立派な中央監視システムが設置されていました。
分散して建築されている数棟の建物を集約した装置。
設備機器類の運転状態、ダンパ開閉状況、空気温度・温水温度の計測、
などなど。
それらがリアルタイムで表示され、記録され、
運転パターンの変更、制御値の変更も任意にでき、
中央監視室ですべて一括管理できるようになっていました。
でも。
各所にある自動制御盤の盤面の切り替えスイッチはすべて「停止」
温度・湿度制御による自動運転のはずが、
「時々気になったときに『手動』に切り換えて運転する程度」
温度関係のデータも
「まったく見たこともなし」
中央監視盤の液晶モニタ上で、淋しく明滅する緑や赤の点たち。
「これ、警報ですよね?」と問うも、
「え〜? よくわかんない。さわったこともないし」
二、三千万円は投入しているであろうに、ね。
「自動運転には、してないんですか?」
「電気代がかかるから……」
短期的に電気代を節約して、
長期的にダクトや配管やファンの傷みを
早めてしまっているような。
ライフサイクルコスト的に考えて、
果たして節約になっているのか。
せっかく金をかけて設置した中央監視。
適切に運用していれば、電気代もそこそこ抑えられ、
設備機器類の寿命も縮まないように思えるのですが。
設置した装置を有効に活用すれば、
トータルのコストも抑えられると思うのですけれども。
しかし。
経常費は自分たちの部署の予算で出さなければならないけれども、
設備更新は国費補助が出るから良いんだとか。
文字通りの『持ち腐れ』ではないかと思ったのでした。
身近な建物の制御系、『持ち腐れ』になっていませんか?
(「宝の持ち腐れ」おわり)