いや、隠されている。
たいていのモノは、天井内や壁内や床下や地中に
埋め込まれているのだ。
しかし、全部が全部完全に隠蔽されているかといえば、
決してそんなことはない。
余程こだわりの強い、揺るがない意思を以て期するのでなければ
ある程度の「設備」はオモテに出ることになる。
さて、とある店舗。
電力引込と受変電は、
そのまんま屋外に顕になっていた。
引込柱が建っていて
キュービクルが屋外型となっていれば
極めてわかりやすい部位である。
ちょっとばかし規模の大きな施設だったり
無電柱化区間だったりすると
とたんにわかりにくくなってくるのだけれども。
変電後のルートも、外壁面に電線管が露出となっているため
たいそうわかりやすくなっている。
屋根の端には、アンテナもはっきりと見て取れる。
外壁面をずずっと見ていくと、
多くの設備たちが姿を出しているのが見える。
灯油もガスもエアコンも使っているし
FFトップは給湯か暖房か、
換気用フードもあるのだなと
容易に判別できる設備類が目白押しである。
灯油タンクを外壁色に塗ってあるという細工はあるものの
ことさらに隠蔽したり覆いを設けたりすることなく
誰にでも見える状態になっている。
電力の盤やら照明やら、
何ならホウキやチリトリやバケツや除雪ダンプやスコップなど
とにかくこの店舗がどのように使われるのか
手にとるように(は、言い過ぎかな)わかる状態になっている。
もう少し先には、
排気と思しきダクトとファン。
水道メーターの指示計もついていて
「全部わかる」ことを期待させる造りとなっている。
これは、なかなかどうして、
楽しからんや。
ん……?
「送水口」だって……?
スプリンクラー専用
と表示があるのだけれども
それほどの規模ではないし
はて、どのような理由でコレがあるのか
ちょっと気になる。
あまりにもいろいろあっけらかんとしているので
「全部わかるかも」と油断していたのだけれども
逆に疑問が生じてしまったわい。
見えるが故に
却って謎が生じてくるのもまた
いとをかし。
排気ダクトの勾配は、
意図して設けたものだよね?
雪の重みで垂れてきたわけじゃ、ないよね?
(「全部わかるかも」おわり)