鉄格子の向こうに監禁されている。
監禁しなくったって、
逃げて行きはしないのに。
目隠しされているようでいて
スカスカルーバーだから、
むしろ見せしめに遭っているみたい。
どんな悪事を働いたというの?
もうかれこれ何十年も
囚われのままここに在るようだ。
差し入れ、もとい、スイッチ操作のために
格子が1本だけ外されている。
看守(管理人?)との接点は、
そこだけ。
差し入れも何も無し。
メシとして、直結された配管で灯油が送られてくる。
電源もケーブルを通じて送られてくる。
燃焼空気はルーバーを通じて室内から供給される。
排泄は下じゃなくって、上方へ燃焼排気として排出される。
外界との繋がりも、そのくらいだ。
すぐ目の前に置かれた椅子に座る人は
強烈な温風に驚くだろうか。
それによって、
この囚われの温風暖房機に気づくだろうか。
(「捕まってる? 暖房機」おわり)