2023年09月19日

チップの取扱い

再生可能エネルギーだとか
カーボンニュートラルだとか

「エコ」関連の用語は次々と出てくるし
それを利用した「せつび」についても
いろんなものが出てくる。



そんなものの一つに、
バイオマス利用設備がある。



熱源として、バイオマスを燃料とした機器を
利用しようということなのだ。

ただ、一般の化石燃料使用機器類ほど数が出ないのと
同じ出力では圧倒的に高価になってしまうことから
よほど「使うぞぉ!」という強力な動機が無い限り
まず採用されることはない。

桁が1つ、あるいは2つ多くなってしまうから
コスト比較で決めようとすると全然ダメ。

箸にも棒にもかからない。



けれども、材料がすぐ近くにあって
安価に供給できるような場所であれば
このところの石油価格高騰の折にあって
ランニングコストの削減を図ることはできる。

地産地消で地元産業の育成になったり
林業資源の有効活用や
人工林の適切な管理につながったり
メリットも無いわけではない。



でも、たとえば木質チップを使う場合、
石油やガスなどの燃料に比べると
取扱いは少々難しい。


空隙率が結構あるので
貯蔵場所も場所を取るのだ。


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地下ピット式にして運搬車両から投入する場合もあるし
このようにベルコンで積み上げる場合もある。


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貯蔵されたチップを、
スクリューコンベアで熱源機に運ぶのである。


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こういう形状なので、
チップ形状にイレギュラーがあると
噛んでしまって搬送が停止する。



チップ加工の良否によるのだけれども
たま〜に、長い木片が混ざってしまうのだ。


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この「たま〜に」の頻度がそれなりにあると
とても手のかかるものになってしまうのだ。


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石炭火力発電所でも、
石炭の塊をそのまま使用するわけではなくて
細かく砕いて粉末状にまでして「微粉炭」にして
気体のように利用したりする。

そんな感じで、扱いやすさを追求していくのも
一つの方法なのかもしれない。


ただし、

扱いやすい→燃えやすい→火災になりやすい

ということでもあって、
防火耐火やら消防法やら、各方面の調整が必須にもなる。



それに、ペレットでもチップでも微粉末でも
加工するためにそれなりのエネルギーを消費してしまうため
どこまで「エコ」か、本末転倒になりやしないか、
ほんとうは詳細な検討が必要であるはずだ。



でも、世の中単純なもので、

「○○するだけで、あら不思議!」

っていうのがウケる。



木質バイオマス! 地産地消! カーボンニュートラル!

化石燃料不使用! 森林の適切な管理! 地場産業の育成!



いろんなキャッチフレーズを散りばめて
耳触りの良いお題目にすべてを覆い隠して
不都合な部分は知らんふりしてしまうことも
多いんじゃないかな。



給付金だとか無償化だとか拡充だとか、
増税やサービス低下とセットであるはずの政策が
聞こえの良い部分だけ喧伝されるとか。


直接的な二酸化炭素排出ゼロだとか
津波対策もバッチリだとか
原子力発電所のメリットは強調するのだけれども
放射性廃棄物の処分先が無いとか
廃炉技術が確立していないとか
そもそも列島全体が地震火山断層水害の密集地であるのにとか
そういう不都合には触れないとか。



うまい話なんて、無い。


それに尽きるんじゃないかな。

ホイホイと飛びつくと、
だいたい痛い目に遭うんだ。

そして誰かが、
こっそりとボロ儲けしているのだろうねぇ。
(「チップの取扱い」おわり)
posted by けろ at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする