当地でも先日行われたそうで、大層盛況だった由。
このたび、設備屋さんで奮起して一級をお取りになった先輩に、
状況をお聞きする機会がありました。
この方は建築設備士を取得し、二級建築士を取得し、
そして一級へ臨み年月をかけて取得された方。
なので、3日目の法適合のみ講習を受けてきたそうです。
(ワタクシもそれに倣って二級から受けたわけで)
講習会場に行ってみて。
参集しているのはほとんどが「意匠設計者」だったとのこと。
一級建築士の他に建築設備士も取得している人もそれなりに居て
「へぇ〜、結構いるなぁ」と思ったそうなのですが、良く観察すると
そのほとんどは年配の方々。歩くのも覚束ない高齢の方もいたとか。
建築設備士創設時に『講習によって』取得したと思しき方々が
多数見受けられたそうです。
「建築設備の設計能力がある」人のための講習である筈なのですが、
そういう人は、この先輩を含めてごく少数であったようです。
(と言ってもこの先輩も、空調衛生設備が専門。
電気設備設計については詳しくありません)
他会場の状況を「建築設備フォーラム」の掲示板や、
建築士の方のWEBページ等で見るにつけ、
「普段設備設計をやっていない意匠設計者」が
大挙して押し掛けている様子が垣間見られます。
そもそも、なんで「設備設計一級建築士」なんていう資格が出来たのか。
構造や設備を含む建築全体の設計資格者として位置づけられている建築士が、
ロクに構造図も読めない、構造計算も理解できない、
そういう体たらくであったため、
「これじゃいかん、構造に詳しい者の資格を作ろう」
ということじゃなかったでしょうか。
「構造だけじゃない、設備も良くわからん建築士が多いぞ」
「じゃ、設備に詳しい者の資格も作ろう」
ということじゃなかったでしょうか。
構造や設備を自分で設計する能力がなく、
図面も読めず内容もわからないまま
「設計者」として押印している建築士が多すぎたため、
それを防ごうとして作った資格じゃないんでしょうか。
なのに、「意匠設計しかできませ〜〜ん」と公言して憚らない
多くの一級建築士が、「構造設計」や「設備設計」を冠した
新資格の講習に群がる。
どういうつもりなんでしょ。
国をナメてんでしょうか。
国民を愚弄してるんでしょうか。
(設備屋電気屋は、昔からナメられ愚弄されてますが)
そのクセ設備屋電気屋には、
「設計の最低限の資格である建築士も持っていない
無免許の不埒な不届き者」
的な言葉を浴びせるのですよ。
講習後しばらくして、とある設備工事業者から
「今回講習を受けた一級建築士の先生に、設備設計を教えてあげてくれませんか」
と依頼があったとか。
今回講習を受けたけれど、わからないことが多いので、
何とか試験に通るようにレクチャーしてあげてくれ、とのこと。
今までは、設備に関してはその設備工事業者に「設計協力」してもらって、
自分の印を押して確認申請に出せたのに、
これからは5,000uを超えると自分の印だけでは済まなくなる。
何としても「設備設計一級建築士」を取って、これからも自分の印で
申請に出せるようにしたい。
他の人に適合証明を頼むお金も出せないし。
まあ、そういう切羽詰まった事情なのだそうです。
先輩も、困ったそうですね。
「建築設備士の勉強でもしてみたらどうでしょうか」
としか言えませんよね。
ま、終了考査は「テキスト持込可」なんだそうですから、
ちょちょいとやれば楽勝でしょう。
「意味もわからず丸暗記」さえ、する必要がないのですから。
この考査が「持ち込み可」なら、普通の一級建築士試験だって
建築申請memoや諸テキスト類の持ち込みが許されるべきかも
知れませんね。
(どちらの試験も「持ち込み不可」であるべきでしょう。当然)
一体どういうつもりで、
意匠屋さんたちが「設備設計一級建築士」になろうとしているのでしょうか。
今回は「みなし講習」のため、比較的合格しやすいのではと
巷では囁かれております。
「設備設計を習得するつもりはないけれど、
無いと何かと不便だから、取れそうなうちに取ってしまえ」
……そういうつもりなんでしょうかね。
太古の昔に建築設備士を講習で取得して、
今回設備設計一級建築士を法適合以外の講習・考査免除で取得して
自分では設備の設計もできない(概念もわからない)けれども
印を押す。
いいんでしょうか。
そういう状態を目指した法改正だったんですかね。
構造計算偽装(ま、偽造ですね)事件のようなことは、
今後防げるんでしょうかね。
国民のためになるんでしょうかね。
建築士への信頼が向上するんでしょうかね。
もし、万が一、この記事をお読みの方で
「設備設計一級建築士講習を受けた意匠設計者」
の方がいらっしゃいましたら、
脳ナシのバカ蛙(ワタクシのことです。某建築士様が命名下さいました)
にも何とかわかるように、
受講に至った経緯や理由を説明いただけないでしょうか。
もっとも「せつびのブログ」を見るような意匠屋さんは
全銀河を探しても1人も居ないような気もしますが。
(「どういうつもりで『設備設計一級建築士』受講?」おわり)
【追記】
晴れて「設備設計一級建築士」となられた意匠設計の方々には、
ワタクシが建築主となって設備設計を分離発注しちゃおうかな。
設備の設計概念とか、システム比較検討とか、技術計算の意味とか、
「口頭試問」しちゃいましょうかね。
当然、すらすら完璧に答え説明してくれるはずです。
なんたって、国が認めた「『設備設計』一級建築士」なんですから、
建築設備士(設備について意見を言えるだけの者)や
技術士(設計能力は有していない者。国交省の説明では)が持っていない
「設計能力」を有するのですから。
……えっ? 建築資金があるのかって?
すいません。ありません。絵空事です。架空のお話です。ごめんなさい。
【追記2】
「一級建築士に受かったからって、
それで意匠設計が実務として出来るわけじゃない。
だから、いいの。設備一級もおんなじ。
飽くまで資格なんだから。取った者勝ち」
そういうご意見も散見されますが。
いいんですか? それで。
今回、私は、一級建築士+建築設備士の合格率100%と予想を変えましたが、これはかなりの期待を含めた予想です。 ここで、一級建築士+建築設備士の合格率が、100%を切ったら、建築設備士でも駄目だという意見が続発するはずです。 講習取得組であっても、外部の人は、試験組と区別はつきません。 彼らが合格できない場合は、試験組の実績も無にしてしまうのです。
構造適合性判定資格者は、国土交通省の意向により、絶対不合格にできないので、修了考査はすべて免除しています。(構造適合性判定資格者が構造設計一級建築士に落ちたら、構造設計一級建築士の設計に異議は言えないのは明らかですね)
職業倫理として「それでいいのか」という気持ちがすごくあります。
だって、
「体の内部のことをよく知らない」
「手術なんて、本で読んで知っているだけ」
の服飾デザイナーに、手術をする資格を与えるようなものです。
逆に、今まで現に手術や治療を行ってきた医師に、
「服飾デザイナー資格を取得しないと、手術してはダメだ」
と言っているようなものです。
なのに、患者に対しては、
「難易度の高い手術をする唯一の資格者である『手術服飾デザイナー』資格を持っているから、手術の専門家です」と言うわけです。
なんか、詐欺的。
一級建築士、建築設備士、設備設計一級建築士、構造設計一級建築士、構造計算適合性判定資格者、建築基準適合判定資格者のすべてを持っている人が、確認申請を通せなかったら、みずから資格返上するしか残された道はないでしょう。(横綱は、廃業しか道はのこされていないですよね)
でも「独占資格」にあぐらをかいて、
法に規定された独占業務を自ら行わずに
無資格者総動員の設計行為を取りまとめてきたことも事実。
その取りまとめこそ「設計」だと、うそぶきつつ。
今回の「意匠屋さん大量受講」を見る限り、
その体質や思考が変わっているようには見えません。
国交省の一番最初の案にあったように、
建築士制度の「リセット」が最も相応しいと思います。
今回は300名の募集です。
建築設備士の受講組の10%が修了考査不合格だったのでしょうか?
とりあえず、10月末〜11月で再考査が行われそうです。
構造設計一級建築士は、あまりにも不合格者が多くて、修了考査合格発表及び再考査は延期との情報がでています。
『実務者』ではない人たちが大挙して受けた由、
当然の結果かと。
同様の受講状態であっても「設備一級」の場合は
それなりに合格させるのでしょうかね。
再考査にて、それぞれ10%程度を補充すると、設備設計一級建築士で、3,000名、構造設計一級建築士で5,000名がみなし講習の最終合格者となります。
設備設計一級建築士の場合は最終合格率が60%を超えるので、この予想どおりの結果だとしたらかなり甘い修了考査だったという結果になるでしょう。
正規講習は平成21年2月頃より実施する予定だそうです。
構造設計一級建築士については、噂どおり9月中旬以降に発表が延期されました。
発表の折には、結果についてコメントいただけるとありがたいです。
これからの会社の業務の都合上受講することに。
考査の自己採点は、全体の得点を100として、
希望が60点、辛目で見て50点でした。
一夜漬けでがんばってもこんなもんでしょう。
判定やいかに。
意匠の方に来て頂いて、光栄です。
> これからの会社の業務の都合上
おそらく、これが一番多い理由ではないかと思っていました。
無くて困る可能性はあるけれども、
あって困ることはないだろう。
だから、ダメもとでも、とにかく受ける。
受かれば儲けもの。(受講料は高いけれど……)
所詮は「資格」ですから、そういう考え方もあろうかと思います。
が、昨今の国交省の様子からすると、資格者に責任を全部押し付けて悪者にして首ちょんぱ。
そういう魂胆が透けて見えてしまって、
ちょっと怖い気もします。
> 一夜漬けでがんばってもこんなもんでしょう。
一夜漬けで6割できれば、むしろ凄いのでは。
よろしければ、またお越し下さいませ。
設備設計一級建築士は、通常の試験の合格率、構造設計一級建築士は試験内容に対しては甘いといえそうですね。
再考査対象は、設備設計一級建築士で2,500名、構造設計一級建築士で5,000名なので、再考査で10%補充すると、最終合格者は、設備設計一級建築士で2,750名、構造設計一級建築士で7,500名となるので、それぞれ必要人員は充分確保できたといえるのではないでしょうか?
最終合格率は、設備設計一級建築士は55%、構造設計一級建築士は61%となりそうですね。
設備設計一級建築士の修了考査合格者数は、2,319人、合格率は44.8%です。
受講者の内訳は、建築設備士保有者が2,118人、一般受講者が3,054人、修了考査合格者の内訳は、建築設備士保有者が1,688人(合格率=1,688/2,118≒0.797→79.7%)、一般受講者が631人(合格率=631/3,054≒0.207→20.7%)となります。
地域別の合格者数をみると、東京が1,379人、大阪の383人、愛知の232人で、最も少ないのは沖縄の15人です。
一般受講者の合格率が20.7%なので、ほぼ普通の試験といえるのではないでしょうか?(当社の一般受講者の合格率は50%を超えそうなので、考査内容としては、簡単な部類とはいえそうです)
むしろ、建築設備士資格保有者の合格率79.7%の方が問題となりそうな感じがしますね。
当社の社長のコメントでは、「こんなにいいかげんに資格を与えていいのか?」でしたが。
電気系の方の合格者数
年齢別の合格者数
当社の一般受講者は、工事監理のみの実務経験で受講しているので、設備設計経験はありません。
設備設計経験無しで80%合格する資格は意味は無いとの評価が社長から下されました。
ある意味、一級建築士+建築設備士の受講者が一番かわいそうでしたね。
今回再確認されたのは、設備設計一級建築士は当社では、設計資格としては認めず、法適合確認のみ行う。 設備設計内容については、建築設備士が責任を持って建築設計者にアドバイスを行い、最終責任を持つという事に当社では決定しました。 今回の受講は、設備設計の知識を意匠設計者が得たのみで、その知識の補完は建築設備士が負うべきという事でした。
ある意味、当社の合格者を増やした私が一番の悪者になってしまいました。(合格者からは、感謝されましたが、社内的には意味の無い資格と評価された責任はすべて私にあるようです)
これも、議論を呼びそうな感じですね。
報告、考察、論評をありがとうございます。
> 当社では何の意味も無い資格として扱われる事が決定
ワタクシが設備設計事務所の社長だったとしたら、
同様に考えると思います。
「設備設計」ができない「設備設計一級建築士」は、どんなに合法的に資格を得たとしても、無意味な存在(技術的には)ですから。
ですが、法的には権限と責任が付与されました。
社内的には建築設備士が「最終責任を持つ」(会社として当然のことでしょう。品質管理の面からも)としても、社会的には飽くまで設備設計一級建築士が責任を問われます。
設備関連で何か問題が起これば、矢面に立たされて偽装、メクラ判、能力不足、などなど散々叩かれて処分されるのは設備一級。
こんなことなら取るんじゃなかった、と後悔するようなことが無ければ良いのですが。
さて、処分第1号は、いつ頃出てくるのでしょう。……あまり先の話でもないような気がします。
法適合性確認については、合格率100%、設計製図の合格率75%です。
設計製図の不合格者2名は、重大な不適合でした。1名は系統図未完成、1名は詳細図で、設問条件(PS2箇所を利用)を遵守していませんでした。(考査直後に2名共不合格を覚悟していました)
1名は、直接ヒアリングしていませんが、不合格理由は不明です。
どうも、私の個人的講評は、ほとんどの方が受け入れがたかったようで、区分Tの合格者は、直接設備設計に携わっている人だけとの書き込みがありました。(当社の設計製図の合格者は、設備設計に直接携わっている者はいません)
どうも、建築設備士の講習取得者に対する風当たりが強いようですが、実力が無い人はたぶん、不合格の20%強に含まれているような気がするのですが?(個人的憶測です)
masaさまは、設備一級取得のご予定はないのですか?
「設備素人」に続々取得させるのは勿体無さ過ぎますから……。
設備フォーラムでは、さらに議論を呼びそうな受講者の修了考査受験体験の書き込みがでてきましたね。(今回の設計製図の修了考査の不合格のほとんどは、Dランク(重大な不適合)がほとんどだったのでしょうか?)
当然悔しさはありますが、成績を考えますと
本意ではなかったにせよ受講すること自体に
おそらく無理があったのでしょう。
(頭が悪いことも当然考えられる)
本人の中にそのジャンルのイメージが伴わない
限りいくら勉強しても無駄なのかも知れません。
昨日、再考査を促す書類が送られてきましたが、
自分の能力では、この先も恐らく無理と思うので
会社に結果を報告してから破棄するつもりです。
経営者は再受講してくれと言うのでしょうが-----。
ちょっと憂鬱な土曜の午後です。
そんな訳で、このブログへの書き込みも最後になるかも知れませんが、稚拙な文を掲載してくださってありがとうございました。また、板を汚してしまって申し訳ありません。
このコーナーの繁栄を祈っております。
団塊世代の −いつまでも意匠100%−
せっかく分厚いテキスト(多少不整合もありますが)をもらったわけですから、多少なりとも建築設備に興味を持っていただいて、設計に生かしてみてください。
合格した人たちでも、試験対策が良かっただけで少しも設備設計ができないままである場合が少なくないはずです。
ただ、今まで設備に無関心だった意匠屋さんが多少なりとも目を向ける機会にはなったことと思います。
設備屋にも「建築士」を求めるという時代。
まして、意匠屋さんたちが設備知識無しでこのままやっていけるとは思えません。
機会(と費用と時間?)があれば、再チャレンジされてはいかがでしょうか。
> このブログへの書き込みも最後になるかも知れませんが
そうおっしゃらず、またお越し下さいませ。
ワタクシも設備屋としての狭い視点からの記事しか書けませんので、意匠設計者の立場からのご意見を頂戴できれば、有難く存じます。