初耳だと、何のことだかわからないかもしれない。
クーレーチ・ラー なのか、
クーレー・チラー なのか、
クー・レーチラー なのか。
イントネーションで、なんとなく真ん中かなと思うくらいかも。
ちゃんと書けば、空冷チラー である。
文字で書いてあればなんとなくわかりそうでしょ?
空冷式のチリングユニット、つまり冷凍機。
ここで冷やした冷水を循環させて
冷房を行うための熱源機なのだ。
水を冷やして冷水を作る、というのは
水から熱を奪い取ることでもあって、
奪い取った熱をば、空気中に放出する。
「空」気で「冷」やす冷凍機(「チル」するものだから「チラー」)
ということで「空冷チラー」という名前になる。
空冷だから、空気に接する場所に置いてある。
たとえば、屋上。
屋上に基礎が設けてあって、
その上に防振架台を据えてあって、
さらにその上に、空冷チラーが置いてある。
よく見ると「冷却専用」なんて書いてある。
加熱できるやつも、あるのだ。
そういうのは、「空冷ヒートポンプチラー」である。
水から熱を奪って空気へ放熱する働きの他に、
逆のこともできるやつ。
空気中から熱を奪って、水をあたため、
温水を作ることもできる機械だ。
ま、それについてはここでは置いておく。
今日は、この周りを見てみるのだ。
この機械で作られた冷水が送られる管と、
建物内で冷房に利用されてぬるくなって戻されてくる管とが
接続されている。
冷水の往管と、返管。
冷たいから、おもいっきり結露するから、
給水管なんかよりも厚く保温材を被せて、
さらにステンレス板で被覆してある。
だから、表面はビカビカだ。
けど、この被覆(ラッキング)、
すぐ凹みやすい。
雪で、あるいは人がおっとっとと手をかけてしまったり
うっかり(?)足で踏んでしまったり。
カラスが乗ったくらいじゃ、
ここまでは凹まないんじゃないかな。
そして、屋上から屋内へと配管を引き込む場所がある。
なぜか、こういう造りを「ハト小屋」と呼ぶ。
ハトなんか、飼っちゃいないんだけど。
コンプレッサーとか動かすのに、電力を使用するから
電源ケーブルや制御ケーブルも接続されている。
ケーブルは、鋼製の電線管の中に入っている。
機器接続部分は、可とう電線管(可撓、と書く)となっている。
錆びてきたりした部分を補修した跡だろうか。
ちゃんとメンテされていることがわかる。
そしてこれも、ハト小屋を通じて屋内へ入っている。
このハト小屋、
中はこうなっている。
ハト小屋の真下がパイプシャフトになっていて、
その頂部が屋根面に出っ張っているような感じである。
狭いところに、冷水管2本(保温材付)と、ケーブル数本。
ハト小屋の躯体自体に断熱されていることもあって、
かなり狭そうだ。
施工は大変だったことだろう。
屋根に乗ることは、あんまり無いかもしれない。
でも、そこではいろんなモノが密かに活躍していたりするのだ。
もし、自身の所有、もしくは管理権限や責任がある物件があれば、
屋根も見てみてほしい。
そこで活躍している「せつび」たちを、
愛でてみてほしい。
まあ、屋根にもいろいろあって、
全く何の設備も乗っかっていないこともあるんだけれど。
(「クーレーチラー」おわり)