2022年05月02日

北国の春

そんな題の演歌もあったはずだ。



積雪寒冷地の春は、劇的である。

本来の日本の歳時記とは異なる様相を示す。



新年を迎えた後に、2月に梅の花、3月に桜、そしてツツジ、そして……
というような季節の移り変わりは、無い。


雪山に覆われた地面が姿を現し始め、
徐々にその面積が広がり、日差しが強まってきて
やがて道路や日向の雪がほぼ無くなるやいなや、
あらゆる植物が一斉に生気を表してくる。


フキノトウが顔を出し、桜も梅もほぼ一緒に咲き始め
スイセン、クロッカス、水芭蕉、コブシ、レンギョウ、チューリップ、
次々と、ほんとうに日毎に次々と、咲き始める。



ある程度の距離車を走らせたり、標高が変わっていったりすると、
徐々に季節が移り変わる様子がわかったりする。



首都圏なら車やバスや観光客で溢れそうな場所であっても
人口密度の低い北国であれば、それほど人は居ない。
まして現在のコロナ禍により外国からの来客が途絶えている現在、
国内観光客もまだまだ抑制されている時期であれば
たいていのところは平日なら貸切状態に近い。



石狩川の最下流部付近に
ちょっとした湿原地帯がある。


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一応河川敷的な部分ではあるけれども
「ほぼ川」な場所である。

春先、桜が咲く直前くらいに姿を現す
水芭蕉の群生地でもある。



かつては堤防下から向こうを眺めるだけだった場所であるが
現在は木道も造られていて
近寄って鑑賞することができるようになっている。


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「ほぼ川」という感じは、わかっていただけるのではないだろうか。


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「満開」よりは少し早めだったけれども
終りかけは少々みっともない部分も出てくるので
ちょうど良い頃合いだったようである。


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一応は毎年4月何日頃、という統計値はあるけれど
開花時期はその年によってかなり異なる。

冬から春にかけての気温の推移、天候の良し悪しなどの条件により
ずれて当たり前なのだ。


だから、「それを目指して観光」しようと計画を立てても
なかなかうまい具合には合わない。


「たまたまうまく当たった」か
開花の報を得て直ぐに旅立つか(それだってハズレは有り得る)
するしかない。



劇的で、一期一会の、北国の春。


22050205.JPG



北国に限らないかな。


いつだって、どこだって、
「その一瞬」は、その場限りのものなのだから。
(「北国の春」おわり)
posted by けろ at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする