2023年01月24日

密かに存在している

それは、ひっそりとそこに在った。



敢えて見ようとしない限り、
まず人目につくことのない、その場所に。



結構な費用が投じられて
そこに据えられているにもかかわらず、
ひょっとすると全く使われることがないかもしれない
そんな存在。



いや、「ひょっとすると」なんかじゃない。
基本的に、使用されることのないモノ。



使用されないことが通常で、
万が一使用されるような事態になることが異常なのだ。



ただし、その異常時には
確実に作動して的確に使用されることが求められる。
だから定期的に試験は行われる。

本来の用途に使用されることが全く無かったとしても……。



でも、それでいいのだ。


それは、幸せなことなのだ。



使用されないことが、
もっとも人々にとって良いこと。


人々に不幸が訪れたその時に
それを少しでも減じられるように
ただそれだけのために、存在しているのだから。



カッコいい、目立つ、人々に称賛される、
そんな存在も居ていいだろうさ。


だけど、みんながみんなそうだったら
世の中は成り立たないし、
そもそもそういう存在は、ごく一部、
一握りで十分なのだ。



その陰にあって、
普段は「カネばかりかかる役立たず」呼ばわりされようとも
緊急事態に備え、黙してただそこに在る。



誰からも認識すらもされていなかったとしても、
重要であることは、
世の中にたくさん存在しているのだ。



そんな、防災設備。


23012401.JPG


ずいぶん厳重に施錠されているけど、
作動は大丈夫だよねん?
(「密かに存在している」おわり)
posted by けろ at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 防災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする