かつては街中のそこらじゅうにあったけれど
すっかりその姿を減らしているものの一つである。
積雪地にあった電話ボックスは
三角屋根であった。
言うまでもなく、
雪が積もるのを防いでいる。
積もることは積もるのだが、
落ちやすい、と言うのが正確か。
結構な積雪があった後でも
どんどん滑り落ちていることがわかるだろう。
ただし、その周囲にはその分の雪が
うず高く積もることになる。
それもまた、仕方のないことだけれども。
歩道にロードヒーティングが入っているので
前面が埋まって入れなくなることはなさそう。
そもそも、携帯電話(というか、スマホ)が十分に普及して
「公衆電話」という存在の必要性が薄れてきている。
とは言え、大規模災害時などに
最低限のインフラとして通信手段が確保されているのは
望ましいことなのだけれど。
公衆電話の設置基準が緩和されてきているらしいから
これからもだんだんと数を減らしていくことだろう。
郵便事業の衰退と同様に、
科学技術の発達とともに
産業構造は変わっていくものなのである。
音声通話だけではなく、
画像や動画がやり取りされる時代。
遥か彼方の地における戦争が
リアルタイムで市民から全世界に向けて発信される時代。
時代が変わっても、
科学技術が発達しても、
殺し合い、奪い合う、ニンゲンのサガは
ちっとも変わらんのであるが。
(「三角屋根の電話ボックス」おわり)