「特定天井」となる、吹抜け上部の天井仕上げであるが
ボード貼りではなかったのである。
「仕上げ」自体は、むしろ全く目立たない。
それを支える下地が、支持材が
まるで光芒を引く流れ星のように見える。
これを意図して、狙って実現しているとしたら
なかなかどうして、すごいなと思うのである。
いちばん下部の材料は敢えて黒く目立たないようにして、
下地と支持材は銀色ののまま存在感を引き立てる。
必要な設備関係も、その中に散りばめる。
このくらいスカスカだと、
感知器はスラブ下面で良いのだね。
消防協議にはご苦労されたのかもしれない。
天井内の空調機器も、丸見えである。
丸見えではあるのだが
ダクトも含めて黒く仕上げられているため
自己主張は無い。
目立たず、でも目を向ければ容易に全体像がわかる。
理想的な環境ではなかろうか!?
ポンピドー・センター のように
思いっきり自己主張する設備は
それはそれで良いのだが、
しかしアレは例外的な立ち位置であろう。
フツーの建物は、
ああであってはマズかろう。
かと言って、
働けども姿を決して見せることのない
でも不具合が生じたら皆が困りつつ
「そもそも現状はどうなっているのか」
誰も把握できていない、
そんな隠されただけの存在であるのも
どうかとは思うのだ。
その点、上の写真では適度に姿を見せつつも
決して出しゃばらない、自己主張しない、
そんな在りようが健気でスバラシイんじゃないだろうか。
「設備設計技術者」の在り方に重ねてしまうのは
職業柄なのかもしれない。
(「降ってきそうな下地」おわり)