2022年03月31日

春を感じる

3月も終わり、新年度となる。


日本では、正月は正月で年の区切りとしての扱いがあるのだが
4月からの「年度」というものがかなり大きな意味を持つ。


だから、手帳やカレンダーにも「4月始まり」を謳うものがあるくらいだ。



桜前線が、絶賛北上中である。
全国各地の便りが連日伝えられる。

露宇戦争のため、政治経済各方面で多大な影響が在る故に
そちらの報道量が多くて、
平和な春の便りは埋もれがちではある。


確かに悲惨な状態であって、
何とかせにゃならん事ではあるのだが
だからといってあまりにも共感しすぎて
自分まで戦時下にあるかのような生き方をするのが
果たして正解なのかというと難しいところではある。



22033101.JPG



これを見て「寒そう」と思われるだろうか。
それとも「おお、暖かそう」と感じられるであろうか。


積雪寒冷地におられる方であれば、
このように路面が完全に露出していて、
縁石がすべて出ているような状態で、
雪が溶けて濡れている部分があるような様子を見れば

「ああ、春だ!」

そう思うのではなかろうか。



日本は四季折々の風物詩が豊かで
季節感に溢れていて
世界でも珍しい風光明媚な地なのである、
という言説がある。


あまり他の国に行った経験が多いわけではないから
それほど比較のしようもないのだけれども
国内をある程度訪れた経験からすると
さもありなんとは思う。


その上で、
雪国における、冬から春への大転換は
殊の外劇的で感動的なものであるとも
思うのである。



秋口に+5℃まで気温が下がると
「かなり寒くなってきた」と感じる。


しかし、春先であれば、
同じ+5℃であっても
「ものすごく暖かくなってきた」
となるのである。


太陽高度や日差しの強さの違いもあるだろう。


それだけではなく、
氷が張らなくなり、
雪山が少しずつその容積を減らし、
スカスカ、ザクザクの質感になってくることによって
確かに春が進んでいることが
日毎に実感され続けるのだ。



国内情勢、世界情勢、
果たして今後どのようになっていくのか
恐らく誰にもわかるまい。


しかしながら、
現に目の前にある春は
ありがたく愛でていたいものである。



「春を愛でる」機会は、
それほど多くはないのだから。


どんなに長寿であったとしても
生まれてすぐから意識できていたとしても
せいぜい120回が限度なのだから。



もっとも、南北に長い日本列島だから
あちこち飛んで回れば
ひと春に、何度もそれを体験できたりしちゃうのだけれど。
(「春を感じる」おわり)
posted by けろ at 10:00| Comment(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月30日

雪に埋もれる駐車場

たくさん雪が積もる頃、
屋根のない駐車場はなかなか大変である。



積雪が踏み固められ、
GLから500mmくらいは高くなっている。

だから、地面にあるはずの駐車スペースの表示は
見えない。

単管で車室範囲を示すとともに、
「車室中央」の矢印付の表示を設けてあった。


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これなら、わかりやすい。



もっとも、ある程度の利用台数があった後であれば
轍が自ずと駐車スペースを示すことになる。


後方の雪山は
まだ柔らかいこともあるけれども
ガッチガチに凍っていることもあって
そんな場合にはぶつけると車が凹む。

またはバンパー部カバーが剥がれる。

そうなると色んな面でキツイ。
(まあ、主として金銭面)



中には、一晩中停められていたのだろうか、
除雪に取り残されたまま埋まっている車があったり。


22033002.JPG


路駐もそうだけど、
ホントに邪魔。


こういうのは、やめよう。



でも、ひょっとするとここに停めた後で
不慮の事故とか急病とかでどこかに担ぎ込まれて
不本意ながらこういう状況に陥ってしまっている可能性も
無いわけではない。

だとすると可哀想なのだけれど。



精算機には、
屋根が必須だろう。


22033003.JPG


雨ももちろんしのげるし、
雪が積もってもカバーできる。



吹雪いちゃったら、仕方ないけど。



雪がたくさん降って積もって
その後気温が少し上がって、
雪が締まって、融けかけて、
その後気温が下がってガチガチになって、

……そんなこんなを何度か繰り返したあとの
屋外駐車場は、なかなかキビシイことになる。



が。



こういう感じでヒーティングの入っていない駐車場は
その分利用料金が安かったりするので文句は言えない。

いろんなバリエーションがあるのは、良いことだ。



ただし、
雪道運転に慣れない方が
レンタカーで利用する際には
できるだけヒーティングの効いた
駐車場をお薦めする。

少々料金が高くても、
雪に嵌ってうまく脱出できなくてJAF呼んだりするよりは
いいんじゃないかな。


慣れてきたら、
チャレンジしてみるのも良いかも。



そもそも、この類の駐車場に至る枝道は
道自体がボッコボコのオフロード状態になっていることが多い。

かなりのコツが必要となるので
安易に乗り入れないほうが無難だと思うのだ。
(「雪に埋もれる駐車場」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月29日

さり気なくガス機器

狭い土地に駐車台数を増やしたい時に重宝する
昇降式の機械式駐車場。


その脇に、ひっそりと佇むモノ。


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ガス給湯器が据えてあって、
そこに供給されるガス管と、ガスメーターが
足元も軽く、立っている。


ガス給湯器の下部は鉄板でカバーがしてあって、
ここに、ロードヒーティング用のパイプが
通っているはずなのだ。


おそらくヘッダーになっていて、
そこから何本もの樹脂管が
地中に向かって伸びているのである。



ヒーティングをするくらいなんだから、
ここでは雪が積もるのだ。


雪が積もるくらいに寒いのだから、
循環させているのは不凍液である。



不凍液をガス給湯機で暖めては地中に送り、
その熱で雪を溶かし(地球温暖化にも貢献し……)
冷たくなって給湯機へ戻される。


循環用のポンプも、あのカバーの中に
内蔵されているに違いない。



給湯機やガス管はひっそりとあるのだけれども
車をぶつけられて壊されてはたまったものではないので
頑丈なガードが、コンクリート基礎付で
設けられている。


このくらいしておかないと、
せっかくのヒーティングシステムが
すぐにダメになっちゃうから
やっぱりガードが必須なのである。



機械式駐車装置が凍りついても困るはずだから
何らかの凍結防止機構があるんだろう。

何らかの、と言ったって
電熱で溶かすしかないんだろうけど。



それらを、見るともなしに眺めている
大小のセルフードたち。



ガス給湯器の排気が
そのままセルフードの給気口から
吸い込まれないことを願うのみ。
(「さり気なくガス機器」おわり)
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2022年03月28日

建物の味変

「素材の味」も、大事だ。

けど、味付けも、やっぱり大事だ。


量が多かったり、
体調に変化があったりすると、
途中で味に変化をつける
「味変」も大事になることがある。



建物の「味変」。それは、設備改修なんじゃないかな。



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屋上に並べられた室外機群。

外壁を這い上る、排気ダクト。



きっと、このビルの「味変」なのだ。



少々年季の行った建築物が
新たな設備の設置によって
「味変」を果たしているに違いないのだ。


よぉく観察すれば、
味変されている建物の多いことに
気付くのではないだろうか。
(「建物の味変」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月27日

かつてそこに在ったモノ

建物においては、
躯体の寿命に比べて設備の寿命は短いのである。


物理的に寿命が来る(壊れる)こともあるし、
社会的に寿命を迎える(陳腐化する)こともある。


物理的な面は、たいてい放置されていて
いよいよ動かなく、機能しなくなってきたら
仕方なく取り替えられるようなことも多い。

「予防保全」なんていう措置が取られるのは
ごく一部の建物に過ぎない(気がする)。



社会的な面では、
「見た目」に関わる部分において
結構意識されていて、
それゆえ、未だ機能できているものであっても
しばしば取り替えられたりする。



とある、トイレ。


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車椅子対応の便器が置かれていたところだろう。

既に便器は取り去られ、
接続されていた給排水管から切り離されている。

壁埋込になっていたフラッシュバルブも
既に取り外されている。

たぶん、破損してしまったわけではない。
ここに設置されていた便器が
社会的寿命を迎えたと判断されて
除去されるに至ったのであろう。

やがて、新しい、そして多機能を有するモノが
据え付けられることであろう。



和風便器というモノも、
めっきり見かけなくなった。


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ここでも、これはじきに解体撤去されて
洋風便器に置き換えられるはずである。



小便器もまた、そうだ。


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床置ストール小便器が
3連になっていた様子。

既に本体は取り外され、
タイル面にその影だけが残されている。

感知センサーも、除去された後だ。


イマドキは、床掃除のし易さから
壁掛とされるのが一般的か。



そして、洗面器の跡。


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カウンターはめ込み洗面器が
ここについていた筈だ。

カウンターと、それを支えていた台も
取り除かれて何か新しい造作になるのであろう。



建物が建て替わると
街の景色が変わる。

地図も変わる。



設備が替わっても、
景色や地図が変わるほどではない。



けれど、実際にその建物に入って利用する人たちにとっては
結構変わる面があるんだと思う。


ただ、それが認識されるのかどうかは
別の話なんだけど。
(「かつてそこに在ったモノ」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 衛生設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月26日

日の当たることもある

建物に於いて、
「設備」というのはどちらかというと
日陰の存在である。


表立ってその存在を主張することなく
陰ながら居住環境を作り出し、整えているから。


そして、設備機器類も
建物の側面や裏面、
屋上や地下、
世の中から隔絶された機械室の中など
たいてい日陰の存在なのである。



でもたまに、日が当たることもある。


22032601.JPG


ま、日が当たったからといって
人々の視界に入ったからといって、
それが認識されるかどうかは別なのだ。



人間の脳はかなり高度であって、
眼球から光信号が入ってきて
網膜で受像して
視神経によって脳に運ばれてきたとしても
脳においてそれを知覚するとは限らない。

膨大な視覚情報を適宜取捨選択して
自らにとって不要な情報をカットする能力が
備わっている。


全部を同等のデータとして取り込んでしまうわけではない。


AIの画像認識の精度も向上してきたけれども
その点の処理については
まだ人の脳には及ばないのだとか。

(顔認識なんかは、かなりうまくいくようになってきた)


「せつび」は、たいていの人たちにとって
不要な情報である。

だから、常にカットされる対象である。
認識外に捨て置かれる対象でしかないのである。



でも、日が当たろうが当たるまいが、
認識されようがされまいが、
「せつび」はそこに在る。


在って、働いている。



人々から認識されようがされまいが、
有難がられようが無視されていようが、
そんなことは本質ではない。



劣化損傷によって機能できなくなるまで
黙々と(時に運転音を軋らせながら)
なすべき働きをするだけなのである。


そういう「せつび」に関わる人たち自身も
そんな側面を持っているような気がする。
(「日の当たることもある」おわり)
posted by けろ at 10:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月25日

外壁フード、じゃない

ビルの外壁に、換気用のフードが並んでいる姿は
良く目にする光景である。


あまり人々には意識されていないかもしれないけれど
とにかく建物には換気が必要なのだから
何らかの方法で外界と内部とを結ぶ換気口が
どこかに設けられているに決まっているのである。



ふと、通りがかりのビルを見上げる。



外壁を見る、建物に入ったら天井面を見る、
一種の習慣であり、職業病でもある。



22032501.JPG



少し見慣れない様相が、そこにあった。



外壁から突き出しているのは
ダクト?



あちこちでフツーに見かける換気フードとは
だいぶ違った趣である。


汎用品の換気フードにも、
いろんな種類・形状があるのだけれど
恐らくここにあるのはそういう類のものではない。


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デザインして特注で製作すると高くつくから
汎用品で済ませるのが一般的だけれど
外壁の表情が結構変わってくるから
ちょっと意識してみるのも良いかもしれない。


これはこれで、一局では?
(「外壁フード、じゃない」おわり)
posted by けろ at 12:00| Comment(0) | 換気設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月24日

消火栓用の量水器用の蓋

歩道に時々見かける、
地下式消火栓。


地域の火災における消火活動用に
欠かせない設備である。



たいてい、水道本管に直結されていて
何せ一大事だから、
使用料金なんて気にせず、
使えるだけ使う、
そういうものなんだと思っていた。



思っていたし、実際にそうだ。


水道の管路網図を見ても
消火栓の手前に弁はあるけれど
メーターがついているのなんて
見たことは無かった。



見たことは無かったけど、
だからといってそれは存在しないことの証明には
ならないということがわかった。


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消火栓だと思って、見たんだけれども
下の方に「区画量水器」って書いてあるんだもん。


へぇ〜、そうなんだぁ〜。



「今年度、予算厳しいから、
 放水は程々に、ね」


そんな指令が、消防隊に向けられているのかどうか。



いやたぶん、量を把握するためのものであって
これで金銭を徴収しようなんて言うものじゃ
ないんだと思いたい。



普段、建築物しか、せいぜい敷地内の外構しか
関わることがないから、
公共の水道設備のような土木工事の分野のことは
ほとんど知らない。


世の中、知らないことがたくさんある。



だから、面白いんだけど。



中には、「知らなかったほうが良かった」なんてことも
あるんだろうな。
(「消火栓用の量水器用の蓋」おわり)
posted by けろ at 23:00| Comment(0) | 防災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月23日

室外機が、並んでいるよ

室外機が、並んでいるよ。

窓の上下に、並んでいるよ。

頭に雪を載せているものも、あるよ。



「2台ずつペアになって下さい」

仲間ハズレも、いるよ。


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配管は、外壁沿いに伸ばしてあるよ。

スリムダクトは、元々こういう色なのか、
色褪せているのか。



点々と並ぶ、換気フードと
ちらほら混ざる、給排気トップが可愛いね。



冬だけど、カバーもかかっていないから
冷暖房するやつかな?

寒冷地タイプの、
外気温が低くても暖房性能が強力な
ちょっとお高めの製品かな?


それとも、冷房専用機で、
単にカバーをかけていないだけかな?



FF暖房機の給排気トップらしきものも
あるように見えるから、
冷房専用機かもしれない。


でも、部屋によってFF暖房機かエアコンか、
ついているモノが違うだけかもしれない。



賃貸だったら、そういう条件も
調べておきたいね。


寒い地方だったら、
断熱性能もすごく居住環境に響くから、
ついでに、光熱費にも多大な影響があるから
ちゃんと気にしておいたほうが
いいよね。


不動産会社にも訊いてみるのが良いけれど
外壁を観察しても、
ある程度わかってくることって、あるよね。
(「室外機が、並んでいるよ」おわり)
posted by けろ at 14:00| Comment(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月22日

冬期養生をしておく

積雪地でのこと。


学校脇の歩道を歩いていた。



屋根の骨組みが、見える。


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温室? ではない。



これは、プールのようだ。



水泳の授業がある頃でも
外気温はそれほど高くない時もあるから
鉄骨の上にビニールシートを張って
温室のようにして使うようだ。


でも冬は雪が積もって凍って破れたら困るから
片付けてしまうのだそうだ。



ブルーシートで覆われているのは
有圧換気扇のようだ。



雪がついて凍って破損してしまわないように
覆って防護してあるのだという。



庭木には、雪囲いを設ける。

積雪で隠れてしまうような機器類の脇には
スノーポール を立てる。

夏しか使わない冷房の室外機も
カバーで覆う。

冷却塔も上部と側面とをカバーで覆い
冷却水系統配管の水抜きを行う。



こういうのを、冬期養生という。

秋が深まると、養生を行い、
春が進んでくると、片付ける。

雪のない季節のあいだ、
養生材を仕舞っておく場所も必要になる。

雪かき用スコップや、除雪機や、
長靴、手袋、帽子、冬用ワイパー、スノーヘルパー、チェーン、
スタッドレスタイヤなんかもそうだ。


雪とはあまり縁のない地方の方々が
積雪地の案件に関わる場合には
盲点になりやすい部分である。



強力な台風に襲われる頻度が高い地域、
海岸沿いの塩害の強い地域、
軟弱地盤の場所、
昆虫類が大発生する地域、などなど
さまざまな気候帯に跨る日本国内には
いろんな地域があって
それぞれに特色がある。


それぞれの地域内の人にとっては
意識もしないくらい当たり前のことであっても
違う地域の人にとっては晴天の霹靂、
想像だにできない事も多かったりする。


気をつけなくちゃね。
(「冬期養生をしておく」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月21日

換気フードのない外壁だけど

換気用のフードがこれでもかと並ぶ外壁もある。


しかし、そうではない外壁もある。



そういう建物では、換気をしていないのか?

そんなことはない。



とっても古い建物だと、そういうのもあるかもしれないが
近年の建物では「換気無し」ということはあり得ない。



この外壁にも、換気用フードはついていない。


22032101.JPG


しかし、各窓の上に、換気ガラリが設けられている。

この奥に、鉄板で作られた「チャンバー」があって
そこにダクトが接続されていて、
外気の取入れ、室内汚染空気の排出が
行われているにちがいない。



どの部分が給気で、どの部分が排気かは
外観からは決してわからないけれど。


中華料理厨房の排気か何かだったら
ガラリ周りが汚れてくるので
判別できたりもするだろうけど
そこまであからさまなのはそんなにない。



アルミやステンレスで出来た換気用フードも
角型フード、深型フード、防風板付などいろんな形状があるし
指定色焼付塗装などにすればそれなりの表情を保てるけれども
このようにガラリで処理するのも一つの方法である。


風量的に余裕のあるガラリ面積を確保しておけば、
後々の改修の際にも自由度が上がる。



こういうのも、いいんじゃないだろうか。



好みの問題のほか、コストにも関わってくるし
雨・雪の吹き込み対策は良く考えなくちゃならないけれど。
(「換気フードのない外壁だけど」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 換気設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月20日

雪に埋まる前提で

春の訪れとともに、
冬の諸々は忘れ去られていく。


しかしこの冬、全国各地で記録的な大雪であったことは
記憶しておかねばなるまい。

気候変動の影響か、
猛暑、豪雨、豪雪は
毎年のことになりつつあるのだから。



積雪の無かった地域は、
「積雪も有り得る」という視点が
必要になってくるのではあるまいか。



元々積雪のあった地域でも、
その量が倍になり得るという考察が
求められるようになってくるのではあるまいか。



「雪国マウント」という言葉があって、

「都心で大雪って、たった数cmで何を騒いでいるのやら」

と、雪国在住者があざ笑うということがあるようだ。



でも、「普段と異なる」状況に陥れば
それが雪だろうが風雨であろうが地震であろうが
混乱が生じてしまうのは仕方のないことだ。


ただ、設計者としては
「そういう事も起りうる」という視点が
有るのと無いのとでは
だいぶ違うことになりはしまいか。


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「想定外」で
済ませてしまっても良いものか。



せめて
「想定としてはこういう事も有り得るけれども
 その頻度と効果、予算上の都合も考慮して
 設計上は割愛しています」
くらいの注釈は、しておかなければならない
時代になってきたのではあるまいか。



津波も、原子力災害も、戦争さえも、
「絵空事」ではない時代となってきている。


大変だわ。
(「雪に埋まる前提で」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 建築工事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月19日

札幌式トイレ

身障者用トイレ、
車いす対応トイレ、
オストメイト対応トイレ、
多目的トイレ、
だれでもトイレ


一般的な普通のトイレの他に、
障がいを持つ方、
体の不自由な方、
小さいお子さん連れの方、
人工肛門・人工膀胱となった方、
高齢の方、などが行動しやすい街づくりの一環として、
さまざまな「トイレ」が提案され、改良され、
設置されてきた。

これからもますます、設置されていくはずだ。



ひとくちに「障がい」と言っても
その状態は人それぞれに違って
いろいろ提案されているトイレといえども
全ての障がいの程度に対応可能なものなどは無い。



それでも、少しでも適用できる方が多いほうが良いわけで
札幌の方がお子さんの障がいを契機に 考案 された
「札幌式トイレ」というものがあるようだ。



なかなか実物を見る機会も無いのだけれど、
あった。


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脳血管障害だと、その部位によって
左右どちらかに不自由を来すのであるが
たいていの「多目的トイレ」は、どちらかの不自由に対しては
効力を発揮できない造りである。


しかし上のような左右対称のものであれば、
どちらの体側に対しても対応可能と言える。



思ったより暗くて、ピントがイマイチ合っていなかったけれども
「こういう使い方ができる」という説明が貼ってあった。


22031902.JPG


説明であり、アピールであるのだろう。

一般にはあまり見かけないものだから。



いろんなタイプのトイレを各階に分散して配して
表示している 庁舎 もあるようだ。


もちろん、一般的なトイレを設置するのにくらべて
かなり費用がかかってしまうから
そしてスペース(床面積)もかなり取るから、
どこにでも設置できる代物ではないかもしれない。



でも、バリアフリー、近年ではユニバーサルデザインというものには
「ここまでで十分」という限界点は、たぶん無い。


性能とコストとのバランスなどを鑑みながら
これからも常に「ベター」を目指してゆくべきものであろう。



高齢化社会に向けて、
障がいの有無にかかわらず参画できる社会に向けて、
ニーズは高まる一方だ。


反面、少子高齢化で人口減少、経済縮小に伴って
設置や維持に関する費用を掛けづらくなってくるのも事実。


その時々に、完璧ではなくてどこか妥協した形のものを
設けざるを得なくもなる。



悩ましくもあるけれど、
またそれこそが設計者のメシの種でもあり、社会貢献でもある。


それもこれも、平和であってこそなのだけれども。
(「札幌式トイレ」おわり)
posted by けろ at 14:00| Comment(0) | 衛生設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月18日

名取市のマンホール蓋

東日本大震災から11年余、
未だ大きな地震が続く東北地方である。


関東にも影響があるほどの地震は続き、
現地では更に多くの揺れがある。



さて、仙台市の南隣、
仙台空港の敷地を半分ほど占める、名取市。



「〇〇空港」と名乗る空港が「〇〇市(町村)」に無いのは
様式美でもあるのだが、
ここもまた同様。



市内のマンホール蓋を観察する。



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一般的なデザインの蓋の中央に市章を配し、
「汚水」と「増・1枝」の文字。

系統名などだろうか?
鋳物なのにここまで入れるのは、
ある意味スゴい。

蓋周囲に枠的な余白があるタイプである。



インターロッキング舗装部には
市章のみの化粧蓋。


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市章以外は、よくあるタイプ。

点字タイルがめり込んでいるのも
お約束。



デザインマンホールもあって、


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市の花 「ハナモモ」なんだと思う。
たぶん。


公共桝バージョンも、あった。


22031804.JPG


ちょっと砂が多い。


更には、カラーバージョン。


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緑の部分は、市の木である「クロマツ」を示している?



さらにさらに、
カラー蓋の公共桝バージョン。


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なんか、いろんなのがあるぞ。



違うデザインのやつも。


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中央にあるのは、名取市を貫く増田川……じゃなかった。
蓋にデザインされるような大きな河川は、無い。



もうちょっとキレイな蓋もあったけど、
川にしか見えない気がするが。


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カラー版では、いかに?


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市の木「クロマツ」なのだそうだ。

下の方は、閖上(ゆりあげ)の海。

震災の際には、この海が盛り上がって、街を襲った。

それでも、海の幸を産し、豊かな景観を形作る、
地元のシンボルでもあるのだ。



マンホールカードのバージョンは、
見当たらなかった。
事前に調べてそれを目的に訪ねないと
そうそう見つかるものでもない。



地下式消火栓の蓋。


22031810.JPG


市名以外は汎用のデザインである。



水道の仕切弁筐も、
市章以外は汎用デザイン。


22031811.JPG



先日の地震で東北新幹線が被災したから
しばらくは空路での移動が選択肢になるだろうか。



地震、津波、台風、豪雨、酷暑、記録的積雪、新型コロナ、
そして、ウクライナ戦争(宇露戦争、とでも呼ばれるのか)……。


「ライフプラン」を鼻で笑うような、昨今。
(「名取市のマンホール蓋」おわり)
posted by けろ at 21:00| Comment(0) | 衛生設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月17日

使えるようにしておく

「連結送水管」の送水口は、
その気になって探せば、
結構目立つところにたくさん並んでいるのを
見ることができる。


たいてい、使うことはない。

試験をするだけでその一生を終えるのが
ほとんどであろう。


けれども、イザというときにはしっかり役立たなければならない。



イザという時に限らず、いつ何時でも使えるような状態を
維持し続けなければならない。


そうでないと、せっかくの設備が役立たずになってしまう。



雪が積もって、
埋まってしまっている、なんてことのないように!


22031701.JPG


ここまでは、ギリ大丈夫だ。


これ以上埋まったら、
すぐに掘り出そう。



地域の道路にある消火栓も、
維持管理は消防署の仕事、と思っている方も多いだろうけれど
雪に埋まったものを掘り出しておくのは
その地域でも積極的にやっておくべきものではないだろうか。



ワタクシは、玄関先だけじゃなくて
道路の向こうの消火栓も掘り出すんだけど、
そこに雪が無くなると「良い捨て場所が出来た!」と捉える人がいるのは
なんでだろう。
(「使えるようにしておく」おわり)
posted by けろ at 20:00| Comment(0) | 防災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月16日

壁面ごちゃごちゃの術

トイレの壁は、混雑気味。


古いトイレであれば、
ロール1個用の紙巻器がついて、
「紙・ガムなどを捨てないでください」などと
意味不明(だとワタクシは思う)というか効果不明な
「標記板」くらいがついていて、オシマイ。


けれども現代のトイレは
ほんとうにさまざまなモノが必要となっているから
それぞれをどこに取り付けるのか
なかなか悩ましい。


TOTOさん、LIXILさんあたりで
標準的な配置は……などと研究して下さっているけれど
パターンがいろいろあるし、
利用者層によっても異なるし、
ほんとうに悩ましい。



何を優先するか、ということもあるだろうし。



22031601.JPG


L型手すりと、棚付二連紙巻器と、
洗浄便座のリモコン。

呼出ボタンからは、引きひもが下に伸びていて
紙巻器と少々干渉してしまっている。

左上にあるのは、呼出時に連絡するための
スピーカーか何か?

さらに、消毒してね、の掲示。



それぞれの取付高さと、便器に対する前後の位置、
各器具の離れなど、
実際に取り付けるとなると気になるところは多い。



ここから更に、
便器洗浄用リモコン、
予備ロール収納付き大型紙巻器、
壁埋込手洗器、
鏡、
ハンドドライヤー(コロナでだいぶ減った)、
物掛け用のフック、
などが追加されたり、
建築的にライニングが設けられたり、
ベビーチェアやベビーシート、
オストメイト対応汚物流し、
フィッティングボードなどなど。



フルセットで取り付けるとなると
もはや「城」のようだ。



水回りは重要。


バリアフリー(イマドキは、ユニバーサルデザイン)も大切。


もちろん、衛生器具メーカーの売上も、大事。



要塞化するトイレ空間は、
今後どのようになっていくことやら。



ちなみに、このトイレの天井部分は
まだ余裕がある。


22031602.JPG


ダウンライトと感知器と換気扇だけ。



果たして、ここも要塞化の対象となっていくのかどうか!?
(「壁面ごちゃごちゃの術」おわり)
posted by けろ at 10:00| Comment(0) | 衛生設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月15日

ちょっとホラーな危険物?

オイルタンクなど、
危険物を貯蔵する場所には
看板で周知することになっている。

火気厳禁を警告し、
貯蔵所であることを示し、
その内容、容量、責任者などを明示するものである。


鉄板製、アルミ製、樹脂製などがあるようだけれど、
鉄板のものは、年数の経過につれて
錆びてくることが多い気がする。



いわゆる「赤サビ」なのだけれど、
錆び垂れの様子や色合いによっては
少々事件っぽい感じになってしまうこともある。



22031501.JPG



まあ、それほどでもないんだけどぉ。



赤地に白の「火気厳禁」の看板を見て、

「おお、こりゃ注意せにゃあかんわ」

そんな気になった経験のある方は
いったいどのくらいおられようか?


ちらっと視界に入っても、
すぐにその存在を忘れるのではなかろうか。



ナントカ禁止 とか ナントカ厳禁

なんていう注意喚起は、イマドキは喚起効果が無いのかも、
なんて思ったりする。



むしろ、思いっきりホラーな見た目にしておいたら

「何だ、あれ?」と気になってもらえるのかも。



そういう意図でもって錆び垂れを残してある、
そんなわけは、ないのである。
(「ちょっとホラーな危険物?」おわり)
posted by けろ at 16:00| Comment(0) | 防災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月14日

いい感じに色づいて

ビルの壁面に、
こっそりとついているやつ。


最初はぴっかぴかなんだけれど、
年数が経つにつれて、
表面が酸化して、色づいてくる。


22031401.JPG



連結送水管の壁埋込送水口。



プレート自体はステンレスだから
錆はしないけれども表面が汚れてきている。


砲金製の送水口本体は
だいぶ色づいてきているなぁ。



イザという時に使用できないほどの状態でさえなければ
こういうやつも味わい深くて
いいんじゃないかな。



広場に立つ昔のブロンズ像のような感じで。
(「いい感じに色づいて」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 防災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月13日

ローコストのホール

ホールの造りは
なかなか興味深い。


ガッツリ造ると、結構なコストがかかる。



とあるホールに入った。


ここは、旧来のホールが耐震基準完全アウトで
使用中止となり、
しかしながら他に同等の代替施設が無いことから
緊急避難的に建てられたものだという。


正確には、計画中の代替施設ができるまで暫くかかるので
それまでの「つなぎ」という側面があったようだ。



そのため、かなりコストを抑えた造りとなっている。



基本的な内部仕上げは、ボードに塗装。


ホールとしての機能は果たしつつ
落とせるところはすべて落とした感じの
ローコスト建築である、ように見える。

少なくとも、見た感じは。



22031301.JPG



客席からステージを見る分には
あまり気にならないのではないだろうか。



本格ホールなら、天井面にもいろいろな吊物があるのだろうけれども
もしろんここにも最低限あるのだけれども、
極力汎用品を一般的な使い方で利用して
とにかくコストを抑えた感じに仕上がっている。


22031302.JPG



数百億円かけた、本格的ホールというのも、
あっても良いだろう。
(経済状況にもよるだろうが)


病院、学校、役場、美術館、などなど
しっかり、がっちり、壮麗に、造りたいものは多々あろう。



けれども、何でもかんでもそうやって造ってしまうと
すぐに金欠になってしまうのだ。


だから、こういうメリハリがあっても
良いのではないだろうか。


22031303.JPG


少々「安っぽく」見えたとしても
ホールは建物そのものを見せるためのものではなくて
その中で行われる演目が主役なのだ、という解釈も
あっても良いのではないか。

選択肢としては。



そんなことを思い巡らせた、
ホール。
(「ローコストのホール」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 建築工事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月12日

隙間に並ぶ設備

建物の隙間って、
たいていの人は見ることがない。


見る必要も無い。


興味関心も、無い。



悪事を企む輩が
防犯上の隙きを窺って
観察を試みるくらいなのだろう。



しか〜し!



設備屋もまた、観察をするものである!


なんて。


勝手に設備屋を代表したような言い方(書き方)を
するわけにはいくまい。


世の中の設備屋さんは、
もっと上品で紳士的でインテリジェンスな方が
ほとんどに決まっているのだ。


そこから少々(いや、大きく)外れてしまった
ワタクシなんぞが勝手な事を述べてはならないのだろう。



でも、わかっちゃいるけど、書く。



ま、別に一般化する必要はないのだ。

「せつび観察家」を自称して、
観察記録を公開しているだけなのだ。



さて、ちょっとした隙間は
気になるものである。


22031201.JPG


それほど多くのものがひしめいているわけでもないが
それでも、隙間を構成する隣り合った建物に関する情報が
ある程度流れてくるではないか。


その存在が、少しく「設備システム」を物語っているではないか。


さて、上の写真に、何を見るだろうか?


どれだけの情報を、獲得できるだろうか?



そんなこんなを観察するのは、
じつは本業ではない。

飽くまで趣味である。



本業は、一応、設備設計事務所、ということになっている。



趣味と実益を兼ねた状態と言えるのかもしれない。

ただ「好きを仕事に」したわけじゃない。
どっちかというと、「仕事を通じて好きになった」という感じ。


「なんと、物好きな」


そういうご意見も、多々拝聴しておる所でありますが
仕方ないでしょ。蓼食う虫なんだから。
(「隙間に並ぶ設備」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする