古い古い公営住宅跡がそのまま残されているのを
見かけることがある。
人口減に応じて、
1つまたひとつ、住宅を廃止してメンテ費用を節約していくのだ。
棟ごとの場合もあるし、
場合によっては団地全体の廃止を進めたりもする。
上水道、下水道、道路整備、ゴミ収集、除雪などなど
さまざまな市民サービスを、
住人の少なくなった団地に提供し続けるのは
物理的に経済的に困難になるから。
廃止された団地で、解体されずに残っているのは
その費用さえも惜しむから。
首都圏であれば、ちょっとした土地の空きが出れば
高値で売れたりもすることだろう。
建ったままでも解体費込みの値引きで売れるだろうし
きれいに整地すればより良い条件で売れる。
しかし都市から離れた地方の街では
「売地」「売家」の看板を立てても
WEBで宣伝しても
不動産事業者にアピールしても
売れることもない。
ただ、年月の流れのままに
徐々に朽ちていくのを待つばかり。
どうせ、人も近づきやしないのだ。
注意喚起の表示でもしておけば
勝手に立ち入って倒壊に巻き込まれる者が居たとしても
自己責任以外の何物でもない。
上の共住、
6本の煙突が立っている。
1階2階の各室からの煙突を集合させて
燃焼空気を排気するのだ。
薪やら石炭やらを燃やして暖を取っていた頃のものだ。
煙突が無かったら、
ストーブも燃やせない。
それじゃ、とてもとても困ったことだろうから
煙突は必須の「建築設備」(建基法の定義では)だったのだ。
今は、お洒落としての暖炉やら煙突があるものの
一般の用途としてはすっかり廃れた。
建築設備は、建築の形態にも影響を及ぼすのである。
決して「付帯設備」では、ないのである。
(「煙突は必須だった」おわり)