2023年02月04日

冬の小樽運河

冬は、雪。


雪のある景色は、いいものだ。



どっかりと雪が降った翌日は
上を向くあらゆる面が白色で覆われ、
太陽光を浴びて輝く。



雪の無い季節とは全く異なった表情を
見せてくれるものなのである。



小樽の、運河。


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北海道の観光ガイドには
必ず載っている、小樽運河である。



北の玄関口として栄えた時代から
徐々に行政・経済・人口の中心地が札幌へと移り
寂れていく一方であった小樽市。


水運もそれほど重要ではなくなり、
運河とそれに沿った倉庫群も
もはや役に立たない過去の遺物と捉えられて
埋め立ててしまえ、壊してしまえ、
そんな圧力が高まる一方であった由。


けれども、市民運動をきっかけに
保存(半分だけ)される ことになり、
今や小樽を、いや、北海道を象徴する景観となった
ということなのである。



運河沿いの石造りの倉庫群も
飲食店などとして利用され、
街中にある明治・大正時代に建てられた建造物は
さまざまな用途にリノベーションされて
今なおその姿を残している。


新築される建物も周囲の景観を意識したデザインのものが多く
街全体として調和の取れた(もちろん例外はある)ものとなっているのだ。



倉庫の看板は残されているが、
中身は店舗などになっている。


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けれども、店舗の看板を大々的に出すことはせず
(裏側の正面にはもちろん設置されているが)
運河側の雰囲気を守っている。


屋根に載る雪が、まぶしい。



今のような冷暖房換気電気設備の無かった時代には
結構厳しい冬だったことだろう。

けれど、現代の技術によって整えられた空間は、
現代人の利用に問題ないようになっている。


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外観こそ当時の面影を保っているものの
はっきり言って別モノなのである。

が、それはそれ、これはこれ。

外観こそ、都市景観の上で重要な要素なのだから。



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運河の半分は埋め立てられて、太い道路になった。
もう半分はきれいに整備されて
世界中からの観光客を惹きつけている。


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コロナ禍でゼロになっていた外国人観光客も
激減していた国内客も
かなり戻りつつあるようだ。

コロナ前にはまだまだ及ぶべくもないけれど。


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夜中に、早朝に、
観光客の動線となる歩道がちゃんと通れるように、
運河沿いのデザイン欄干が美しく見えるように、
黙々と除雪している人たちの姿があった。


観光協会関係者か、商店街関係者か、
それともボランティアか。


素敵な環境の維持管理は
そうした陰の働きによって成り立っているのだと
改めて実感したのである。


行政におんぶに抱っこでは
たいていのことはうまくいかない。

バブル期の三セクもそうだし、
ふるさと創生資金の活用(という名目の散財)、
なんとかセンターの建設、
夢物語的な企業誘致計画、
うまく行っていない例は枚挙に暇がない。


行政主体ではなく、
民間(市民や多数の企業)主体で
行政は、行政にしか出来ない面でのサポートに徹する。


言うのは簡単で、
やるのが難しいんだけれども
そんな「地域活性化」の一面があらわれた
小樽運河なんだと思うんだ。


とうぜん、良いことばっかりじゃない。
いろんな面があるのは、仕方がない。

そうでありつつも、もがきつつも、
ありたい姿を思い描いて進む人たちって
スゴイよね。
(「冬の小樽運河」おわり)
posted by けろ at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする