2021年12月31日

危険物は油のみにあらず

建物の脇にある、油タンク。


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地下タンクではなくて、地上置きになっている、タンク。



敷地に余裕があるからなのだろう。
地下埋設にしなくて済むなら、費用も節約できて良いだろう。

都心の地価の高いところではできない、贅沢な配置であろう。



この油は……危険物看板を見ると何かがわかるのだが、

ん……?

看板が多い!?



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A重油、と書いてある下の看板の他に、
上に「木質チップ」と書いてあるものも貼ってある。



おお、ここではチップボイラも使っているようだ。



重油は少量危険物として、
木質チップは指定可燃物として、
貯蔵取扱所の看板を貼ってあるのだ。



ま、燃えるものだから、
量が多ければ明示しとけよ、というやつだろう。



ちゃんと、チップ庫が備えてあった。


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バイオマス利用によって、地球環境に優しい、ってやつだ。



ただし、木材をチップに加工する際に使う電力とか
乾燥させるために使う熱源とか、
運搬してくる際に要する燃料だとか、
その辺で化石燃料を大量消費しているようだと
本末転倒になるので留意が必要だ。

バイオマスさえ使えばオールOK、ということにはならない。

そのあたりのエネルギー収支の検討は
とても大切だと思うのだ。



チップは油のように流れていかないから、
専用の方法で運搬することになる。



まずは、貯蔵庫底部からチップを回収して、
上方にリフトアップする。


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足場が組んであるのは、
結構トラブルが多いのかもしれない。

わからんけど。



上方からは、水平移動させる。


21123105.JPG


このあたりでチップが詰まったりしそうな気もする。



チップ貯蔵庫から、チップボイラが据えてある機械室までは
架空で送っているようだ。


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小形のベルトコンベア的なものだろうか。

斜材で吊ってあるけれども、
エキスパンションジョイントやフレキシブルジョイントのような細工は
できなさそう。

ちょっとした地震動があると、
破損してしまいそうだが、
仕方ないのだろうか。



厳密には「危険物」という区分ではないのだけれど
燃料に使えるものはすべからく可燃物、危険物のような括りになろう。



油関係だと普段から使用されているし、
所轄消防でも扱い慣れているから話は早いけれど
あまり扱いの多くない木質チップとかペレットなどについては
計画の初期段階から念入りに打ち合わせしておいたほうが良いだろう。

そのあたりを曖昧にしておくと、
いざ計画が進んだ段階になってから「いや、待てよ? そもそも……」
なんていうことになりかねないから。



せつびのブログ、本年の更新は以上です。

だらだらと続けている、あまりためにならないブログかと思いますが
時間つぶしに、またお目汚しに
今後もたまに覗いていただけるとありがたく存じます。

来る2022年、いったいどのような年になるものか
誰にも予測がつかないであろう現状ではありますが、
人類が存在している限り「せつび」も存在し続けます。

ワタクシという人間が地上に存在している間は
何らかの発信を続けられたらと思っておりますので
今後ともよろしくお願いいたします。

設備と管理」も、ぜひご贔屓に!

年明け11日発売です。
(「危険物は油のみにあらず」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月30日

ガラリは目立つが役に立つ

ガラリ。


その無粋な音韻。


英語読み風に呼ぶなら「ギャラリー」なのであるが
なぜかなぜか、「ガラリ」と称されるモノ。



床壁天井で覆われた建物には
どうしても換気が必要である。


しかし、すべての室に十分な面積の窓を配置することはできない。


そうしようとすれば、自ずとベルサイユ宮殿のような
昔の兵舎のような、
そんな造りになってしまうのだが
現代社会がそんな造りの建物ばかりで済むわけもなく。



したがって機械を使用して強制的に換気を行うことになるのであって
外界と屋内との空気の流通を行うための開口部が
必須となるのである。



その部分に、雨や雪をしのぐためのルーバーをつけたものが
「ガラリ」なのである。



建物の規模が大きくなればなるほど、
換気風量もまた大きくなる。

すると、通気口としてのガラリの開口面積もまた
大きくなるのだ。



そして大きなガラリは、大層目立つものである。


目立つから、目立たない場所に、たとえば建物の裏側とか側面とか
そういうところに配置される。


そう配置されるのだが、なにせ大きいのであるから
やっぱり目立つことになる。


21123001.JPG


しかし、だ。


これだけの開口面積が必要だからついているのであって
無意味なものではないのだ。


いやむしろこれが無ければ、呼吸をする人間が利用するために
建物として存在が許されないのであるから
目立とうが目立つまいが、そもそもそういう次元の話ではないのだ。



目立つけれども、役に立つ。


そういうものなのだ。



だから、大きな建物になればなるほど、
こういう存在が必須であることを認識した上で
それをどこに配するか、
どのように見せるか、または見せないか、
「意匠的に」検討・設計する技術を要するのである。



間違っても「設備屋が勝手に考えて勝手に付けやがった」
そんなふうに考えないことだ。


絶対に必要なものに関して、考えなかったアナタの落ち度だよ。


そう反論されても、仕方がないのだ。



昔の建築を見てみると良い。

建築基準法上「建築設備」と定義されている煙突であるが、
各室の暖房(暖炉)に必須であるから
工夫を凝らしてデザインされているではないか。

1階の室でも2階の室でも利用できるように、
平面計画に合わせて
垂直方向の煙突もしっかり計画されているではないか。


「煙突屋が勝手に考えて勝手に付けやがった」
そういう建物もあるだろうけれど、
そうじゃない、しっかり計画された建物こそ
機能を意匠に上手にとりこんだ良いモノなのではないか。



というわけで、大きなガラリの計画も
意匠設計にとって、立面計画にとって
大切な要素なんだということを主張しておきたいのである。
(「ガラリは目立つが役に立つ」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 換気設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月29日

自動にあらずんば

新型コロナウイルス感染症の拡大以来、
もうどこに行っても自動化、自動化、の嵐である。



ドアじゃない。
水栓の話なのである。



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とあるトイレに並ぶ洗面器も、
ことごとく後付けの自動水栓になっていた。

電源を持ってくる必要があるから、
壁面にボックスやモールが取り付けられている。


コンセント電源、
もうちょっと近くにもってきても良かった気がするのだが。



自動水栓もどんどん型番やデザインが変わるから
それらを的確に把握していれば
いつの時代の施工だかすぐにわかるのかもしれない。


21122902.JPG


ま、なかなか正確には覚えられないけれど。
切実な必要性があんまり無いから。



新築だと、もはや「自動にあらずんば水栓にあらず」
状態である。


驕る自動水栓は久しからず……となるのかどうか。

それとも完全にデフォルトとなるのか。



「せっかく手をきれいに洗っても、
 洗った後に蛇口のハンドルを触ることで、
 菌類、ウイルス類が100%再付着します!」


このように宣伝(啓蒙、なんだけど)されてしまっては
なかなかそれに抗うことは難しい。


やはりデフォルトにならざるを得ないのだろうか。

「先立つモノ」次第、なのだろうか。
(「自動にあらずんば」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 衛生設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月28日

隠れてるような、隠れてないような

和室の冷暖房をしたい。


でも普通のエアコンや放熱器をつけたんじゃぁ
雰囲気が損なわれる。


ということだったのかどうか。



外壁側、カウンターの内部に
床置隠蔽形のファンコイルユニットが仕込まれてあった。


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ルーバーの加減や、銀色の本体色と相まって
ファンコイル本体も配管の保温材も
結構見えちゃってる感がある。


ちょっとナナメの横ルーバーにするとか、
保温外装に濃い色を使うとか、
何らかのやりようはあったのかもしれないけれど
結果としてこのようになった、ということか。



「事前に気づくだろう!?」


っていう人もいるけれど、
意外に気づかないものだったりする。
設計の時にも、施工図を描く時にも、施工の時にも。



竣工間際、
内装工事を何とかやり遂げて
改めて落ち着いて見てみると、あれれ?


そんな事態も、少なからずあるだろう。


そんな経験の積み重ねが、
設計の質や施工の質という形で
結実していくんだろうけれども、
なかなか後世に、また業界内に、
伝えていくのは難しかったりする。


チェックリスト的なものが効果がある場合もあるけれど
項目があまりにも膨大になってくると
盲目的にチェックを入れるだけの作業が生じてきて
何のチェックにもならない事態が発生する。


他の分野は、どうなんだろう。

医療とか運輸とか製造とか、
もっと緻密であるイメージもあるけれど
内情は内部の方にしかわからないのだろうから。

場合によっては、内部の方ゆえに気づかないことも
あるのかもしれないけれど。
(「隠れてるような、隠れてないような」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月27日

ビタビタにくっつけて

衛生器具類を据え付けるにあたって、
納まりが厳しいことも、ままある。


特に、改修工事に際しては
据えられる部分の面積が限られているだけに
なかなか苦労することも少なくない。


バリアフリー対応において、
そんな感じだったんだろうなぁという例を見かけた。


21122701.JPG


どうだろうか?



おそらく、バリアフリーとかユニバーサルデザインとか
そういう施策により、
オストメイト対応の汚物流しを設置しようとしたのだろう。

現在はもっとコンパクトな製品もあるけれど、
ここに至るまで汚物流しはいろんな変遷を経てきている。
この施設でこれを据えた当時には、
この型しか無かったのだろう。


隣の洗面器と、ビタビタにくっつけて取り付けられていて
もちろん隙間に手は入らないから、
下から持ち上げて、右からも支えて、
がんばって据え付けたに違いないのだ。


設計図の段階であれば、
描くだけなら如何様にも描けよう。

しかしそれを実際に具現化するとなると、
ほんと、大変なものである。


作業された方々のご苦労がしのばれる、
そんな汚物流し。
(「ビタビタにくっつけて」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 衛生設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月26日

冷却塔の冬じまい

ビルの屋上に「冷却塔」っていうものが乗っているのを
ご存知であろうか。


主として冷房に使うための機器である。
自動車で言う、ラジエーターのような働きである。

建物内の熱エネルギーを、水の蒸発潜熱という形で
大気中に放出するための装置なのだ。



冷房に使うものだから、
たいていの施設では、夏にしか使わない。

熱負荷の大きな建物であれば、春や秋にも冷房需要があるけれど
冬になってくるとさすがに働かない。
(もちろん、年中冷房が稼働する必要がある建物は、ある)


機械類っていうものは、
使っていれば使っていたで何やかやトラブルが生じてくるものであるが
使わないからといって放置しておくと、
これまたトラブルの原因となる。


特にこの冷却塔などのように、
ある時期に全く使わなくて、
その後にまた継続して使用するようなもの。


こういうモノは、次の稼働期をつつがなく迎えるために
それなりの「養生」をしておくのが望ましいのだ。



たとえば冷却塔であれば、
こんな感じになる。


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稼働時期であれば、
上部におおきな開口があいていて
盛んに大気との熱交換を果たすけれど
稼働していない時には、
単なるゴミ集積用の開口と成り下がる。

どこかから、ゴミやら葉っぱやら砂埃やらが飛んできて
容赦なくその口に入り込んでくる。


冬になれば、雪が降ってくる。
日射で一部溶け、寒気で凍り、
本体や配管を破損させていく。


それらを防止するためには、
こうやって開口そのものを塞いでしまう。

全体をシートで覆って、紐で縛って、
「養生」してやる


こういう作業をなぜか「養生」という。

人間が養生するのとは、だいぶ感覚が異なる。
機器類の養生とか、施工中の養生とか、
そういう言い方をするのが面白いかもしれない。



屋外に出ているモノは、
このように「冬じまい」をしていく。

ちゃんとメンテの入っている建物であれば、の話だが。



世の中にはノーメンテで働く設備も少なからずあって、
それらの労働環境はなかなかに劣悪だ。

当然、そのツケはやがてやってくるし、
機器や配管やケーブルの寿命を縮めてしまうのだから
決して良いことではないのだけれども
「メンテナンス費」という毎回目に見える現金を節約したくなって
メンテを省略してしまう例も少なからずあろう。



特にこのコロナ下にあって、
業績が思わしくないビルオーナーなんかだと
真っ先に減額対象となる費目なのかもしれない。

機器寿命がそれなりに縮んで、
遠くない将来の出費が多くなってしまったとしても、
今この事態を乗り越えることが最優先課題なのだから
致し方ないと割り切るしかないのかもしれない。


そんな年の瀬、
さて、何とか乗り切ることができるのだろうか!?
(「冷却塔の冬じまい」おわり)
posted by けろ at 12:00| Comment(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月25日

イタタタッ!

なんか、イタいモノを見てしまった。


外壁の、ちょっと上の方を見ていた。

そこに、照明器具がついていたのだけれども。


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取付部分が、なんかイタいことになってる。

金物が、引きちぎれている、よね?



結構高い場所なんだけれど、
背の高い車両か何かで引っ掛けた感じなんだろうか。



手前側は、完全に破断。

奥側の金物で、辛うじてもっている感じかな。



外壁に留めたアンカーは無事なようだけれども
さてこのままで大丈夫なものか?


本体重量にもよるんだろうな。
(「イタタタッ!」おわり)
posted by けろ at 20:00| Comment(0) | 電気設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月24日

隙間にも・隙間にこそ

2階建て以上の建物に入ると、
近隣の他の建物を上から見ることができる。


そんな観察が、結構好きである。


設備に関する仕事をしている者としての矜持であって、
「観察家」としての活動の一環でもあるのであって、
決して、決して覗き趣味なんかじゃないってことは
口を酸っぱくして言っておきたい!



まあそれはともかく。



やはり、窓からちょっと外を見る。


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右側には、平屋建物の屋根面が見える。

鋼板屋根の勾配が中央に向かってつけられている。
周囲に建物が密集しているから、
片流れ屋根にしてしまうわけにもいかないのだろう。


雨樋で受ければいいんじゃない?


たしかに雨であればそれでいいんだけれども
雪が降る地域ではそうもいかない。

この屋根面積分の雪の重みがかかったら
雨樋なんてすぐにぶっ壊れてしまう。



だから、雪はひと冬屋根の上に乗っけたままにする。
それだけの積雪荷重に耐えられるよう、
構造計算がおこなわれ。少なくとも新しい建物は。
(古いやつは……わからん)
想定以上の積雪があったら、雪下ろしをしないと
潰れるかもしれない。


屋根中央の溝部分には、おそらくヒーターが入っていて
製氷皿になることを防いでいるのだが
決して屋根面の雪全部を溶かすことを目的としていない。

溝がぶっ壊れたり、
雨水管内が氷柱となって破裂するのを避けるのが主眼である。



煙突が生えているということは、
煙突式のストーブを使っているのだろう。
もしくは、建てた当時は使っていたのだろう。

今だったら、FF式のストーブとか、
あるいは寒冷地用の暖房強化型エアコンに
置き換えられている可能性も高い。



よく見ると、煙突の根元部分の屋根鉄板が立ち上げてある。
「雪割り」といって、雪の荷重が煙突にかからないように
左右に分ける細工なのである。

これが無いと、雪、もとい、元雪である氷塊によって
煙突が折れてしまう危険性があるから。

何かのケーブルの引込柱がわりにも使われているようだから
折れてもらっては困るのだ。



じつは本日の主目的は、この建物ではない。


左の白っぽい建物との間の「隙間」である。



左の建物の外壁面も、
換気フードやら冷媒管用のカバーやら、
いろいろ見どころはあるのだけれども。



隙間には、何が見えるだろうか?



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暗いから、ピントがうまく合わない。

外壁の換気フードのほか、
エアコンの室外機とか
プロパンボンベとか
何かのダクトが見えないだろうか?



裏方が、好きなんだよね。

表舞台で、きらびやかなスポットライトを浴びて輝くひとたちも
それはそれで素敵なんだろうけれども
裏でそれを支えている人々、
その人達無しでは実現しない表舞台を作り上げている
名もない人たちにこそ、目を向けていたいんだよね。

たぶん称賛もされないし、待遇も良くはない。

でも確かに、裏方あってこその表舞台のはずなのだ。

なんか、「せつび」に通じるモノがある気がするんだよね。



近年になって、省エネとか環境とか叫ばれるようになってから
表舞台に引っ張り出されるような機会も出てはきたけれど
やっぱり裏方だよね、設備は。


「建築家」に対抗して作られたのであろう
建築設備家」なんていう呼称も
あまり知られているとは言えない。



影の稼業は、世間一般には知られないものなのだよ。



ああ、「隙間」から逸れてしまった。


続きを見なくっちゃ。



21122403.JPG



雑然とした中に、
なんかゴミに埋もれたように据えられている
設備機器たち。


このバルクタンクにLPGを補給するためには
どこかからホースを伸ばして来なくちゃならないね。

でも裏口側から届くんだろうね。
届かないところに据えるはずはないからね。


あの室外機は、たぶん、ノーメンテだね。
冬の屋上からのの雪庇爆弾に耐えて
今日まで生き残ってきたんだろうね。

影になる場所だから、
夏は日射の影響を避けて
比較的快適に働けるのかもしれない。
風のない日は熱がこもるかもしれないけど。



こんな感じで、
隙間にもいろんな「せつび」が置かれている。隠されている。

むしろ、隙間だからこそ、置き場の無い、行き場のない、
意匠屋さんの目線から隠して欲しがられる、
そんな設備類がひしめき合う場所として
利用される。


そこで、裏方として、表舞台の人々を
支えているのである。



そういう尊い方々は、たくさんおられるけれど、
ワタクシもそうなんだ、と言うつもりはない。

というか、言えた義理じゃない。

そこは残念だけれども仕方がない。
積み上げてきた努力の違いは
如何ともし難いのであるからして。

ま、せめてこれから、ボチボチやるしかありませんな。
(「隙間にも・隙間にこそ」おわり)
posted by けろ at 14:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月23日

見やすい天井内ばかりじゃないけど

天井の中を見ることは、
時々ある。

図面通りになっているかどうかを確認するため、
あるいは、図面が無いから実際にどうなっているかを見るため。

もっとも、実際に図面通りになっていることはまず無いから
そこに天井点検口があって、
脚立の調達ができて、
時間的に許されるならば
(場合によっては、体力も……)
中を見てみる。それが望ましい。



さて、カセット形室内機のある部屋だから
モノはわかるのだけれど、
接続配管や換気ダクトやその他諸々を見てみようと
天井点検口を開けてみた。


21122301.JPG


なぜかしらん。

少々埃っぽい。



そんな時、空間中に舞う微細な粉塵にフラッシュ光が当たって
こんなハローが出てしまう。

決して何らかの霊現象などではない。


ある程度、甘受するしか無いのだが、
ドレンアップの管がぴったり重なってしまっているのは
少々残念である。



たいてい、好き勝手に縦横無尽しているケーブル類が伴う。

手前には、スプリンクラ用のフレキ管もある。

室内機の天井内の様子を見たいのが主目的であったけれど
他のものも、いろいろ見えるのだ。


21122302.JPG

スプリンクラ配管を追いかけてみると、
まあよくありがちなんだけれども、
ねじ切りをした部分に錆止めが塗ってあるところと塗ってないところとが
混在している様子がわかる。

天井下地を、あるいは天井仕上材を施工する前の
僅かな時間では塗りきれなかったのかどうか。

後工程がつかえていて、どうしようもなかったのか。

現場監督の工程調整が杜撰だったのか、
そもそも物理的に到底無理な工期を要求されていたのか
単にズボラだったのか。

そのあたりも、今となってはわからない。

ただ「塗ってない」という結果のみが
眼前に厳として存在するのみだ。


21122303.JPG


古いコンデジの小さなディスプレイではあまり気づかないけれど、
こうやってPCディスプレイに表示すると
白い半透明の丸が矢鱈と目立つ。が、仕方がない、今さら。


スプリンクラのフレキ管と冷媒管とドレン管と各種ケーブルと
換気用ダクトが、入り乱れている。


設計・施工において、
3Dモデリングが徐々に浸透してきつつあるけれど
こういうのをどうデータとして正確に取り込むかねぇ。

点群データにすれば、属性はともかく取り込み可能ではあるけれど
ものすごいデータ量になってしまう。

それにちまちま属性を貼り付けて、整合性を取って、確認して……。


設計も施工も、納期工期が迫ると戦場化してしまって
寸分の余裕も無くなる中、誰がデータを作って確認して管理するものか
現時点ではあんまり出来る気がしない。


2D情報の「完成図」が正確であった試しがないのに
情報量が格段に多くなる3Dデータが正確である保証なんて
あるんだろうか。

ま、今後の技術革新によって可能になるのかなぁ。

3DスキャナとAIによって、
経験ある人間が詳細に調査したのと同じレベルで
データ化できるようになるのかもしれない。

それは、楽でいいなぁ。



外壁貫通部の排気ダクトには
保温材が巻かれてあった。


21122304.JPG


お、この写真には白丸が写っていないや。


国土交通省仕様だと、排気ダクトには保温施工をしない。
けれども、この建物は寒冷地にあって、
そういう地域では、排気ダクトであっても外壁からある程度は
結露防止のために保温施工する。


古い図面をひっくり返すと、
「外壁から1m」とか、1.5mとか2mとか、
結構いろいろある。

最近では、全熱交換ユニットの本体から外壁側は
すべて保温施工されているようである。


いろいろごちゃごちゃしてはいたけれど、
まあまあ見やすい天井内だったかもしれない。



天井ふところがすごく狭いとか、
機器類配管類がぎっちり詰まっていて遠くを見渡せないとか
点検口を配管が突っ切っていて中を覗けないとか
そもそも天井点検口が無いとか、
「見やすくない天井内」もたくさんあるから、
このくらい見えれば、御の字である。


新築で造る時には、見やすく無くてもまあいいんだ。
法的に必要な、防火ダンパーとか区画貫通処理なんかを
視認できるようにさえなっていれば。

でもね、短くない建物の生涯の中では、
設備関係の改修工事は結構何度もあるんだ。

だから、ある程度の「見やすさ」は欲しいのだ。



「でもそれは、設備屋さんの勝手な都合じゃん」

まあねぇ、そうなんですけどねぇ。


でもそれが巡り巡って、建築屋さんの為にもなるし、
ひいてはオーナーさんの為にもなるのだと
ワタクシは思うんですけどねぇ。

せつびの世界のヒト以外には
賛同者は居ないかもしれないけど。
(「見やすい天井内ばかりじゃないけど」おわり)
posted by けろ at 20:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月22日

空気の出し入れは存分に

建物の内と外とをつなぐ換気口は
いつだって悩ましい。


全く遠慮なく、市販の換気フードをズラズラ並べたっていいんだけど
「見た目」を気にする方には喜ばしくないらしいし。



……と、道行く際に
なかなかスバラシイ建物に目が行ったのである。


21122201.JPG



確かに、正面側ではないかもしれない。


けれど、各階の隅の部分に
空調機械室がしっかり確保されているような
そんな外観ではないだろうか。


恐らく地下駐車場の換気用に、
立派な立派な換気塔が添えられている。



各階ユニットのエアハンが置いてある感じかな。



確かに、市販換気フードを並べるのに比べると、
いろんなコストがかかる。


まずは機械室スペースを確保しなくちゃならないし
エアハン置くなら熱源も要るだろう。

天井内を太いダクトが走り、
それに保温材も貼りつけるから
設備工事費がかなり大きくなる。


それでもさ、
法定ギリギリの24時間換気を
壁につけたパイプファンの排気でまかなって
生の外気を自然換気口から入れるだけの
最低限の設備で済ませるよりは
かなりしっかりした室内の温熱環境を確保できる。


メンテナンスが的確に適切に行われてこそではあるが、
取入れ外気や還気のフィルターもしっかりしたものが付けられるから
浮遊粉じん量も減ずることができる。

外気が直接そのまま入ってこないから、
冬になると冷たい空気がすう〜っと入ってきて……という心配もない。

加湿も比較的乗りやすい。

居室給気、廊下還気とすれば
全館にわたって温度ムラの少ない環境が実現できる。


そんなこんな、設備的にはいいことづくめ(「ずくめ」が本来らしい)の
各階ユニット方式。



だけれども、建設コストとメンテナンスコスト、
どちらも多くかかるから、
最近はあんまり流行らない。


少なくとも、ある程度カネをかけられる建物じゃないと
採用されることはない。



でもさ、それでもさ、
狭い狭い天井内や壁面に
無理矢理確保するような換気用の開口部じゃなくって
こうやってどど〜んとしっかり設けたガラリは
いいな、って思うんだ。


そういうビルを見かけたら、

おお、カネかけてるね! グレード高いね!


って、思ってほしいのだ。



こういうモノすら表に見せていなくて
気づかせない所(視覚的に死角になる部分)にひっそりと、
しかし面積的にしっかりと設けてある建物が
いちばんグレードが高いんだろうなと思うのです。
(「空気の出し入れは存分に」おわり)
posted by けろ at 20:00| Comment(0) | 換気設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月21日

放置されているかのような

店舗の屋上駐車場なんかに、よく置かれているヤツ。

あれだ。あの、赤いボディのヤツだ。


21122101.JPG



たまに車にぶつかられて破損していたり、
あちこちが錆びていたり、
「すごく邪魔な位置にある」と邪険にされる、アレだ。



「移動式」と書いてあるけれども
移動できないように固定してある、アレだ。
法律的な名称だから、多少変に思ってもそう名乗るしかない。



赤く塗られているのだけれど
年月とともに色褪せていって
そのうち錆色と区別がつかなくなる、アイツだ。



誰も、何も気にしない、
もう何十年も、誰も触りもしていないかのように思えるかもしれない。


ただの放置プレイでウン十年を
過ごしてきているように思えるかもしれない。



でもね、そんなネグレクトでもないんだ。


まがりなりにも、消防設備なのだ。
だから、ちゃんと定期的に点検されて、
報告されて、構われているんだ。



それなのに、錆を取るわけでも、塗り直すわけでも、
凹みを(機能上支障がなければ)直されるわけでもなく
生温い目? 冷たい目? を、たまに一瞥もらうだけの
存在になっている。



「法的にオマエが必要なんだから、存在を許してるんだよ」

「ホントは邪魔で邪魔で仕方ないんだけどな」

「オマエが居なくなると、オレや上司が怒られんだよ。消防から」

「キレイでいたいなんて、ゼイタク言うんじゃねぇよ。
 そんなカネあったら、他で使うよ」


そんな声が、どこかから聞こえてこないだろうか!?



足回りが、赭褐色の度合いを増してきている。


21122102.JPG


誰か、錆落としをしてくれる者は居ないか?


耐熱強化ガラスの素敵な靴でも
誂えてくれる奇特な方はおられぬか?



居るわきゃないんだわな。
(「放置されているかのような」おわり)
posted by けろ at 15:00| Comment(0) | 防災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月20日

パイプシャフトが無くっても

建築士の製図試験に関連して、
良く訊かれた質問。


「機械室やパイプシャフトって、
 延床面積の何パーセントくらい必要?」


確かに、何らかの資料を見ると、
統計資料としてそのような率が書いてあるものも
無いわけではない。


けれども建物なんて、それぞれが一品生産品で
設備システムもさまざまだから、何とも言えない。

どんな用途で、どんなシステムを採用して、
どんな使い方をするかによって、
グレードをどうするか、どのくらい隠すかによって
全然違ってくる。

そうとしか、言えない。



まあ、試験の場合だったら
「このくらいにしておけば無難」っていう線を
押さえておけば合格に近づくのだろうから
試験対策としてはそういうアプローチもあり得よう。


でも実際の建物の計画であるなら、
まずは前提条件からおさらいしていく必要があろう。

面積云々は、それからだ。



統計資料は、さまざまな実例の傾向を見るために
処理された結果であって、
個別の事情とはいささか異なるものであったりする。



30代女性の所得はどのくらい?

日本人の寿命は何年?

○○県人の体重は何kg?



たくさんの事例を集めて、平均したり標準偏差を取ったり
中央値を見たり、いろいろ統計処理すれば
何らかの数字は出てくる。


けど、個々の人間にピンポイントで当てはまるかというと
全然そんな事はない。


設備スペースに関する数字も、そんな感じだ。



21122001.JPG


こんな建物だと、
空調のための機械室やパイプシャフトのスペースは
無いのかもしれない。床面積としては。


熱源である室外機も、配管も、
全部外壁に貼りつけてあるのだから。


機械類を全部屋上や外壁に据えてしまって、
配管も全部屋外露出にしてしまえば、
機械室もパイプシャフトも要らない。

その外観を、意匠的に許容できるのであれば。


ポンピドー・センターみたく、
敢えて観せるという意匠も、あり得よう。



外壁に、蔦を這わせて、配管も這わせて、
あらすてき。


21122002.JPG


そういう感覚が社会一般に広く受け入れられるような
そんな日が来ることがあるのならば、
これでも良かろう。



ただし、台風の襲来が多いとか、
冬期は凍結するとか、
噴煙が常に襲来するとか、
そういう自然条件によって「露出」が望ましくない場合もあるので
何ごとも条件次第なのである。


でもって、いちばん影響の大きい条件が
「コスト」だったりするのかもしれない。
(「パイプシャフトが無くっても」おわり)
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2021年12月19日

ツートン外壁とフード

世の中の建物は、
結構流れ作業的に造られていく。

一つ一つの要素について、
いちいちゼロから考えていくなんていうことは
たいていしない。

よほど多額の設計料と、長い設計期間が与えられていない限り
いちいちいろいろ考えている暇もカネも無いのだ。
コスト的に合わないのだ。


だから結構、「気軽に」「何の気なしに」
いろんなことが決められ、取り付けられていくものなのだ。



さてここに、2色に塗り分けられた外装の建物がある。


21121901.JPG


左が白、右が茶。


換気用のフードは何色にするか。

たぶん、誰も特に何も考えない。

設計図には、書いていない。
現場で指示があるわけでもない。
いろんな現場を飛び回っているダクト屋さんが
手持ちの材料でつけたり
普段良く使っているタイプのものを選んだり
そんな感じかもしれない。

でもちょっと気を利かせて、
「せっかく白い外壁だから、白色のやつにしよう」
そう考えて注文してくれる場合も、あるかもしれない。


上の写真、最下部にあるものや、
窓より少し上のラインにある換気フードは
白色塗装品となっていることがわかる。


茶色の外壁のものまで白色フードだけれども
そこまで色を分けてあげる義理はない、
ということだったのかどうかは知る由もない。


でも、最上段のフードは、銀色の製品色のままじゃないか。


最上段は、換気用フードじゃあない。
小屋裏換気口としてのフードだ。

つまりは建築工事なのだ。

ダクト屋さんじゃなくて建築金物屋さんが
取り付けたのかしらん。



設備の職種で色に配慮をしてあって、
建築の職種で配慮してないなんて、
普段と逆かもしれない。


ぜぇ〜んぶ、勝手な想像だけれども。
そんな想像の数々が、楽しかったりするのだ。


いやぁ、せつびって、本当に面白いもんですね〜。

さよならっ。さよならっ。さよならっ。
(「ツートン外壁とフード」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 換気設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月18日

これで済む場合もある

名ばかりの「ポンプ室」内に置いてあったもの。


冬タイヤとか除雪スコップとかその他もろもろ、
いろんな物品を置いてある倉庫にしか見えないところに
この赤いモノがちょこんと置いてあった。


21121801.JPG


じつはこの場所にはマンホールも隠れていて、
床下は消火水槽になっている。

常時水を溜めておいて、いざという時に
この赤いポンプで水を送って消火活動ができるようになっているのだ。



消火ポンプには見えないって?

パッと見、発電機じゃない、って?


その見立ては、そう外れちゃいない。

これはエンジンなんだから。



エンジンでポンプを回して
それで水を送るという消防ポンプ。

その名を「動力消防ポンプ」と称す。



ここは、屋内消火栓の設置を要する用途・規模の建物なのだ。
だから本来は、消火栓ポンプユニットを据えて、
建物各所に消火栓箱を設けて、
ポンプから消火栓まで配管で接続してやる必要があるのだ。


けれども、これには代替措置がある。


その一つが、これ。動力消防ポンプ。



消火水槽という水源を設ける必要があるのは
屋内消火栓と一緒だけれども、
消火ポンプを動かすための非常電源や
配管や消火栓が要らない。

水源と、この動力消防ポンプと、
汲み上げて放水に使用するホースと、
燃料があればそれで済むのだ。


コスト的には、こっちのほうがよほど安く済む。


無条件で代替できるわけじゃないし、
可否の判断は所轄消防の見解によるから、
すぐ飛びつくわけにはいかないけれども
一考の価値はあるはずだ。


これで済む場合もある。


ちょこっと頭の片隅に意識しておくと
ごくたまに役立つこともあるかもしれない。
(「これで済む場合もある」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 防災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月17日

受水槽付のポンプ

公共の水道インフラが無い場所にある建物。


でも、水は必要なのだから、何とかしなくちゃ。


「何とか」って言ったって、
どこかから汲んでくるか、井戸を掘るかしかないわけで。



お、井戸があったね。

もちろん、時代劇に出てくるような
つるべで汲む井戸じゃぁない。


21121701.JPG


深井戸用と書いてある、ポンプで汲み上げる
そういう「井戸」だ。

水量や水質の条件さえ悪くなければ、
井戸だって使うことができるのだ。



開けてみある。


21121702.JPG


まあ、普段の用は、盤表面に出ているボタン類で
操作するだけで事足りるのであって、
中を開けてみる必要性はあんまり無い。

何か問題があったりメンテナンスや改修する際に
ブレーカーを落とすときくらいか。

あとは、たいていこのような盤の中には
図面などが押し込めてあるから
それを見るときかな。


ほら、左っかわに折って挟んであるでしょ?


盤には、こんな表示もついている。


21121703.JPG


メーカーの仕様が書かれているやつ。

工事名とか施工者名とか、そういうプレートが
取り付けてある場合だってある。



井戸で汲んだ水は、一度受水槽に貯めてあった。


21121704.JPG


パネルタンクじゃなくて、一体形のやつ。

井戸の水量が今ひとつだったり、
状況に応じて給水したかったり、
そんな際に設けることもあろう。



この受水槽、下部に給水ポンプが押し込んであるやつ。


21121705.JPG


水槽の六面点検も兼ねて上げてある架台部分に
ポンプも押し込めてあるから、スペースは節約されている。


21121706.JPG


ポンプ2台、アキュムレータータンク、制御盤が一体となった
ユニット形の給水ポンプだ。

非常にコンパクトになっている。



さっきの負荷井戸ポンプ制御盤の中に入っていたのは
これだった。


21121707.JPG


なんと。

井戸ポンプの図面じゃなくて、
受水槽一体形給水ユニットの図面だった。


ポンプの性能曲線や

21121708.JPG

制御盤(井戸ポンプじゃなくて給水ポンプのほうの)の
仕様書なんかも一緒だった。


21121709.JPG


んんん。


井戸ポンプの情報は、無いんかい。



新築の時には、設備設計図や計算書をはじめ、
機器類の納入仕様書やら取扱説明書やら
さまざまな情報が建物本体とともに引き渡されるのであるが
いざ何か改修しようとなると、
たいていその類のモノは無くなってしまっている。

まあきっと捨てたわけじゃなくて
どこかにあるんだろうけれども
行方不明になっていることが多い。

民間建築だけではなくて、
公共建築であったとしても。



なんでだろ〜。



役所によっては、「10年後に廃棄」という
恐ろしい表示の箱に入っていたりする。


この建物、10年しか使わんつもりかね?


むしろ長寿命化を図って、50年も60年も
使いたいんじゃなかったっけ?


なのに図面以外の資料(計算書とか技術資料とか)は
すぐに廃棄しちゃって大丈夫なの?

大丈夫なわけ、ないじゃん。

だから、改修計画の際に困ってるんだけど。



なぁんて、ちょっとしたトラウマが蘇ってきてしまったよ。


井戸ポンプ制御盤の中に隠されていた
給水ポンプの資料。

一種、宝探しみたいなもんだね。
(「受水槽付のポンプ」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 衛生設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月16日

送風機につながっているモノ

今日は、人知れず換気機械室内ではたらいている
送風機を眺めてみるのだ。


21121601.JPG


片吸込遠心送風機。


シロッコファン、なんていう呼ばれ方もある。


基礎の上に防振架台が乗っけてあって、
その上にファン本体が乗っかっていて、
ファンには吸込みダクトと吐き出しダクトとが
接続されている。


左側の亜鉛鉄板で出来た箱は
吸込みチャンバーである。


左上からやってくるダクトで、
どこかからの排気をここまで持ってきて、
ファンに吸わせて、排気ガラリへと送るのだ。


ファンの上方に伸びているのが、
排気ガラリへとつながるダクトだ。



昔のダクトは、アングル工法と言って、
30mmくらいのアングルを使ってダクト同士を接続していたのだけれど
今はもっと簡便な方法を使う。

板の端っこを折り曲げてフランジっぽいものを作って、
クリップみたいなやつで留めていく。

共板工法、などという。


用途や圧力によっては、今でもアングル工法は使用されるけれど
一般の給排気はたいてい共板工法で済ませられる。



ファンとチャンバーやダクトとをつなぐ部分は
振動を吸収できるように「たわみ継手」を介して
接続されている。

キャンバス継手、などとも呼ぶ。

とにかく、同じモノを指す名称がいくつもあって
最初この業界に入った際には(中途採用の転職組だったのです)
大いに戸惑ったものである。



さて、このチャンバー、
扉がついているよね!

扉は、開けねばならないよね!


「いや、開けるなよ? 絶対開けちゃだめだぞ?」


そういうお約束のギャグもあるけれど、
ここはお仕事なのだ。調査なのだ。状況確認なのだ。
開けても、何らの問題も無いのである。


というわけで、よいしょっと。


21121602.JPG


どや?



この箱は消音チャンバーと言って、
鉄の箱の中に、消音材(グラルウール板だ)が
貼ってある。

鉄の鋲で留め付けてあるのだけれども、
それらが錆びてしまって、こうなっている。



チャンバーの中から、ファンの吸込み側を見てみよう。


21121603.JPG


この角度だと、ファン本体は写っていない。

たわみ継手の内面が見えるだけだ。



それにしても、所々錆びてるね。



もちょっと奥で、フラッシュを焚くと、
シロッコファンの回転部が見えてくる。


21121604.JPG



あの羽根のついたドラム回転体が回転することによって
空気を送り出すしくみになっている。



ついでに、チャンバーの上の方を見てみる。


21121605.JPG


ダクトの内面が、見える。

ここもだいぶ錆が出てきているなぁ。



このダクトの板は、せいぜい0.6mmくらいだ。

たまに映画なんかであるように
ダクトの中を這いずり回って……なんてことは
そうそう出来ない。


これよりも大きなダクトになると、
内部に補強材が入っていたり、
あちこちダンパーがついていたりして、
人間が通れるようにはなっていない。


飽くまで、フィクションなのだ。


SFなんかで宇宙往還機がロクに整備士もおらず
機材もないのにいとも簡単に離着陸しているけれど
実際上はなかなかそううまくはいかないのと同様だ。



ともかく、送風機廻りの状況は確認できた。


こんな送風機が、何台もあるのだけれど……。
全部調べるのは大変なのだ。


天吊のやつは、さて、どうしたものか。
(「送風機につながっているモノ」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 換気設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月15日

独り在る冷却塔は

脈絡なく、建物から離れた空き地に、
それは在った。


21121501.JPG



配管も、電源も、繋がっていない。

だから、何の機能も果たせない。

「冷却塔」としての役目を果たすべく
この世に送り出されてきたにもかかわらず……。



独り、何を想う?



ただの機械だからさ、何も思いはしないのだけれどね。



でもヒトって不思議なもので、
こんなモノ、物体にも
感情移入しちゃったりするんだ。


自らの、或いは誰かの境遇を勝手に重ね合わせて
哀愁を、もののあはれを、諸行無常を、
痛切に、またはそこはかとなく、
感じてしまったりするものなのだ。



コイツにとっては、「独り」とか「寂しい」とか
全く無縁であって、
錆びようが強風で倒れようが雪がどっさり積もろうが
なにも感じやしない。思やしない。



じつは、人間もそんなものだったりする。



自意識過剰だと、
他人がどう思うだろうとか、
何を言われるだろうかとか、
どんなふうに見えるだろうかとか、
いちいち気になってしまうこともあるのだろうけれど
実は人間そんなにヒマじゃない。


知らない他人の事や、
知っていてもそれほど親しくもなく興味もない人物の事など
いちいち気に留めているほど観察眼が鋭いわけじゃないのだ。

一瞬「?」と思ったとしても、
次の瞬間にはすっかり忘れているくらいなものだ。



むしろ、この冷却塔のように、
たまたまワタクシは商売柄気がつくのだけれども
別の畑の方々なんて、存在にさえ気づいてもいない、
そんな程度であることが多いのだ。


あんまり、気にするもんじゃない。


気に病むもんじゃない。


Que sera sera.
(「独り在る冷却塔は」おわり)
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2021年12月14日

その板は何のため

ありがちな、マンションの外壁である。


窓と、それなりに換気用のフードが並んでいる。


21121401.JPG


ここの換気フードは、表面が平になっているタイプのもの。

昔からある丸っこく出っ張ったやつじゃなくて
こういうのを採用すると、
外壁表面の凸凹感が少し減じられるかもしれない。



一番左側の窓は、出窓になっている。
少しでも、室内を広く感じさせたい。

そういう意図があることであろう。

だからと言って全ての部屋でこれをやると、
建築コストや工期に跳ね返ってくるから
この面ではこの1ヶ所で済ます、というのが
落とし所だったに違いない。



では別の面は、どうだろう?


21121402.JPG


お、こちらは居室が並んでいるのだろうか、
2面の窓が出窓になっている。



が、出っ張った窓の上の部分に、
何かついているのだ。


わかるだろうか?


21121403.JPG


窓の上、斜めになっている部分に、
板が取り付けてあるのだ。


さっきの窓には無かったけれど、
こちらの面には設けてある。


なんとなく、造り的に後付けっぽくも見える。


なぜ?



例のごとく、勝手極まりない推測をすることにしよう。


こちらの面は、下部が居住者用の駐車場になっている。
そして、北面であって、冬期には日射が無い。


冬になると、雪が振り、
こんな斜めの面であってもへばりついて、凍りついて、
ある程度の塊が乗っかった状態になる。


そして、重量と傾斜と摩擦とのバランスが崩れた時、
あるいは気候が少し緩んで暖かくなった日・時間に
前触れ無く「どしゃ」っと落ちてくることになるのだろう。



車に向かう居住者に直撃しても大変であるし、
下に停めてある車の屋根に落ちたとしたら
凹ませてしまう可能性もある。


いや、たぶん実際にそういう事態が生じてしまって
止む無く費用をかけて後から設置した……のではあるまいか。


何の根拠もない、ほんとうに好き勝手な想像でしかないけれど
無意味についている筈もないのだから。



「雪庇(せっぴ)防止板」とか「雪庇発生防止装置」とか
そんな類の名称で検索すれば、
建物やトンネル入口などに設けられた画像が
わんさか出てくるはずである。
(拙ブログでも 載せたこと がある)


寒い地域の建物の設計をする場合には、
降雪時の事も想定しておくことが必要なのだ。

得てして、意匠性とは相容れなかったりもするのだけれど。
(「その板は何のため」おわり)
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2021年12月13日

もう読めなくなっている看板の存在意義

看板というのは、
何らかの情報を、読み手に伝えるためのものである。

そうに違いないのだ。



宣伝文句が書いてあるものは
如何に気づいてもらうか、読んでもらうか、
苦心していろいろな方策を練り、
視線を惹きつけるべく鋭意精進しているはずのものなのだ。



増してや、注意喚起を促すためのものをや。



少量危険物貯蔵取扱所として、
火気厳禁を周知して然るべき
いわゆる「危険物看板」は
しっかりと目立ち、はっきりと読み取られてこそ
その存在意義があるものだと言えよう。



それにもかかわらず、
過日目にしたソレは、なんとも心許ないモノではあるまいか!


21121301.JPG



こうやって近寄って撮影でもすれば、
その言わんとすることが朧気ながらわかるとは言え、
少々離れてしまうともはや、
ただの紅白看板でしかないシロモノと成り下がっているではないか!



お目出度いのか?


慶事なのか?


そうじゃないだろう?



日光に含有されるエネルギーの威力がわかるとしても、
そんなことを知るためのモノではない。

適切に保ちたいものであるっ。



なんだけど、日々、ちょっとずつ、ほんとうにちょっとずつ、
徐々に徐々に薄くなっている文字の事なんて、
毎日のように視界に入っていたとしても、
いやむしろ、そうであるからこそ、
気づくことはできないのであろう。



たま〜に第三者が見て回って

「あれれ?」

と気に留めるまでは、
そしてそれを、建物所有者が

「そうだね、何とかしなくちゃね」

と受け入れて何とかするまでは、
この状態は維持継続発展していくものなのである。


そういうものなのだ。世の中というのは。
(「もう読めなくなっている看板の存在意義」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月12日

引きちぎったり壊したり

とあるトイレで。



洗浄便座の電源が、
少々高い位置のコンセントから取られていた。


21121201.JPG


でもアース線もちゃんとつないであって、
いいじゃないの。

目立つっちゃ目立つんだけど、
水がかりが無さそうな高さに設けてあるから
安全度は高いのではないだろうか。



コンセントプレートには、
番号と室名とが記載してあって
分電盤の回路番号なのか連番なのかわからないけれども
ちゃんと管理されているんじゃないかという
期待を抱かせるものとなっている。


ちょっとピントがボケてしまったのは
ご愛嬌というか。
単に下手なだけなのだが。

端末のディスプレイ上では、このボケ具合はわからなかったのだ。



ただ、本日のディッシュはこれではない。


もっと目立つモノが、そこにあったから。


21121202.JPG


紙巻器、であった。



二連の紙巻器なのであるが、
両方がだんだん減っていくのが
あまり好ましくなかったのであろう。

片方には厚紙でカバーをかけておいて
使われないようにして、
カバーのかかっていない方を先に使っていただき、
それがなくなったらカバーの在る方へ移行してほしい。

そういう趣旨だったのであろうと推測するのだ。



そのほうが無駄なく使い切れるし、
二連紙巻器の両方がちょこっとずつしか残っていなくて
結局紙切れ……なんていう悲劇に見舞われるリスクがなくなるから
利用者にとっても益となるはず。

そういう、管理者の親切心の賜物だったはずなのだ。



なのになのに、それなのに。


心無い利用者が、
せっかく工夫して作った厚紙製のカバーを
事もあろうに「引きちぎったり」「壊したり」
してしまうと言うのだ。


これは、物申さずにおれようか!!!


……というのは、ワタクシの勝手な想像。

設置者の心の叫びを、
勝手に読み取った気になって解釈した気になって
ごめんなさい。


真相は、如何に!?
(「引きちぎったり壊したり」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする