日本では、正月は正月で年の区切りとしての扱いがあるのだが
4月からの「年度」というものがかなり大きな意味を持つ。
だから、手帳やカレンダーにも「4月始まり」を謳うものがあるくらいだ。
桜前線が、絶賛北上中である。
全国各地の便りが連日伝えられる。
露宇戦争のため、政治経済各方面で多大な影響が在る故に
そちらの報道量が多くて、
平和な春の便りは埋もれがちではある。
確かに悲惨な状態であって、
何とかせにゃならん事ではあるのだが
だからといってあまりにも共感しすぎて
自分まで戦時下にあるかのような生き方をするのが
果たして正解なのかというと難しいところではある。
これを見て「寒そう」と思われるだろうか。
それとも「おお、暖かそう」と感じられるであろうか。
積雪寒冷地におられる方であれば、
このように路面が完全に露出していて、
縁石がすべて出ているような状態で、
雪が溶けて濡れている部分があるような様子を見れば
「ああ、春だ!」
そう思うのではなかろうか。
日本は四季折々の風物詩が豊かで
季節感に溢れていて
世界でも珍しい風光明媚な地なのである、
という言説がある。
あまり他の国に行った経験が多いわけではないから
それほど比較のしようもないのだけれども
国内をある程度訪れた経験からすると
さもありなんとは思う。
その上で、
雪国における、冬から春への大転換は
殊の外劇的で感動的なものであるとも
思うのである。
秋口に+5℃まで気温が下がると
「かなり寒くなってきた」と感じる。
しかし、春先であれば、
同じ+5℃であっても
「ものすごく暖かくなってきた」
となるのである。
太陽高度や日差しの強さの違いもあるだろう。
それだけではなく、
氷が張らなくなり、
雪山が少しずつその容積を減らし、
スカスカ、ザクザクの質感になってくることによって
確かに春が進んでいることが
日毎に実感され続けるのだ。
国内情勢、世界情勢、
果たして今後どのようになっていくのか
恐らく誰にもわかるまい。
しかしながら、
現に目の前にある春は
ありがたく愛でていたいものである。
「春を愛でる」機会は、
それほど多くはないのだから。
どんなに長寿であったとしても
生まれてすぐから意識できていたとしても
せいぜい120回が限度なのだから。
もっとも、南北に長い日本列島だから
あちこち飛んで回れば
ひと春に、何度もそれを体験できたりしちゃうのだけれど。
(「春を感じる」おわり)