2023年08月04日

殿のトイレ

お武家然とした、公衆トイレ。


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バリアフリーじゃ、ない。

ま、仕方ないだろう。
別途、設けるしかなかろう。



男性、女性の表示ではなくて
「殿」「姫」である。


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殿と姫とは、少々立場が異なるような気もするが
あんまり突っ込むところじゃないんだろう。

が、近年はジェンダー関連がなかなか難しい。
今後、どうなることやら。



手洗い場は、このとおり。


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石鹸ボトルが置いてあるのは
コロナ禍を経た措置であろうか。



内部の便器は木製で……なんてことはなくって
現代の陶器であり、洗浄便座も当たり前についている。


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武家っぽいのは、飽くまで外観だけ。

だって、使うとき、大変じゃん?
「洋風便器」とか「洗浄便座」なんて
無かったわけだし。

もちろん水洗じゃないし。

そんなん、利用者が困る。



小便器も、個別センサーの自動洗浄。


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傘掛け金具まで設けてある。


ライニング、内壁、汚垂石ほか、
現代仕様である。



そう。



ここは、一般向けのトイレなのだ。

外観の雰囲気は大事だけれども
利用者の利便性はもっと大事なのだ。


武家仕様にこだわるあまりに
ほんとうに武家の時代の「設備」にしてしまうと
現代人には利用しづらいのである。



これが、昔の建物の復元とかいう話になると
より難しい議論になる。


構造耐力のほか、冷暖房であったりトイレであったり
バリアフリー対応(エレベーターとか)であったり、
考えどころが多すぎる。

「正解」なんて、無いのだ。
そして、時代とともに移り変わる。


そんなものなのだ。



少し坂を下っていくと、
給水管と排水管とが顔を出していた。


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公共水道とか公共下水道っていうのも
現代のインフラだし。



外観デザインだけでも
訪れた人に何らかの訴求を図ることができるから
これはこれで、良いんじゃないかな。


「ただの見た目だけじゃん。嘘っぱち」


そういう意見もあるかもしれないし、


「この見た目の実現のために
 余計にどれだけのカネをかけたのさ」


なんていう批判も、あるかもしれない。



すべての人にとって「すばらしい」「問題ない」
なんていうモノを作り出すのは
極めて難しいと言わざるを得ないのだ。
(「殿のトイレ」おわり)
posted by けろ at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 衛生設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする