆どが設備関連であったとしても、「設計監理」ではなくて「指導監督」や「調査・鑑定」であったとしても、問題ないと読み取れます。

間違っていたら、来年の受講申し込みの際にはねられることでしょう。
Posted by けろ at 2008年07月22日 00:25
詳しい御説明ありがとうございます
とても参考になりました。

でも けろさんの
仰ってる事には基本的に大きな矛盾があるようです

そこに気がついて頂ければ幸いでございます。

では
Posted by Ocha at 2008年07月31日 09:58
> 基本的に大きな矛盾
> そこに気がついて頂ければ

すいません。学科3回落ちのアタマなので、良くわかりません。
具体的にご提示いただければ、ありがたいですけど。


思い当たるフシがあるとすれば……


「設備設計実務をやっていない人たちが設備設計一級建築士を受講するのはおかしい」
と主張しているのに、
「意匠設計をやっていないけど『姑息な実務経験』を根拠に管理建築士講習を受けようとしている」
ので、矛盾しているということでしょうか。

ワタクシの中では矛盾していないですけど……。

「設計」という単語に含まれる意味(定義?)が多分に矛盾要素を内包しているがために、「設計」にかかわる様々な実務面で『矛盾』を払拭できないのでは、と愚考いたします。

これじゃ、お答えになっていませんね。



時々ワタクシが遭遇する矛盾は、

「設備設計で報酬をもらってるクセに、無登録なんでしょ。この建築士法違反の犯罪者め」

みたいな言い方(もっとソフトですけど)をされる方がいて、

「いえ、二級ですが登録しています」

と明かすと、珍しいモノを見るような目をして、

「意匠設計やってないのに事務所登録とは、実務を捏造しているのかね」

(もっとソフトな言い方ですけど)と返してくること。

この方にとっては、「設備設計」は『設計』だから事務所登録が必要だけれども、「設備」は「意匠」じゃないから事務所登録はできないはずという論理。(登録有無にかかわらず「意匠屋の居ない設備設計事務所」の存在自体が許せないのでしょうか)

でも、ご自分が「設計者」で設備技術者に「設計補助」を外注したり、設備業者にタダで図面を描かせて「設計協力」をさせるのは全く問題ないと仰る。

ワタクシの脳みそでは、理解できません。

……やっぱりお答えになりませんね。


「設備設計一級建築士制度が新設されましたが、建築設備士の位置付けは従来と全く変更がございません」

という国交省のご説明も、さっぱりわかりません。
ワタクシには、試験勉強以前に、モノゴトを理解する能力が無いのかも知れません。
Posted by けろ at 2008年07月31日 11:05
私もOchaさんの言っている意味が良く分からなかったのですが、管理建築士の指定講習の受講要件が、建築士事務所登録の必要な業務の実務経験とされている事を言っているのかなと思いました。
つまり、けろさんの業務経歴に設計補助や、工事監理補助が含まれているのではという疑問なのかなという感じがします。 ここら辺の解釈が私はよくわからないのですが、管理建築士の指定講習の設計・工事監理はあくまで補助を含まないとなると、図面に記名・捺印しているか、工事監理報告書に記名・捺印している業務に限られてしまいます。 その他業務(建築士法で事務所登録が義務付けられている業務)は、契約書もしくは、業務委託書があれば問題ないはずです。
しかし、管理建築士になる為の講習で、設計・工事監理の補助は業務として認めないとなると、勤務先でそれなりの立場にいないと指定講習を受講できなくなり、独立がむずかしくなるのではないでしょうか?
すでに、管理建築士で3年以上の実務経験の場合も、補助業務の受注は認めないとなると、資格剥奪になってしまいそうな感じもします。
Posted by masa at 2008年07月31日 22:48
Ochaさんは、「意匠一般の設計監理」と「基本的な矛盾」と書いているので、こんな細かい理由じゃないですね。
Posted by masa at 2008年07月31日 22:58
masaさま、深い考察をありがとうございます。

> けろさんの業務経歴に設計補助や、工事監理補助が含まれているのではという疑問

なるほど。
当然、設計補助や工事監理補助は(へぇ、「補助」ね、という実感はともかく)行っておりますし、
そちらの方がメインでもあります。
でもそれは、小規模事務所であれば、意匠設計者であっても同様であると思います。
飽くまで外注先。
書類上の「設計者」は元請担当者。

でもそれらは事務所登録の経歴としてはカウントしません。
受講要項の内容のみピックアップします。
それは問題ないと認識しています。

でないと、施工会社や企画会社、積算事務所など
「事務所登録」できないことになるはずです。


「設計」「監理」「事務所業務」など、
用語の意味する内容の『棚卸』をして検証しないと、
ちゃんとした建築士法、建築基準法の構築は
難しいと思う次第です。
Posted by けろ at 2008年08月01日 12:03
けろ様、改正建築士法施行規則の条文を良く読んでいなかったので、間違った事を書きこんでしまいました。 管理建築士の業務要件では、「建築の設計に関する実務」、「工事監理に関する実務」となっています。 これは、一級建築士の受験資格要件の「建築に関する実務」と同じ表現なので、建築の設計に関する実務には、設計補助を含み、工事監理に関する実務は工事監理補助を含みます。 てっきり、「建築の設計の実務」、「工事監理の実務」だと誤解していました。
したがって、設計補助・工事監理補助も業務経歴として記載しても問題無いと思われます。
Posted by masa at 2008年08月02日 21:44
masaさま、ありがとうございます。
今回講習の受講資格には、設計・工事監理「に関する実務」の表記はありません。
ので、上のレスような書き方となりました。
Posted by けろ at 2008年08月03日 20:32
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