2008年07月14日

批判の理由

「批判」とは、立場の強い者に対して立場の弱い者が取る手段のうちの一つ。
……ワタクシはそう思います。



立場の強い者に対して、弱い者の取り得る態度はいろいろあると思います。

たとえば、

・服従 〜 ご無理ごもっともで、白いものを黒と言われてもただ従う
・受容 〜 立場をわきまえ、素直に受け入れる
・沈黙 〜 反発心は持つものの声は上げず、無言の抵抗を示す
・批判 〜 声を上げて抵抗する
・反撃 〜 実力行使を伴って反抗する

などがあるかと思います。


当然、事と次第によってこれらの態度を使い分けることとなります。

大した事でなければ服従や受容が選択肢として採用されますし、
不都合のある内容であれば何らかの抵抗をしようと試みる場合が出てきます。
相手が圧倒的に強大である場合には、沈黙しか手段がない場合もあります。
言論を用いて批判する場合もあるでしょう。
生存に関わることであれば、実力行使をも厭わない場合もあり得ると思います。
(それぞれ、善し悪しの判断は別として)


建築業界において、また設計業界において、
「せつび」に関わる人間は『弱者』の位置づけであると思います。
最近は徐々に変わってきているとは言え、
やはり『圧倒的な』と付けても差し支えないくらい、
立場としては弱いと感じます。

そういう中で、設備の設計(関連)に携わる人たちには、やはり
いろいろな態度があります。

そして、服従、受容、沈黙が多いのも事実です。
(それ以前に「無知」「無関心」というものもありますが)


けれども、ワタクシは『批判』をしています。
このブログを通じて、また様々な機会を通じて。
まあ、数少ない読者と、数少ない顧客と、数少ない知人と、
せいぜいパブコメくらいが関の山なのですが。

『圧倒的な弱者』である者が、
ただ服従していても、受容していても、
状況が改善することが見込めないから。
沈黙していても、状況はますます悪くなる一方だから。

それで、反抗の一形態である『批判』を選択しています。


ま、それで『強者』が受けて立ってくれるわけでもないのですが。
無視するか、煙たがるか、当たり障り無くはぐらかすか。
強いのですから、わざわざ構ってやる必要性は感じないのでしょうけど。


批判に対する、強者のよくある言い分。

『まず、オマエが強くなってからやってこい。
 そうしたら、構ってやろうじゃないか』

そう。

われわれ設備技術者が何を言っても、どう喚いても、
『つべこべ言わずに、まず一級を取れ』

それで済ませてしまうのですよね。

『強者』とは、そういうものなのです。昔から。

たといその強さが本物ではなくて、
立場上、歴史上の経緯から付与された
形式的なものでしかなくても。


『一寸の虫にも五分の魂』


魂は、持っていたいと思います。


(「批判の理由」おわり)


【付記】

そういえば、昨日行われた「設備設計一級建築士」修了考査について、
『難しかった』という意匠設計者が結構いた由。

普段設備に携わっていた一級建築士の方には、
「大したことはない」という意見も。

ワタクシ自身は問題を見ていないので、
何ともコメントしかねますが。

見る機会があれば、コメントしたいと思います。


ただ、「設備」全般に関する「設備設計一級建築士」なのですから、
「空調」「衛生」「電気」なんていう選択科目制は変な気がします。
制度の建前上は、全部できなきゃいけないんですから。

法適合も、本来の趣旨なら100%正解でないと、いけないんじゃ?
たとえば合格点60点だったとすると、
4割の法適合性は「見落として」いるわけでして。

もちろん、それじゃ試験にならないのは当たり前なのですが、
建前と本音に著しい差があるような気がしてなりません。
posted by けろ at 14:48| Comment(2) | TrackBack(0) | 建築士制度 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
とりあえず、基本計画は建築設備士二次試験と同等の問題が出題されたようです。(空調・換気、衛生、電気それぞれ4、3、3題)
したがって、基本計画はまんべんなく出題したという事でしょう。
設計設計に関しては、系統図、部分詳細図、一般図及び、基本計算問題なので、建築設備士二次試験の70%程度の出題だったようです。
とりあえず、きびしくしたら3,000名の確保は出来なくなるでしょう。
Posted by masa at 2008年07月15日 00:20
質を取るか、量を取るか。

初めから予想されていたこととは言え、
悩ましいでしょうね、国交省。
(自業自得?)
Posted by けろ at 2008年07月15日 03:08
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