2022年11月30日

外装が賑やかだと

コストをかけずに冷暖房するなら、
現代ならエアコン一択であろう。



部屋に室内機を取り付けて、
なるべく近くの外壁面に室外機を置く。

それぞれの間を、
最短ルートの配管配線で繋ぐ。



それが一番単純で、簡単で、
安く済むことであろう。



ただ、建物の外装がちょっと凝っている場合には
少し様相が変わってくる。


場所によって色合いや質感が違ったり、
凹凸があったりすると
配管用のカバーの色にも気を使うかもしれないし、
配管が真っ直ぐ通せなくなったりもする。


こんなふうに。


22113001.JPG


直管のスリムダクトだけじゃかわせない凹凸だから
フレキ管を使ったり、色合いの違うものを組み合わせたり、
いろいろと細工が必要になってくる。



上から落ちてくる雪に対しては
屋根で対処しようとしている。

密度や総重量次第では耐えきれなかろうけれども
それでも無いよりはずっとマシなはずだ。



手前の室外機は、コロナのエコキュートだね。



Civid-19のせいで、あんまりステキな名前とは
捉えられなくなってしまった 株式会社コロナ だけれども
慌てて社名を変えたりはせずに、
地道に頑張っていらっしゃる。


「コロナ」って、良い意味なんですからね。
電子顕微鏡で観察される形状が王冠(corona)に似てるからって
名付けられただけのウイルス。


エアコンや給湯器なんかで長年日本を支えている株式会社コロナには
これからも頑張っていただきたいのだ。



感染症のほうは、もう、ほどほどにしておいてね。


毎日、多数ではないけれども犠牲者を出しているのは確かで
侮って良いわけではないんだけれども
なんとかソフトランディングしてくれないものかな。

他の比較的軽症で済むかぜ症候群の一つに、
落ち着いてくれないものかな。


「風邪は万病のもと」だから
「ただの風邪」だって、油断していいわけじゃないんだけど。



とにかく、賑やかな外装があると
設備もちょっとずつ賑やかになってきてしまう。


それを避けようとするなら、
それなりの設計・施工をしなくてはならないのである。

「勝手に」スッキリ納まるわけじゃあ、ないのである。
(「外装が賑やかだと」おわり)
posted by けろ at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年11月29日

何も無いよりも

洗面器、というよりも洗面コーナーの細工について。



カウンターはめ込みだったり、ベッセル形だったり、
とにかく壁掛形以外の洗面器を設ける場合には
カウンターが造られる。



問題は、その下である。



カウンター。以上。


ということで、下部はそのまま露出とするか。

配管類がそのままだから、
メンテもしやすいし
異常があったらすぐに分かる。



その代わり「見た目」については
「ありのまま」を晒すことになる。


別に、醜くなんか、ないんだけどね。



じゃあ隠そ、っていうんで
前面に幕板を造ってしまうとすると、
見た目はスッキリするけれども
配管類が隠されてしまうから
何かいじる場合にはすこぶる不便である。


と言ってもね、
「何か」いじるなんて、
滅多に無いことなんだけどね。



「点検」するにも、ケンドン式にしてあったとしても
ひと手間余計にかかることは確かである。



うっかり、大判の板でケンドンを造ってしまうと
一度外したあとにキレイにはめ直す際に
少々苦労を強いられることにもなる。



じゃあ、完全に隠すでもなく、
かといってそのまんま全露出でもなく、
そういう造りにすればいいじゃん。



そんな閃きや意図があったのか無かったのか、
こんな洗面コーナーに出逢った。



22112901.JPG



完全に好みの問題でしかないのだろうけれど、
このくらいがイイなぁ。


観察、もとい、点検するには支障がないし、
何かイジるなら、手前の板を
たぶん外せるようになっているはずだ。

でもボードで囲ってある感も出ていて
無粋感はかなり減じているように思う。


完全に、好みの問題でしかないのであるが。



どうでしょ?

皆さまは、どんなのがお好みであろうか?
(「何も無いよりも」おわり)
posted by けろ at 15:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 建築工事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年11月28日

過ぎとるでぇ

ついつい、気になっちゃうことがある。



気になったら、事情が許せば、撮る。



記念に? いや、参考がてら。
もっと言うなら、ネタとして。

いやいや、研究のため(!?)。



まあともかく、
気になったから、撮った。


221128.JPG


昨日今日の話じゃないにしても、
今年のことである。



「おお、立派なガードが取り付けてあるねぇ」



近寄ったのは、そんな興味から。だったんだけど。



よく見ると、蝶ネジがついていて
警報機の取替がし易いようになっているじゃぁないか。


なかなか優秀だね、キミ!


なんて偉そうな態度が出せるのは、
妄想の中だけの話。


設計にせよ監理にせよ、
下請け孫請け曾孫請け玄孫請けの身分では
なぁんにも言えませんよ。



ま、それはともかくとして、
でも施設の管理者がいたとしたら
一応業界の者としては言っておく責務は
あるんじゃないかな、と思わなくもない。



だって、期限、切れてるよね?


安全に関わることだからさ。

もちろん、強くは言えないよ?
そんな権限なんて、どこにも無いからさ。


チョー弱小、卑賤な身分ではあるけれど、
いちおう技術者を名乗ってる立場ではあるからさ

「そういえば、期限切れてますよね。
 交換しておかなきゃならない時期ですよね」

軽〜く、触れておくのは良いよね。
っていうか、せめてそのくらいは、言っとかなきゃね。


聞いた人が受け取ってくれるかどうかは
別だけどさ。


たいてい、受け取ってくれるような事は
無いんだけどさ。



「何を言うか」

よりも

「誰が言うか」

が大切なんだと、誰かが言ってたような気がする。
やっぱり、ワタクシが言ったんじゃね、
受け取り難いかもね。



やっぱり、それなりの権威・能力・信用のある方を通して
お伝えしなくちゃね。


(消防にチクる、という意味ではありません。
 誤解なきよう)
(「過ぎとるでぇ」おわり)
posted by けろ at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 防災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年11月27日

剥がれとる?

とある、スーパー(の入った複合施設?)の駐車場に入って、
ふと前を見ると
室外機のようなものが並んでいる。



いや、これは正確な表現ではないな。



室外機が並んでいるから、
わざわざその付近に停めて
ついでに観察した、と言ったほうが
正しいのであろう。



ま、結果的に、
観察をしたわけだ。

通りがかりに。



22112701.JPG



壁から生える、冷媒管と
据えられている室外機。



もっとも、これは冷暖房の室外機じゃなくて
冷蔵ショーケース用のもののようだ。


ビルマルとかと、形が違うじゃん?



それから、フツーの設備屋さんの手じゃないことも
フツーの建築設備じゃないことを示している。

そんな気がする。



だってさ、フツーの配管屋さんだったら、
設備のマルチエアコンの配管屋さんだったら、
外壁からの配管取り出し部にプルボックスみたいなやつを
拵えたりしないし
冷媒管をダクターで支持したり、しないじゃん?


どっちかというと、
メーカー関係の業者さんで、
電気畑から冷媒用銅管のハンダ付けもやるようになった
そんな感じに見えるじゃん?


ものすごく、すごく勝手な想像でしかないけどさ。



でも、空調設備の配管というよりも
電線管に見えちゃう施工なんだから
仕方がない。



って、主たる違和感はじつはそこじゃない。



22112702.JPG



電線管っぽく見えてしまうのは
本来かかっているはずの被覆が無いせいなのである。



最初っから無かったわけじゃ、
なさそうなんだ。


22112703.JPG



ね?



辛うじて、痕跡だけは残ってるでしょ?



と思ったんだけれど、
指示金物部分を保護しているだけで
やっぱり断熱材の被覆は、
元々無かったのかなぁ。


断熱材っぽいものは、
カケラも無いもんね。



さすがに、屋内部分には
被覆はあるんだよね?


一介の訪問者の身分では
それを確かめる術はないんだけど。



そもそも、こういうショーケース用の配管って
断熱被覆が無いのがデフォルトなの?

ギョーカイが違うから、わからん。



おんなじ原理の、おんなじような構成の機器だけど
「A工事」で入らないモノについては
フツーの設備設計者が関わることがないんだ。


世の中、
知らんことばかりだ。


いろんなことが、
複雑怪奇に絡み合って、
この世は、社会は、成り立っているのである。



「知の巨人」なんて言われている方々も、
ある程度本質的なことを見抜き判断する力は
凡人に比べて相当に凄いのであろうけれど
それでも「ニンゲン」としての限界はあるわけで
知らないことのほうが多いのである。



いろいろ自分なりに判断して
ワクチン4回目の接種は受けた。

BA4・5対応のやつだ。

重篤ではないまでも、副反応も出た。



「効果あんの? 無いんじゃね?」

「むしろ射ったらかかりやすくなるんじゃね?」

「5類でいいじゃん」

「mRNAワクチン、不安」

「原理的に、大丈夫さね」

「ワクチン本体より添加物が問題だね」



生化学に詳しい人詳しくない人
感染症に詳しい人詳しくない人
理科系の人、文科系の人、経済系の人、
医学の人、生物の人、感染症の人、
物理の人、ライター、週刊誌記者、
テレビの人、ラジオの人、YouTuber、
日本の人、アメリカの人、ドイツの人、
大学の人、開業医の人、看護の人、
厚労省の人、財務省の人、内閣府の人、


いろんな人がいろんな事を言っていて
その前提条件や基礎知識や専門分野が違っていて
何が正しいやら、正しくないやら、
陰謀なるものがあるのやら、無いのやら、
「本当のトコロ」は、わかりようがない。



だからね、
それぞれが、それぞれなりに
判断するしか無いわけ。


「エビデンス」なんて、
まだまだ収集中という側面が大きいのだから。



他の分野でもあるように
「これぞ決定的な証拠」とされるものが
「いやいや、それこそ誤りである証拠でしょ」と
正反対の解釈を受けることも有り得るのだ。



世の中、
ままならぬことばかりなり。


でも、それが社会であり、人生なのである。



……と思うしか、ないのである。



最近、山田全自動氏の日記が
妙に楽しくて仕方がないでござる。
(「剥がれとる?」おわり)
posted by けろ at 15:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年11月26日

シンプルがベストかどうか

壁面に見つけた、温度調節器。



22112601.JPG



山武ハネウエルと書かれている。
今のアズビルである。



昔むかしのでっかい目立つ温度調節器ではなく、
少々昔の小型化されたものである。



デザインもシンプルで
必要最小限の表示で……という主旨だったはず。



だけれども、テプラで思いっきり
「さわるな」という強烈な禁止の文言と
用途とが表示されるに至っている。



建築設備に関しては、
家電製品などと比べてずいぶんとゆっくりであるけれど
少しずつプロダクトデザインが意識されはじめ、
家庭にも据えられる衛生器具から始まって
いろいろな機器類に波及し始めているものと
認識している。



それに伴い、
小洒落た、スッキリした、洗練された
なかなかカッコイイものも出始めているように
思うのだ。



しかし、だ。



製品そのもののデザイン云々もさることながら
「実際にどう使われるのか」
という面も、重要ではなかろうか。



航空機は、多大なる事故と犠牲者との歴史を経て
現代の技術が確立されているという。

いや、「確立された」などという完了形ではなくて
普段の努力による確立が継続されている、という。

ちょっとしたデザインの違い、
システムの違いによって
操作する人、整備する人のミス、見間違い、
咄嗟の判断の誤りが起きにくくなるように
不都合や不具合事項が集積されて
よりわかりやすく、より安全に
見間違いやミスが生じにくい製品に、
生じにくいシステムに、
フェイルセーフの機構に、
作り変えられ続けているという。


しかるに、建築に関しては
なかなかそこまでいっていないように思う。

フィードバックも、あまりない。

建築設備においては「コミッショニング」という概念が
それなりに形成されているのだけれども
現実の建物で取り入れられている例は非常に少ない印象である。


試行錯誤を続けつつ、
「成功事例」を積み重ねつつ、
手探りに近い状態で発達を続けている、
そんな印象を持つ。

少なくとも、ワタクシ個人としては。



さて、写真の製品。



もし、このように表示しなくてはならないとすると、
デザインとして不足があったと言えるのではないだろうか。

「さわらないで」と表示するくらいなら
触ることの出来ない場所、方法で
取り付けなければならなかったのではないか。


目的・用途がわからなくて表示が必要なのであったら、
それを表示できるようなモノであったら
良かったのではないか。



そんな検証が行われているのかどうか。



それが、製品製作や、設計や、施工に
フィードバックされているのかどうか。



土木・建築には
「経験工学」という側面がある。

理論は理論として存在するけれども
経験の蓄積によって発達するという側面も大きいのだ。



だからこそ、経験を集積し、
集団知として共有し、
業界全体として、この工学分野一体となって
向上を期す必要があるんじゃなかろうか。



……言うは易し、の典型の一つであろう。
業界の片隅の、
さらに隅っこの底辺の底にこびりついている
一介の設備設計屋(設計「者」と言うのもおこがましい)
ワタクシなんぞが
ごく僅かな読者しかないブログでほざいているだけでは
どうにもならんことでもある。



シンプルでスッキリした洗練されたデザイン



誤操作と無縁で目的用途もわかりやすいデザイン

とは、決して相反するものではないはずである。


という仮定のもと、
自分としては「文字標識等」の範疇で
何ができるかなぁと
無い脳みそを引っ掻き回しながら
休むに似たりと言われても仕方がないまでも
下手の考えを続けてみるしかないのであろう。


少なくとも、
カッコイイデザインの製品の目立つ位置に
ベタベタとテプラで貼り付けてあるよりは
マシな「何かの方法」が
あるはずなんだ。

あって欲しいものなのだ。
(「シンプルがベストかどうか」おわり)
posted by けろ at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年11月25日

この冬は大丈夫?

古い建物を改修して使っているところは
よく見かける。


特に、石造りの洒落た建物であれば
雰囲気も出ようというものだ。



でもね、そういう建物には
もともと冷房なんてついていないんだけど
近年の日本においては、冷房はもはや必須と言って差し支えない。



だから、あと付けで取り付けられるのである。



お、あそこに、室外機。


22112501.JPG



たいてい、建物の正面側ではなくて
側面や裏面にひっそりと置かれているものなのである。



でも。


22112502.JPG


軒先から落ちてきた雪塊によって
屋根が凹んでしまったのだね。



室外機本体を守るために、
屋根が設けられていたのだから
ちゃんと役目は果たしているのだ。



でも、このままで大丈夫かな?



これからやってくる冬に、
この上から更なる攻撃を受けたらどうなる?



さすがに、キツくないかな?



それとも、毎年ちょっとずつ凹んでいって
10年かけてこうなったのであれば
もう暫くは耐えられるかな?



どうだろね。



22112503.JPG



こっちのやつは、
屋根が無くても大丈夫そうだ。


元々出入口だったところが
塞がれているのかな?


とにかく、ここならたぶん、守られるのだろう。



さて、屋外に置かれている
いろんな設備たち。


この冬の対策は、万全だろうか。


「対策」なにそれ美味しいの?


ただ放置されている設備の、
何と多いことか……。
(「この冬は大丈夫?」おわり)
posted by けろ at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年11月24日

微妙に合わなかったのです

水回りの下部には
排水管があるものだ。


それぞれの衛生器具から出た排水を
床下でまとめて、
屋外に排出するのだ。



合流する継手を組み合わせて
集めていくのである。



ね。



22112401.JPG



なんか、なんか、
微妙に惜しい気がする。



主管のTYの間に、もうちょっと短管を使っておけば
真っ直ぐ合流出来たのにぃ。



偏芯の、便利な継手があるから
まあ何とでもなるんだけど。



ああ、でも、なんかビミョー!
(「微妙に合わなかったのです」おわり)
posted by けろ at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 衛生設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年11月23日

そこにあるゼロ

小樽港の中をゆく。



石狩湾の西端に造られた港湾は
物流の拠点として、
フェリーターミナルなどとして
明治期の石炭から現代の豪華客船に至るまで
利用されてきたし、
これからも利用されていくであろう。


22112301.JPG


港の湾側には、
古くに築かれた防波堤が
なお現役で活躍している。


『港湾工学の父』である、廣井勇によるもので、
北海道遺産 として登録されている。



建設コンサルタンツ協会のページ でも紹介されている。



北防波堤に、赤い灯台。



そして、南防波堤に、白い灯台。


22112302.JPG



この灯台の下には、小樽築港2代目事務所長の遺骨が納められている という。



灯台の脇にある文字が気になる。


22112303.JPG


何かの起点か?

それとも水準?


明治期に設けられた文字そのままではなさそうだ。



一体……?



上で紹介しているページなどを見ると、
縦に書かれた ゼロ の左に、海。右に、難、と
丸い看板が取り付けられている。


『海難ゼロ』


というスローガンを貼り付けてあったようだ。


海 と 難 が取れてしまっているのが
現在の状態であるというのが正解のようだ。


ついに、海難が無くなった。


そういう解釈でよろし?

海、難、の2文字が波浪によって取れてしまった事自体が
海難と言えなくもないけれど。



なかなか、
海の構造物も面白いものである。


スローピングブロックシステムなど、
上記で紹介したページを見ていただくと
昔の技術者たちの智慧に圧倒される。



PCやらドローンやら、
道具は目覚ましい進歩を遂げているが、
人間力そのものは果たしてどのくらい進歩できているか。


ちょっと振り返ってみたくなったりもする。



が、まあ、多くの技術者たちは確かに進歩し、向上し、
スキルアップ、レベルアップしているに違いないのだ。


ワタクシは数少ない例外なのかもしれないなぁと、
なんとなく寂しくはある。
(「そこにあるゼロ」おわり)
posted by けろ at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 土木工事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年11月22日

昔の水道管なのだ

ローマ時代には、既に立派な上水道施設が
造られていたという。


けれどもその後の混乱期を経て
欧州では長いことロストテクノロジーと化していたという。


我が国にあっては
文明開化・富国強兵・殖産興業の波に乗って
重要なインフラの一つである上水道が
明治期以降に盛んに整備されたという。



昔のことだ。

すぐに手に入る資材は、
木材であった。


だから、建物は当然ながら木造。


22112201.JPG


そして、水道にも
木管が用いられたという。


22112202.JPG


鋳鉄管と並べて展示されているけれども
これを延々と繋いでいくのは
かなり、かな〜り、
大変なことであったろう。


1本1本が手作りなのだ。


今や「文化財」という位置づけだ。


22112203.JPG



接続箇所もイマドキのような立派な確実性の高い継手ではなく
木材をオスメスはめ込んでいくだけのもの。

何か止水材でも塗りこめたであろうか。



現在のポリ管って、優秀である。
配水用の太いやつも、普通に使われるようになった。
時代とともに、技術は進歩していくのだ。



ただ、ローマの技術が喪われてしまったように、
戦争とそれに伴う混乱とは
せっかくの技術も、文化も、生活も、
あっさり破壊してしまう。


人間の愚かさと言えばそれまでなのだが
哀しいことである。



戦争によって荒廃してしまったりすると
古き技術の伝承が廃れてしまっている分、
余計に後退してしまうのであろう。



ウクライナの戦況は、真偽綯い交ぜで数多く報道されるけれども
じつのところ戦争・内乱状態にある地域は
世界中に多数存在する。

報道に乗ることがないと
「無いもの」として認識されないけれど、
実際には「有る」のだ。


それぞれの地にある人々は
不便などという言葉で表現できない困難のうちに
あることであろう。

文字通り、命の危機の中にあって、
インフラも住居も破壊され
医療どころか食糧の供給も滞り
なすすべなく一日一日を耐えるしかない。

そんな方々も多いことであろう。

たとい戦争・紛争・内乱状態がおさまったとしても
その先の復興に向けては気の遠くなるような道程があるのだろう。



何とも酷いことである。
(「昔の水道管なのだ」おわり)
posted by けろ at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 衛生設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年11月21日

孤高の有圧扇

『孤高』

孤高(ここう)とは、個人の社会生活における1つの態度を表し、ある種の信念や美学に基づいて、集団に属さず他者と離れることで必要以上の苦労を1人で負うような人の中長期的な行動とその様態の全般を指す。本来は俗世間との通行を自ら断って1人で道を求める者の姿を指しており、私利私欲を求めず他者と妥協することなく「名誉」や「誇り」といったものを重視する姿勢から、周囲が「気高さ」を感じるような良い意味での形容に用いられる他に、協調性を欠いた独自の態度を軽く批判する場合にも用いられる。迎合主義の対極に位置する。芸術家や指導者に多く存在する。

(Wikipedia)




『孤』は「ひとりぼっち」「ただひとつ」的な意味だし、
『高』は「高い」ことであるから、
字義としてはこういうものこそ『孤高』なのではないだろうか。


22112101.JPG


ただひとつ、吹抜け最上部、
高い位置に設けられている有圧扇。


これこそ、孤高の最たるものではないか。



他者と離れ、
換気の苦労を1台で負う、
長期的な行動と様態(機能?)であるし、
俗世間には見向きもされず気付かれもしない。
もちろん私利私欲など持ちようも無いし、
この分だと協調性(連動?)も無さそう。

意味的にも、合っているかもしれない。


芸術家でも指導者でもないけどね。


たまぁに、
こうやって目ざとく見つける者もいるのだよと
それをネットで世界に晒すやつもいるんだよと、
感じてくれるだろうか。


金属を主体としたフレームと羽根とモーターで出来た輩であるからして
「感じる」ことすら、無いのだけれども。

劣化したやつに触ったら、
触った人間が「感電」することは
あるかもしれんが。
(「孤高の有圧扇」おわり)
posted by けろ at 15:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 換気設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年11月20日

靴洗うことある?

学校とか役場とかで、
どちらかというとちょっと古めの建物の入口付近には
「靴洗場」が設けられていることがある。



外でドロドロになった靴をここで洗って
建物の中(玄関)を汚さないように、っていう
そんな配慮のための設備、のはずである。



たしかに、昔むかしのグラウンドは
ドロッドロになってしまって
靴本体よりも付着した泥のほうが重いくらいに
なってしまうこともあったのかもしれない。


グラウンドに限らず、
未舗装道路を通ってくると
はやり泥まみれになっていたのかもしれない。



でも、現代において、
さてどのくらい該当するかな?



遠路はるばる泥道を歩いて……ということも
少なくなってきたのでは。



スクールバスだったり、自動車送迎だったりで、
なかなか泥道を歩き続けることも
少なくなったんじゃないかな。



「設計基準で設けることになってるから」



それ以外の理由で設置することは
もうあんまりないんじゃないかな。



実際、民間のフツーの建物では
あまり作らなくなったでしょ。



泥雪まみれであっても
入口の靴洗場で洗っている様子は
見かけないし。



皆さん、
靴、洗った記憶、あります?



22112001.JPG


サビサビで朽ちつつある、靴洗場。


いつまで残されていることか。


単に、使わないまま、放置され続けるだけか。


それとも、じつは10年に1回くらい、
使われることがあるのか。
(「靴洗うことある?」おわり)
posted by けろ at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 衛生設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年11月19日

そこにコンセント

窓の上についている換気扇。



そう。



室内の換気をするために
取り付けてあるものだ。



で。



換気扇は、モーターで羽根を回して
機能するものなのだ。



そのモーターは、
電気で動くものだ。



つまり。


電源の供給が、必須なのだ。



「何を当たり前のことを、長々と」



申し訳ない。その通り。



でも、その電気をどのように持ってくるかは
関心事の一つじゃないかな?




で、ここではこのように。



22111901.JPG



壁じゃなくて、天井面に
設けてあるんだね。



コンセントコードが、
なんか、もうちょっと、
スッキリ納まると尚良かったのかも。



ま、細かいことは気にしないことだ。


それが、平和の秘訣なのである。
(「そこにコンセント」おわり)
posted by けろ at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電気設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年11月18日

ここには何がつく?

外壁沿いに、地面から生えている配管。


22111801.JPG


端部は、ゴミとか石とか虫とか鳥とかが入らないように
ガムテープで養生してある。


これは、何?


ここには一体、何がつくの?



そう。



ここには、
でっかいガスメーターがつく。



左側に生えている管からガスが供給され、
メーターを通してから
右側に生えている管へと送られる。


一部、分岐して壁面から屋内へ
送られるようだ。



かな〜り大きなメーターだね。

住宅の台所用とはえらい違いだ。



そう。



たくさん使うから、
大きなメーターになってしまうのだ。



「設備」はたいてい、
何かをたくさん使うなら大きく、太く、重くなっていく。


ちょっぴり使うなら、小さく、細く、軽い。



図面上だと、ただの四角だったり線だったりするのだけれど
実際には大きさ・太さ・重さがあるのである。



当たり前なんだけど、
図面だけ見てると錯覚してしまう。



だから、時々工事現場は見たほうがいいと思うのだ。
(「ここには何がつく?」おわり)
posted by けろ at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 衛生設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年11月17日

材料置場のひとこま

ちょうど休憩中なんですよねっ。

ちょいと、お邪魔しまぁす。


材料や工具や撤去材が
整然とではないけれども、
雑然というほとでもなく置かれたスペース。



22111701.JPG



改修工事らしい風景である。



ダイドレの箱や製品が
並べられて? 置かれて? 積まれて? いる。


ニップルは、ナゴヤ製。


パイプレンチも、昼寝中か。



もう、あとは処分されるだけの撤去材も
脇に仮置きされていた。



22111702.JPG


長年、ご苦労さん!



せめて、眺めた責任として、
労ってみるか。



使われてこその材料なんだから
在庫のまま廃棄されるブツよりも
余程良かったに違いないが。



必要もあって、
たまに現場にも出向く。



でもそこで作業されている方々にとっては
ただの邪魔者でしかないワタクシは
この撤去廃棄材以下の存在価値でであろうが、
まあ致し方ない。


実際、ジャマなんだからね。


お役目の違いということで、
ウザくても耐えていただきたい。


撤去鋼管や廃棄バルブを投げつけられたりはしないから
まだ何とか耐えていただけているのであろう。
(「材料置場のひとこま」おわり)
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2022年11月16日

管種確認!

配管の材料に
何を使っているのやら
わからないことは多い。


鋼管とか塩ビ管とか、そのまま露出されていれば
わかるのだけれども、
保温材がかかっていると、もうぜんぜんわからなくなる。



でもたまに、既存の管種を確かめたくなることもあって
そうすると、保温材を剥いてみるしかない。



カッターで、切ってしまおう。



でもまあ、管種確認のためだけなのだから
控えめのほうがいいよね。

あんまりガバッと景気よくひん剥くものじゃない。



22111601.JPG


左の方は、鋳鉄管だね。

フランジがゴッツイから、
保温材の仕上げも膨らんでいるのだ。


ポリフィルムもかぶせてある。
今の仕様だと、ここまでしないよね。

フィルムを切ってしまわないように、
控えめに、控えめに刃を入れるのだ。



右の方は、鉛管か。

これまた、見なくなったものだ。


こっちのグラスウールは、左より少し色が濃い。



改修でもしてるのかな。



表面のテープの汚れぐらいからすると
少なくとも外装は同じ時期のものなんだろうけど。



まあ、とにかく確認できた。

図面と同じ、とはいえなかったりしても、
だからといって全部剥がして全数検査するわけにもいかない。

ほんの何箇所か見てみて、
あとは想定するしかないだろう。



このまま帰るわけにもいかないから、
補修はしておく。



アルミテープとか鉄線とか、
ある程度用意はしておく。

ペンチなんかもね。



ヘッタクソな手だけれど
ひとまず用は足すだろう。


22111602.JPG


どうせ1年以内に、
全面撤去されるのだ。

完璧でなくても、許してもらえるだろう。

……と、勝手に決めつける。



ま、酷くは無いよね? ね? ね?



鉛筆すら持たず、
キーボードとマウスで
餅の画を描くだけの設計屋めっ!

これで補修だなんてほざくつもりかっ!



そういうご意見もあろうかと思いますが、
平に、ひらにご容赦を賜りたく。
(「管種確認!」おわり)
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2022年11月15日

ここなら目立たないかな

ふと見上げる。


すると、ガラリがある。



人の目の高さに換気用ガラリがあると、
結構視界に入ってくる。

とは言え、興味も関心も無い人にとっては
「視えて」いないことだろう。


網膜には映っているのだ。

脳にも、信号は送られているのだ。

しかし、脳のほうでその信号を認識しないのだ。

そういう物事・出来事は、多い。



ともあれ、ガラリがあると
ワタクシには認識されるのだ。



では、だいぶ高いところにあったらどうだろうか?



22111501.JPG


建物妻側の最上部に
まるで建具であるかのように設けられると
目につきにくくなる。

ただでさえ少ないその存在感が、
ますます消失していくのである。



最上階の換気には、かなり便利に使えそう。

ただ、それ以外の階の役には立たない。



内部にDS(ダクトスペース)を確保して
立ダクトを通せばできないことはないけど
このくらいの規模の建物だと、
そこまではしないよね。



そして今日も、日本の、更に世界のあちこちで
設備エンジニアと建築家とのあいだで
見解の相違を乗り越えるべく
丁々発止のバトルが繰り広げられていることだろう。


そういう闘いの先に
たとえばこういうガラリが出来上がってくるのであろう。
(「ここなら目立たないかな」おわり)
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2022年11月14日

吹抜にはノズルが

ま、無難だよね。


吹抜空間の側面から、空調空気を吹き出すには、
やっぱりノズルが多い。


一重だったり二重だったり、
丸だったりオーバルだったり角だったり、
細かな形状はいろいろあるけれども、
基本的に「ノズル」だよね。


その中でも、丸いのが多いよね。



22111401.JPG



駅だろうが事務所エントランスだろうがホールのホワイエだろうが
とにかく吹抜の大空間には「ノズル」だよね。



ホールの客席なんかだと、
天井面から下に向けてノズルがついていることもある。



多くの空調空気を、ある程度遠くまで到達させたい。

とすると、一番無難な選択だから。



いろんな機能を背負わせた、いろんなタイプのやつがあるから
細かく考え出すときりがないんだけどね。
(「吹抜にはノズルが」おわり)
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2022年11月13日

食堂には排気が

ああ、昼どき。

昼飯、どないしょ?



小道に沿って並ぶ、食堂とか。

ま、どこか入るかな。



221113.JPG


いかにも、食堂だ。



「食事処」の看板は、奥の店のものだね。

でもどっちかというと、
手前の平べったい排気ダクトが目につく。


側面にも、裏面にも、
このダクトを出すスペースが無かった。

だから、正面なんだけど、仕方がない。



飲食店街に行けば、
割合よく見られる排気方式である。


屋上に排気ファンを載っけているのだ。



鰻屋さんだと、
排気はそのまま前面に
歩行者にわざと当てたりするのかもしれないけど
一般の厨房排気はそうもいくまい。



よく見ると、
排気ダクトに、スリムダクトが取り付けられている。
PS兼DSを建物内に設けると面積を取られるけど
外壁露出にしてしまえば関係なくなる。



「ねえ、PSとかDSって、床面積の何%用意しとけばいい?」



意匠屋さんからは、
よく、頻繁に、しょっちゅう訊かれるのだけれど
それは排気システムをどうするかによるよね。


厨房が最上階だったら、DSは無くて良いかもしれないし
1階にあったって、こうやって露出してしまえば
DSは不要だ。


もしもファザードをお洒落にキレイにスッキリと造りたいなら
露出ダクトなんてもっての外なんだったら、
ある程度DSは必要さ。


「で、どうしたいの?」


逆に問い返すしかない。



とにかく、食堂には排気がつきものだ。



でもレンチンだけで済む店なら、
「つきもの」じゃないのかもしれない!?
(「食堂には排気が」おわり)
posted by けろ at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 換気設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年11月12日

デッドスペースの活用か

階段を登って登って登って、
ようやく上の道路に出る。



と、その角に、
何やら据えてあったのである。


22111201.JPG



ああ。

給油口ではないか。



ちゃんと、油面指示計も取り付けられていて
タンク内にどのくらい油が入っているのか
しっかりわかるようになっている。



道路に面しているから、
タンクローリーを寄せるのは大丈夫だろう。
(道は狭いけど、まあ何とかなる、かな)


敷地のすみっコで、
塀もあることだし、
ちょうど電柱も建っている。



そんなトコロの、言わばデッドスペースを
うまく活用できてるんじゃないだろうか。



「給油口」っていうと65Aのイメージがあるのだが
どうもここのは細い。


ローリーが対応できさえすれば
構わないんだろうけど。



最初から意図して、このように設計に盛り込めていたとしたら
なかなかイイじゃない。


てなことを思いつつ、先へ。
(「デッドスペースの活用か」おわり)
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2022年11月11日

設備と管理 2022年12月号

本日は、「設備と管理」2022年12月号の発売日。


22111101.png

今回は、スイッチ類に関する観察記録である。



普段何の気なく使っているスイッチであるけれど
その高さ、配置、配列などを眺めていくと
それはそれで飽きないものである。

いや、べつに、ヒマなわけじゃないんですけど!

だって、気になっちゃうんだもん。
(「設備と管理 2022年12月号」おわり)
posted by けろ at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 設備と管理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする