この国に生まれ育った有り難さを味わっている。
きっと、どのような地においても
それぞれの良さ、それぞれの感動があるのだろうから
優劣を語るような事ではないのだろう。
それでも、日本の四季の映えることについては
他国の方々にとっても異論を挟むものではなかろう。
特に、秋の極彩色が目に麗しい。
春は春で、若葉の新緑が映え、
夏は夏で、濃さを増した緑が網膜を癒やし、
冬は枝のみを残して
本来の外壁であるレンガの姿が雪の白さと対比されて魅せるのであろう。
しかし、秋こそ彩度が一層に際立つのだ。
そんな背景に置かれた室外機の
映えないわけがあろうか!
夜はライトアップもあるのね。
さぞや幻想的なことであろう。
もっともこの室外機たちは陰となって視界から消えようが。
送水口、採水口の類の、本来目立つはずの赤いプレートが
蔦の赤の暴力に霞んでしまっている。
ま、消防隊が位置を把握していれば済む話だ。
一般の利用者や来訪者には知ったことじゃない。
むしろ室外機の白い肌こそが
背景に浮かび上がる状態になっている。
むりやり合成したように見えなくもないが、
確かにここに実在する機械なのである。
四季折々の中、変わらずそこにある機器類ではあるが
これだけ豊かな季節変化があるということは
マシンにとっては結構過酷な環境なのであろう。
ぜひ、労ってあげていただきたいものだ。
(「秋だ!室外機だ!」おわり)