2021年12月22日

空気の出し入れは存分に

建物の内と外とをつなぐ換気口は
いつだって悩ましい。


全く遠慮なく、市販の換気フードをズラズラ並べたっていいんだけど
「見た目」を気にする方には喜ばしくないらしいし。



……と、道行く際に
なかなかスバラシイ建物に目が行ったのである。


21122201.JPG



確かに、正面側ではないかもしれない。


けれど、各階の隅の部分に
空調機械室がしっかり確保されているような
そんな外観ではないだろうか。


恐らく地下駐車場の換気用に、
立派な立派な換気塔が添えられている。



各階ユニットのエアハンが置いてある感じかな。



確かに、市販換気フードを並べるのに比べると、
いろんなコストがかかる。


まずは機械室スペースを確保しなくちゃならないし
エアハン置くなら熱源も要るだろう。

天井内を太いダクトが走り、
それに保温材も貼りつけるから
設備工事費がかなり大きくなる。


それでもさ、
法定ギリギリの24時間換気を
壁につけたパイプファンの排気でまかなって
生の外気を自然換気口から入れるだけの
最低限の設備で済ませるよりは
かなりしっかりした室内の温熱環境を確保できる。


メンテナンスが的確に適切に行われてこそではあるが、
取入れ外気や還気のフィルターもしっかりしたものが付けられるから
浮遊粉じん量も減ずることができる。

外気が直接そのまま入ってこないから、
冬になると冷たい空気がすう〜っと入ってきて……という心配もない。

加湿も比較的乗りやすい。

居室給気、廊下還気とすれば
全館にわたって温度ムラの少ない環境が実現できる。


そんなこんな、設備的にはいいことづくめ(「ずくめ」が本来らしい)の
各階ユニット方式。



だけれども、建設コストとメンテナンスコスト、
どちらも多くかかるから、
最近はあんまり流行らない。


少なくとも、ある程度カネをかけられる建物じゃないと
採用されることはない。



でもさ、それでもさ、
狭い狭い天井内や壁面に
無理矢理確保するような換気用の開口部じゃなくって
こうやってどど〜んとしっかり設けたガラリは
いいな、って思うんだ。


そういうビルを見かけたら、

おお、カネかけてるね! グレード高いね!


って、思ってほしいのだ。



こういうモノすら表に見せていなくて
気づかせない所(視覚的に死角になる部分)にひっそりと、
しかし面積的にしっかりと設けてある建物が
いちばんグレードが高いんだろうなと思うのです。
(「空気の出し入れは存分に」おわり)
posted by けろ at 20:00| Comment(0) | 換気設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする