送風機を眺めてみるのだ。
片吸込遠心送風機。
シロッコファン、なんていう呼ばれ方もある。
基礎の上に防振架台が乗っけてあって、
その上にファン本体が乗っかっていて、
ファンには吸込みダクトと吐き出しダクトとが
接続されている。
左側の亜鉛鉄板で出来た箱は
吸込みチャンバーである。
左上からやってくるダクトで、
どこかからの排気をここまで持ってきて、
ファンに吸わせて、排気ガラリへと送るのだ。
ファンの上方に伸びているのが、
排気ガラリへとつながるダクトだ。
昔のダクトは、アングル工法と言って、
30mmくらいのアングルを使ってダクト同士を接続していたのだけれど
今はもっと簡便な方法を使う。
板の端っこを折り曲げてフランジっぽいものを作って、
クリップみたいなやつで留めていく。
共板工法、などという。
用途や圧力によっては、今でもアングル工法は使用されるけれど
一般の給排気はたいてい共板工法で済ませられる。
ファンとチャンバーやダクトとをつなぐ部分は
振動を吸収できるように「たわみ継手」を介して
接続されている。
キャンバス継手、などとも呼ぶ。
とにかく、同じモノを指す名称がいくつもあって
最初この業界に入った際には(中途採用の転職組だったのです)
大いに戸惑ったものである。
さて、このチャンバー、
扉がついているよね!
扉は、開けねばならないよね!
「いや、開けるなよ? 絶対開けちゃだめだぞ?」
そういうお約束のギャグもあるけれど、
ここはお仕事なのだ。調査なのだ。状況確認なのだ。
開けても、何らの問題も無いのである。
というわけで、よいしょっと。
どや?
この箱は消音チャンバーと言って、
鉄の箱の中に、消音材(グラルウール板だ)が
貼ってある。
鉄の鋲で留め付けてあるのだけれども、
それらが錆びてしまって、こうなっている。
チャンバーの中から、ファンの吸込み側を見てみよう。
この角度だと、ファン本体は写っていない。
たわみ継手の内面が見えるだけだ。
それにしても、所々錆びてるね。
もちょっと奥で、フラッシュを焚くと、
シロッコファンの回転部が見えてくる。
あの羽根のついたドラム回転体が回転することによって
空気を送り出すしくみになっている。
ついでに、チャンバーの上の方を見てみる。
ダクトの内面が、見える。
ここもだいぶ錆が出てきているなぁ。
このダクトの板は、せいぜい0.6mmくらいだ。
たまに映画なんかであるように
ダクトの中を這いずり回って……なんてことは
そうそう出来ない。
これよりも大きなダクトになると、
内部に補強材が入っていたり、
あちこちダンパーがついていたりして、
人間が通れるようにはなっていない。
飽くまで、フィクションなのだ。
SFなんかで宇宙往還機がロクに整備士もおらず
機材もないのにいとも簡単に離着陸しているけれど
実際上はなかなかそううまくはいかないのと同様だ。
ともかく、送風機廻りの状況は確認できた。
こんな送風機が、何台もあるのだけれど……。
全部調べるのは大変なのだ。
天吊のやつは、さて、どうしたものか。
(「送風機につながっているモノ」おわり)