2023年02月17日

防火上主要〜貫通

建物にとって、火災対策はとてもとても重要だ。


過去、幾多の火災があって
それによってどれだけの犠牲者が出てきたことか。


昔むかしの竪穴式住居から始まって、
なんとかの大火と呼ばれる大火事も数限りなくあって
現代もまた、どこかで必ず火事の報を耳にする。


「消防署」という専用の部署があって(救急も取り扱うが)
消防庁というこれまた専門の官庁が存在している。



火事と喧嘩は江戸の華


なんて言われたかもしれないが、
競って消火にあたることを奨励して
とにかく火災による被害を減らそうと
努めていたのである。



そして現代の建物においても、
重要であり続けている



とある、天井の中で。


23021701.JPG



天井内のコンクリート壁を
ケーブルが貫通している。
貫通箇所は金属電線管を埋めてある。



廊下と室とを隔てるこの壁は
「防火上主要な間仕切壁」であって、
「114条区画」とも呼ばれる。


「防火区画」とは違うのだけれど
防火の処置が必要となる壁なのである。



建設当初は、すべての貫通部が
このように対処されているが
時として改修工事などでその存在が見落とされて
貫通処理をしないままになっていることもある。


114条区画が成立していないわけである。



特定建築物等では定期的に調査し報告する義務があるのであるが
その際に確認されるべき内容でもある。



23021702.JPG


貫通部周囲にモルタルが詰めてあるところをみると、
新築当初からある貫通部ではなくて
改修であとから通したものではあるまいか。


でも、ちゃんと処置してあるわけだから
大丈夫……なのかな?



建築基準法施行令第129条の2の4第7項イを見ると、

イ 給水管、配電管その他の管の貫通する部分及び当該貫通する部分からそれぞれ両側に一メートル以内の距離にある部分を不燃材料で造ること。


と書いてある。


1mは、無さそうだよね!?



あるいは内部に何らかの認定工法の詰め物があるのかもしれない。
というか、そうでなきゃならないはずだ。
一番右側の電線管には、それらしきモノが詰めてあるようだが
他のやつは、一体どうなっている?



さて……?



そもそも、右の詰め物だって
どんなモノであるか、表示しておかないとわからないよね?



というわけで、
要確認・要改善の建物は
たぶんたくさんあるような気がするんだ。


実態は……業界関係者が良く把握しておられるに違いない。

そうであって欲しい。

ね。
(「防火上主要〜貫通」おわり)
posted by けろ at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電気設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする