2023年01月07日

熱源インフラ

「インフラ」と言ったら?



上水、下水、ガス、電力、電話、ネット
あたりが、最近の定番であろうか。



なんだけれども、「企業城下町」に行くと
熱源のインフラも通っていたりする。



「地域冷暖房」のような感じで
工場の熱源から熱媒(蒸気)が供給されるものである。



近年では埋設にするのであろうが、
昔の施設であれば露出になっているのが普通だ。

埋設するよりも安価に出来る。



こんな配管を、ぱっと見ると
「一体コレナニ?」ってなるんじゃないだろうか。


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だいぶ錆びついている鋼管架台に
架空の配管が伸ばされている。


ここでいう「架空」とは「現実には存在しない」という意味ではなく
「空中に架けられた」という意味である。
見ての通り、実在していて、写真に写っている。



この主管は、何棟もの集合住宅の脇に通されていて
各棟に分岐管が飛び込んでいる。


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トランスを経て電力引き込みが行われるのと同様に。



配管そのものもそれなりの重量があるのだけれど
引き込み用に重たい弁類が設けられることもあって
また継手部分に荷重がかかるのを避ける意味もあって
分岐部には鋼製の引き込み柱が設けられている。


23010703.JPG


分岐箇所を、いろいろな角度から見てみる。


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それにしても、引込柱の良く錆びていること。


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インフラ主管から下方に取り出された分岐管から、
凝縮水が排出されるようになっているようだ。


主管も引込管も、保温材が巻かれた上にラッキングが施されているため
配管そのものよりも見た目がだいぶ太くなっている。



主管が振り上げられる部分には
凝縮水の放出管が設けられていた。



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写真では写っていないが、
末端からしゅうしゅうと音がして
湯気と凝縮水とが出ていた。


通りがかりの人が火傷したら大変なので
フェンスで囲われていた。



分岐部の近影を撮る。


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バルブ操作用に、背かご付きの鉄梯子も設けられている。

ラッキングは何度か更新されているんだろうか。
見た感じ、それほど劣化していないようだ。



配管の支持間隔は、主管の支持柱の間隔よりも短いから
いろんな鋼材等を駆使してうまく吊ってある。
「建築設備」の範疇ではないなぁ。



もちょっと、角度を変えて。


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地元企業もかつての隆盛が過去のものとなり
規模縮小・事業移転などが繰り返されていて
最盛期に向けて増設に増設を重ねられた社員向けの集合住宅も
どんどんその数を減らしているところである。


現在はまだ現役であるが、
いつまで活躍できるやら。



すでに、自前で敷設した上水管や下水管は
地元自治体に移管されている。

電力もたぶん、電力会社に移管されたものなのだろう。



いわゆる電柱と同じように、
識別のプレートが貼られている。


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「新日鉄住金柱」

そう記されている。



NTT線も共架されている。
権利関係が、一般の地域よりも複雑かも。


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電話線と、光回線と。


この中では光回線が一番新しいのだろう。
ネット社会になる頃からなのだから。



多くの地域ではあまり見かけない蒸気のインフラも、
やがては廃されていってしまうのだろうか。

人口が減り、都市規模が縮小し、
需要先が減っていけば
そうならざるをえないのだろう。


今ならまだ辛うじて稼働中のものを見られる
「生きた化石」のような存在に
なりつつあるのかもしれない。
(「熱源インフラ」おわり)
posted by けろ at 15:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする