塔屋が聳え、更にその上に鉄骨架台を組んだ上に鎮座する、高架水槽。
でもこの容量だ。
定期的に清掃しなければなるまい。
義務だろう。
するってぇと、誰かがあそこに登って、
上部のマンホールから中に入って
清掃をしなくちゃならない。
当然、その間は断水だ。
だから手際よく、しかし的確に
仕事を進めなくちゃならない。
「フツーの作業員」には辛くないか?
「高所恐怖症」と敢えて分類されない人であっても
やっぱり恐怖を覚えずにひょいひょいと登って行けるか?
はやり、勇者でなくては、
このミッションを果たせないのではないか?
ハリウッド映画の題材になっても良いくらいの
スリル満点の攻略先ではないか?
高いところも、ダメ。
狭い所も、ダメ。
暑さにも寒さにも、ダメ。
サウイフモノニ、ワタシハナツテヲル。
(「勇者が清掃するのだ」おわり)