2021年11月30日

あっちにもこっちにもフード

窓の少ない外壁。


のっぺりした感のあるその表面には
数々の換気口が並んでいる。


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防風板付きのベントキャップのみならず、
有圧扇や換気扇用と思われる四角いフードが
点在しているのだ。



他の面も同様だ。


21113002.JPG


なんかの店舗だった建物だろうか。

看板が白く塗りつぶされているところを見ると、
現在は閉店中、というかテナントが撤退してしまった
そんなところだろうか。


四角いフードと、消防隊進入口とが並んでいる。



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なかなか整然としているではないか。



結構な床面積を有する店舗のようだけれども
果たしてこの後どのように利用されるのだろう。



そしてその時、設備たちは元気に働けるのだろうか。

それとも、内臓(せつび)は
総取り替えしなくてはならないのだろうか。
(「あっちにもこっちにもフード」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 換気設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月29日

外壁沿いのケーブルラック

いろんな改修に伴って、設備機器がドカンと増えることがある。

たとえば、それまで無かった冷房を設置するとか。



温暖化が進んで、あるいは都市化が進んで、
夏の猛暑、いや酷暑がハンパじゃなくなってきて、
どこもかしこも冷房化せざるを得なかったりするんだから
ありがちな事なのである。



でもそうすると、電気が足りなくなるのだ。

キュービクルの容量自体が足りなくなるのだ。

受電容量からして、不足してしまうのだ。

となると、電力会社の電柱から引き替える自体となる。



既設の建物だと、新たにケーブルを引いていくのもなかなか大変だ。


新築だったら天井内とかEPSとか
うまい具合に隠すことができるのだけれども
改修だとなかなかそうもいかない。


廊下などの天井を剥がして一所懸命に通そうと試みても
各所に隠されている梁などが支障になることも少なくない。



ええい、それならいっそ。

と誰かが言ったかどうだか。


21112901.JPG


全部外に通してしまえ。

そういうことになったようだ。



なるほど、外壁を立ち上げて、
バルコニーの下に通せば
なかなかいいルートが取れるじゃないか。



同じような感じのものを、
上から見てみよう。


21112902.JPG


蓋付きのラックにして、雨をしのぐようにすれば
まあ大丈夫だろう、と。

ケーブルにはちゃんと被覆があるし、ね。



そうなんだ。

いよいよとなったら、「外を通す」のもアリだ。



ただし、雪が降る地とか、凍結する地とか、
強力な台風がたいてい必ず毎年来る地とか、
土地土地の条件については考えたほうが良いかもしれない。

いや、考えなくちゃダメだね。
(「外壁沿いのケーブルラック」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 電気設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月28日

掃除用流しって、健気じゃぁないか

「掃除用流し」って、
必要であるのだけれども
たいていどこか隅の方だったり掃除用具置場内だったり
狭いところに押し込められていて、
どっちかと言うと陰キャなのである。


きれいな水は流してもらえず、
鼠色に汚れた雑巾水を流されたり
すえた臭いのするゲロ掃除後のモップを洗われたりして
あんまりキレイなイメージは持たれようがない。



周囲には所狭しとバケツ、洗剤、モップ、ちりとり、ゴム手、
その他何でも置かれまくって文字通り足の置き場もない。


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洗面器のように誰かがその前で化粧直しをすることもないし、
洋便器のように上に座って考え事をしたり、スマホを眺めたり、
つらさをじっと堪える人も、来ない。



たまに、忙しそうな掃除係の人が
テキパキと、あるいは気だるそうに、
自らの仕事をただ黙々と果たしに来るだけだ。


でも、文句も言わず(ただの陶器だ。言えるわけもない)、
ただ、そこに在る。

便所改修に伴って撤去される、
あるいは建物自体が解体される、その時まで。


こういうのを、「健気」って呼んでもいいのかどうか。



でも敢えて言おうじゃないか。


「健気だね」と。



次々とデザインも機能も洗練されていく他の衛生器具と違って、
変わらない、SK22A。
(「掃除用流しって、健気じゃぁないか」おわり)
posted by けろ at 13:00| Comment(0) | 衛生設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月27日

後から取り付けると

上の方の窓から覗く、給排気トップ。


21112701.JPG


FF式の暖房機だろうか。

窓の向こうになんとなく給気管と排気管らしき影が見えるから
きっとそうなんだろう。



元々は設置されていなかった暖房機を新たに付けたかった。

だけど、壁が無くって、給排気トップを出す場所がない。



壁が無いんだったら、窓を潰せばいいじゃない。



設備界のアントワネットが言ったのかどうだか
こういう造りになったに違いない。



かくして、外側の窓は、閉まらなくなった。


建具の内部であった木枠は、
内装材から外装材へとジョブチェンジした。


容赦なく吹き付ける風雨に、風雪に、
外壁タイルと同等に耐えられるや否や。

まあ、耐えられるわけは無いんだけれども
悪くなったら取り替えればいいよね。


そんなこんな、葛藤があったのかどうか。



違う場所でも、同様の造り。


21112702.JPG


こっちは更に、換気用のフードまでが
窓を亡き者にしてしまっている。

哀れな窓たち。



建築「付帯」設備と昔呼ばれていた設備機器たちが
下剋上を果たしたのかどうか。


そんな上下関係なんて、ホントは無いんだけどね。


とにかく新築とは異なり、
改修の際には何かと制約があるものだ。


それらを掻い潜って、
如何に必要とされる機能を、安価に、容易に実現するか。

それが、改修設計の醍醐味であり難しさであるわけなのだ。


で、意外と結構行きあたりばったりして
それもまた見ていて楽しいのだ。

(当事者は眉をひそめているのかもしれない)
(「後から取り付けると」おわり)
posted by けろ at 23:00| Comment(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月26日

酸素を貯めてある

あんまり普通の建物では見かけないけれど、
ちょっと大きめの病院の脇には、結構あるモノ。

液化酸素の大きなタンクが置いてあった。


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なかなかに厳重な柵で囲われていて
「火気 油脂厳禁 無断立入禁止」と
看板が貼り付けてある。



手術室とかICUとか、一般病室であっても、
酸素吸入が必要な患者さんがそれなりにいるから。


病室にもたいてい、酸素(と吸引)については
壁面にアウトレットが備えられているはずだ。



お世話にならないに越したことはないけれど
万が一の際にはとても助かるものである。



うしろには、蒸発器。


21112602.JPG


絶賛稼働中であれば、
ここに霜がびっしりついていたりするのであろう。



それにしても、だ。


冒頭の画像の看板なんだけれど、

「火気 油脂厳禁」は、まあわかる。


でも「無断立入禁止」ってのは、一体何なんだろう。

そもそも柵で囲ってあって鍵までかけてある場所に
うっかり入ってしまうような輩がいるのかしらん。



うっかりじゃないとしたら、
故意に入ろうと目論む人物が居たとしたら、
そういう御仁がこの看板を見て

「ああ、無断じゃダメなんだね。やめとこ」なんて
引き返すだろうか?

故意に入ろうとする時点で非常識なのだから
看板の注意を見て思い留まるなんていう
常識的な行動を取るだろうか?



「立入禁止」


この表示、いっつもモヤッと来るんだよなぁ。



いや、ワタクシは入りゃしませんよ。

たとい看板が無くったって、
「どれどれ」なんて、入りませんよ。



「観察家」だから、怪しいって?



そんなぁ。疑わないで欲しいものです。

ワタクシはいつだって、
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ
「せつび」への興味関心が人よりも強めだっていうだけの
善良な一市民として「観察」をしているだけなのです。


それも、仕事じゃなければ、
長時間じっくり観察するなんていうことはなくて
ほんとにごく一瞬、せいぜい数十秒の観察と撮影。

それだけなんだから。
(「酸素を貯めてある」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 衛生設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月25日

バイブラ装置に送るためのブロアポンプ

機械室内で唸っている、
ちょっとした装置。


モーター直結の回転体があるように見える装置。


21112501.JPG



配管が2本接続されていて、
手前左のやつは送り出す管。

装置から出てすぐに上方に分岐して
バルブを介して漏斗状のものが取り付けられている。


もう1本は、ただ上部が開放されている管。
ここから空気を取り入れて、
この装置で圧縮して、
空気を送り出す「ブロアポンプ」である。

「ブロワ」と書いてあることもある。



この先は、浴槽の底につながっていて
底面からブクブクと気泡を放出する「バイブラ」として
利用される。



ただ湯が溜まっているだけの浴槽だけではなくて
気泡浴(バイブラ)だったり、ジェット噴流浴だったり、
打たせ湯だったり、
大浴場なんかの浴槽には、いろんな機能が付加されているものも多い。



それぞれの機能には、
それぞれの配管が、装置が、接続されていて
人の見えないところで
しっかりと働いているのである。


「黙々と」というわけではない。
動作中は結構唸っている。

でも、客前ではそれを見せないのである。
陰で密かな努力を続けているのである。



ビッグボスみたい?
(「バイブラ装置に送るためのブロアポンプ」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 衛生設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月24日

何とかして固定しようと

何度も改修を重ねたと見える、
とあるトイレのブース内。


紙巻器の取付に少々困難が生じていたのか
それを何とか解消すべく
なかなかガンバッタ細工が施してあった。


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手すりと紙巻器とを結構無理矢理という感じで接続して
固定しようと努めている感じ。


紙巻器用の固定ビスが、うまくボードに刺さらなかったか
ボードが劣化していてビスをうまく受け止められなかったか、
紙巻器自体は何とか留まっているけれど
利用者が手をかけたりしてちょっと力がかかると
すぐ取れちゃう状況だったか。



理由は何ともわかりかねるけれども
誰かが苦心して取り組んだ成果であろうことは
想像できる。


新築・改修後のピカピカの状態であったら
こういうのはご法度であろうけれど
改修に改修を重ねてあちこちその痕跡が満ちているような場合だったら
こんな応急処置もまあ、良いんじゃないだろうか。
(「何とかして固定しようと」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 衛生設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月23日

こんなところでも飛沫防止

コロナ騒動が持ち上がってから、
かれこれ2年になろうとしている。



現状、感染者数は底を打ったようになっているが
世界各国では再び感染拡大が進みつつあり
日本においても「第6波」の到来が懸念されている。


果たしてどうなるのやら、
「専門家」の間でもいろいろ言われているようで
素人にはさっぱり判別しかねる。



「飛沫防止」が日常になった。

それゆえ、効果のほどはどのくらいなのか
ワタクシにはわからないけれども
あちこちで飛沫防止措置があるのが当たり前になった。

少なくとも「無いよりは有ったほうがよさそう」には感じる。



21112301.JPG


トイレの中も、この通り。


3年前にこれを見たら
異常に感じたかもしれないけれど
現在ではもう抵抗感はない。


そのぐらい日常と化した。


これから先、どのくらいまで影響を引きずるのだろうか。


「文化」として、後世に伝えられていくものだろうか。
それとも、コロナ以前の状態に、やがて回帰していくのだろうか。


「せつび」的には、はたして温風の手指乾燥機は
この後存在し続けるものか、廃れてしまうものなのか。
(「こんなところでも飛沫防止」おわり)
posted by けろ at 12:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月22日

こういうスペースが必要だった時代

このデッドスペースは、何?

そう思われたことはないだろうか。


21112201.JPG


それほど新しくないいろんな施設のロビーなんかに
時々見かけるコーナーである。


現在は、このコロナ禍の中にあって
除菌BOX置き場として辛うじて利用されているようである。



でも昔は、必ず設けられたこのコーナー。



ある程度の幅のあるカウンターがあって、
その下に結構な重量を支えられるだけのボックス
(もしくは棚)があって、
下方にコンセントやノズルプレートが並んでいる。

上部にもダウンライトなんかが仕込んである。

そんなスペース。



これが何だかわかる方は、
ちょっと古びた方(相当に失礼な言い回しだが)である。



携帯電話の普及に伴って、
徐々に姿を消してゆき、
現代の新築建築物には全く設けられなくなった。



公衆電話コーナー



昔々は、ここに公衆電話が並んでいたはずである。
下のボックスには、電話帳が何冊か
納められていた筈である。



現在も辛うじて生き残っている黄緑色の電話機が
至る所に設置されていた時代には、
これが無ければ始まらなかった。



待ち合わせも、家族への連絡も、タクシーの呼び出しも
別れ話も、緊急のお願いも、壁に向かって頭を下げながらのお詫びも
恐らく3台ほど並んでいたであろう公衆電話からしか
実行できなかったのである。


そして後方には、空き待ちの列があったり。


ポケットベルなる今思えば不思議な通信機器で
他愛もないメッセージを送り合うために
小銭を握りしめたJKたちが大挙して並んでいた
そんな時代が、確かにあった。



栄枯盛衰は世の常であって
そういう名残が時代とともに少しずつ姿を消していく。


入れ替わるように、次々と新しいものが姿を表して
あるものはたいそう流行り、
あるものはたいして認知されることなく人知れず消えていく。



歴史学とか考古学とか
そういう長さの時間ではないけれど、
「せつび」の観察によっても
時間の経過、時代の変遷を
わずかばかり辿ることが出来るのである。


機械であったり、出版物であったり、
生活用品であったり、衣装であったり、
「時間」「時代」を辿ることができるモノは多い。

それら一つ一つに目を留め、意識を向け、
愛情を注ぎ、哀愁を感じる。



人間って、文化って、そういうもんだよね。


目の前の利益にあくせくしているだけが
人生ではないのである。

たぶんね。
(「こういうスペースが必要だった時代」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 電気設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月21日

羽子板と呼ばれる

羽子板って、ご存知であろうか。


当然、ご存知の筈である。
新年の季語である。

そして「せつび」にも、
時々出てくる語でもある。



普通は機械室や電気室など
一般の方々の目に触れない箇所で良く見られる。

もしくは天井内に設けてあるから隠れていてわからない。
見えるのは天井面に取り付けられたアネモだけだったりする。



でもたま〜に、顕になっているのを
見かけることも無いではない。



おお、あった!



21112101.JPG



ドライエリアから伸びているダクトの先端部分が
「羽子板」なのである。


側面から見たんじゃ、よくわからないって?



それじゃ、正面から。


21112102.JPG


ダクトの先端部が少し広げてあるので
羽子板状の形状をしている。

だから、こう呼ばれる。


ダクトを広げた部分に
制気口が取り付けられている。

果たして給気か、排気か、
見ただけではわかりようがない。



制気口にはルーバーがついているため
ただの穴よりも開口率が下がっている。

必要な面積を確保しようとすると、
ダクトサイズよりも大きな制気口が必要となり、
仕方なくダクトを広げてそれを取り付けるのである。



んじゃ、ダクトサイズはそのままで
縦長の制気口をつければいいんじゃ?


それも、その通り。

そうしても良いし、羽子板にしても構わない。

実際に、どっちも目にする。



ただし、どちらも普段あまり一般の視線に留まらない場所に
設けられていることが多いのは冒頭の通り。


見つけられたら、ラッキーなのだ。


でも、そういう意識を持って常に観察していないと
気づけないかもしれない。



だって、こうやって外壁と同じ色に塗られていて
露出ではあるんだけれども、なるべく息を潜ませて
目立たないように目立たないように存在しているのだから。
(「羽子板と呼ばれる」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 換気設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月20日

孤高の粉末消火設備

「孤高」は言いすぎなのだけれど。

屋上駐車場に、いくつか並んでいるのだから。



でも、いちばん隅っこにあるから
そう見える。



21112001.JPG



本体はすっかり色あせて
表面に書いてある文字もほぼ消えてしまって見えない。

赤色ランプの下部分だけ文字が残っているのは
ランプが日射を若干遮るからなのか、
雨を僅かにしのぐのに役立っているからなのか。

塗料や仕上材の耐久性に関して
このようなモノを研究している方は
果たしておられるのかどうか。



華奢な本体と比して、
車よけのガードはそうとうガッチリしている。

それに伴って、基礎も頑丈そうだ。



相手が乗用車だと、本体だけなら絶対に負ける。

だからこそのガードなのである。



ほそぼそと設備に関わっているワタクシには
こんなガードがあるのかしらん。


いざ何かが突っ込んできた時に
その衝突の衝撃から守ってくれるものが
有りや無しや。



大手企業の社員さんだったら、
それなりのもんがあったりするので
コロナ禍や業績低迷や業務過多やトラブル発生時などに
周囲で守ってくれる存在があるのかもしれない。



企業の看板や社会的認知度や資本力が無い場合には
「公助」としてのセーフティーネットが機能するといいんだけれども
給付金やら何やらのお話を見るにつけ
なかなか望み薄だなぁと諦念を覚えたりしないでもない。



それでもねぇ、
食っていかにゃならんのですわい。
食わせていかにゃならんのですわい。


いろいろ申請して、数ヶ月後に現金5万円+クーポンって
無いよりマシとは言え、喫緊の必要に何の役に立つというのだろう。

手間と事務経費ばかりかかって、
スピードも遅くって、
投入した資金に対して実際に効果のある割合が低くって、
いくら次の参院選をにらんでとは言っても
何ともお粗末ではあるまいか?



なんて。



文句あるならちゃんと選挙に行くべきだし(ワタクシは行った)
何なら自ら立候補して政策の実現を目指すべきなんだろう。

ワタクシはそんな器じゃないし
器量にも人望にも知恵にも実行力にも欠けるから
どうしようもないんだけれど。


せいぜい、納税の義務を必死で果たすくらいしか
できそうにない。



力強いガードは、
時として「過保護」と捉えられる。
自らが強い者たちにとっては
その必要性について認知できないのであろう。
(「孤高の粉末消火設備」おわり)
posted by けろ at 12:00| Comment(0) | 防災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月19日

網戸の向こうの室外機

曇天が徐々に暗くなっていく夕暮れ時、
ふと窓の外を見る。


網戸越しに、室外機たちが陣取っている。


防水層を巻き込んだ、立派なコンクリート基礎の上に載っていて
脇と頭とにこれまた立派なフードを被った、
そんな室外機。


21111901.JPG


防振架台にも載せられている。


よぉく見ると、
ガス管がつながっているようでいて
じつはつながっていないのかも。



元々置かれていたGHP(ガスヒートポンプエアコン)を撤去して
EHP(電気式のヒートポンプエアコン)を設置したのかどうか。


あいにく、この建具は鍵がかかっていて開かない。

確かめに行く術はない。



一番近くから見られる窓が、
ここだったのだ。


まあ、無闇に屋上に出ていかれたら
施設管理者としては困るだろうから
眺めるだけにしておくのだ。


仕事で行ったんじゃないから。
(「網戸の向こうの室外機」おわり)
posted by けろ at 09:00| Comment(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月18日

蒸気を使うなら水処理

あんまり見ることは無いと思うんだけど、
世の中の建物の中には「蒸気ボイラー」を使っているものも
若干ある。


水を加熱して、沸騰させて、蒸気を作って、
その蒸気を配管であちこち持っていって使うのだ。


たとえば、暖房用に。

水を加熱してお湯を作る際に使われることもある。

要は「熱源」として、だ。



あとは、空気に湿気を送り込む「加湿」の目的で
使うこともあるくらいかな。


工場なんかで動力源として使ったり
なんてことも、無いわけではない。
(もう、そういう存在は「建築設備」ではないけれど)



さて、蒸気の元になる水なのだけれど、
普通の水道水には、ミネラル分が若干含まれていたりする。
(地域によって異なる)



水を沸騰させると、中に溶け込んでいたミネラル分が析出して
だんだん固形分が蓄積されてきてしまって、
ボイラーの中や配管の中にこびりつき、成長し、
下手すると塞いでしまうような事態にもなりかねない。


というわけで、ちょっと薬品を混ぜたりして
水中に溶け込んでいるミネラル分(硬度、と言ったりもする)を除去する
「軟水器」なる機械に通してからタンクに貯めて、
そしてボイラーに送り込む。

そんな水処理装置が、
蒸気ボイラーに付随して、置かれているはずだ。


21111801.JPG


こういうやつ。



見たことは……業界外の方だと、まず無いことでしょう。
業界の方でも、蒸気に縁遠い皆さんだと
やっぱり見たことがないかもしれない。


結構「レア」なものなのかもしれない。

特に最近は。



ま、見られるうちに、せいぜい見ておくことです。

ファッションの流行みたいに、
リバイバルで流行していくことが、有りや無しや。


でも多分、無いことでしょう。
(「蒸気を使うなら水処理」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月17日

十分な換気取れてますね、きっと

とにかく、なんてったって、
建物には換気が必要なのだ。


必要なんだったら、なんだ。



建築基準法っていう、建物の憲法みたいなやつで
厳粛に決められているのだから仕方がない。



建てる前に、「ちゃんと換気してますよっ」という図面を
役場の人(か、代理の審査機関の人)に見せて、
法律に定められている換気量を取っているかどうか
確認してもらわなきゃ、建てちゃダメだっていうんだ。

おまけに、建物が完成した後にも
「うん、ちゃんと造ってあるね」って
実物を確認してもらって、ようやく使用許可が出るのだ。


そのくらい、換気は必要なのだ。



さて、フツーに建物を見ていても
そんなことはちっとも気にならない&気が付かないものだけれど。



これなら、どう?


って言わんばかりの建物が、あった!


21111701.JPG


外壁に、これだけ換気フードが並んでいたら、
「換気してるぞっ」
「十分やってるど」
って、わかるんじゃないかな?



この壁についているボツボツしたやつ、
換気用のフードだっていうこと自体が
知られていないから意味ないかな?



それとも、
これだけついていても
やっぱり換気フードなんてものには
通行人の皆さんの意識は向かないものなのかな。



いちいちこうやって観察しながら歩いているとさ、
一向に進まないのよ。先へ。


予定よりも、ずっとずっと時間がかかっちゃうのよ。


困ったことに。



とか言いつつ、じつはあんまり困ってなくって
楽しんじゃっている、今日このごろ。
(「十分な換気取れてますね、きっと」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 換気設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月16日

やあ!室外機たち

風除室(って、わかりますか?)を出て、
視線みたいなものを感じて、
ふと振り返る。


すると、君たちがそこに居たんだ。



室外機くん? ちゃん? さん?

結構年食ってそうだから、「さん」で大丈夫かな。

「さま」ってほど偉そうでもないし
「どん」ってほどいかつくもない。


21111601.JPG


暇だったら、
もしくはそれが仕事だったら、
あるいは、附近に人の気が全くなかったら、

冷媒管のつながりだとか
ケーブルの走向だとか
架台のサビ具合とか
アンカーのあり方とか

いろいろと観察してから立ち去るんだけどね。


なかなか、そう都合よく事は運ばないものだ。


だから、ちょこっと挨拶だけして
さよならするね。



逢う機会があれば、またね。
(「やあ!室外機たち」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月15日

外壁のガラリとか

道行く時には、建物を見るともなく見ている。

歩道沿いの外壁なんぞ、
格好の対象である。



ああ、ガラリくんだね。
君は給気派? 排気派?

まあ、手でもかざしてみないと
わかんないかもしれない。

他にも通行人がいるから
あんまり不審なことはできないな。

ちょっと立ち止まって、一瞬撮るくらいが
関の山だ。



21111501.JPG



隣に並ぶセルフードは
このガラリと一緒にはできなかったんだね。

ガラリが排気で、
セルフードが給気なのかもね。



だいぶ古びて、
レンガタイルと同じような色になっている
送水口2組も、イイ味出してるね。


ちゃんと点検は行われている、のかな。


そんなこんなを眺めるともなく眺めつつ道行く
ひととき。


いとをかし。
(「外壁のガラリとか」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月14日

蒸気用のパネルヒーター

パネルヒーターといえば、
電気式、もしくは温水式のものを思い浮かべる方が
多いのではないだろうか。


実際に、検索しても出てくるのはそういうモノだけである。


けれど、蒸気を熱媒としたパネルヒーターも
世の中にはまだ存在しているのだ。



熱源に蒸気ボイラを使う建物自体が、
どんどん減ってきている。

使うにしても、貫流ボイラなど、
ボイラー技士資格者が常駐しなくても済む機器しか採用しないことが
ほとんどであろう。


だから、蒸気用の放熱器も
どんどんその姿を消しつつある。


存在するうちに、愛でておくしかないのだ。



さて、見つけましたよ!

蒸気式の、パネルヒーター。


21111401.JPG


今は無き、シーム暖房器のやつかな?


蒸気用の放熱器弁と、放熱器トラップとがついているから
蒸気用であることがわかる。

温水なら、違うモノが付属するのだから。

なんとなく、セクショナルボイラの缶体っぽいフォルムである。
(そもそも、ソレ自体、見ることが少ないが)


脚もあるけれど、壁にも固定されている。


21111402.JPG


結構カラフルな色をつけてあるものだ。



別の室には、別の色のヒーターがついていた。


21111403.JPG


表面が汚れてきてしまっているが
機能としては健在のようだ。


21111404.JPG

壁支持の金物も同じ色なのが良い。

どうせならボルトナットも……なんていうのは
贅沢を求め過ぎか。



ちょっと縦長のやつも。


21111405.JPG


右側に壁があるから、横幅を取れないから
縦方向に面積を確保して放熱量を賄う算段である。



なんか、手前にロッカーを置かれてしまった
可哀相(?)なやつもあった。


21111406.JPG


壁とロッカーに挟まれて
たいへん窮屈そうだ。


21111407.JPG


それにしても、
温水パネルよりも温度が高くて
早く乾くからなんだろうね、

かなりの割合で、雑巾が掛けて乾かしてあった。


使えるものは、使わなくちゃ。

そういうことなんだろう。


蒸気のパネルヒーター、
まだ造ってるとこ、あるのかな?
(「蒸気用のパネルヒーター」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月13日

秋だ!室外機だ!

春夏秋冬、季節の移り変わりが鮮やかだから
この国に生まれ育った有り難さを味わっている。


きっと、どのような地においても
それぞれの良さ、それぞれの感動があるのだろうから
優劣を語るような事ではないのだろう。


それでも、日本の四季の映えることについては
他国の方々にとっても異論を挟むものではなかろう。


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特に、秋の極彩色が目に麗しい。


春は春で、若葉の新緑が映え、
夏は夏で、濃さを増した緑が網膜を癒やし、
冬は枝のみを残して
本来の外壁であるレンガの姿が雪の白さと対比されて魅せるのであろう。

しかし、秋こそ彩度が一層に際立つのだ。



そんな背景に置かれた室外機の
映えないわけがあろうか!


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夜はライトアップもあるのね。

さぞや幻想的なことであろう。

もっともこの室外機たちは陰となって視界から消えようが。



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送水口、採水口の類の、本来目立つはずの赤いプレートが
蔦の赤の暴力に霞んでしまっている。

ま、消防隊が位置を把握していれば済む話だ。
一般の利用者や来訪者には知ったことじゃない。


むしろ室外機の白い肌こそが
背景に浮かび上がる状態になっている。

むりやり合成したように見えなくもないが、
確かにここに実在する機械なのである。



四季折々の中、変わらずそこにある機器類ではあるが
これだけ豊かな季節変化があるということは
マシンにとっては結構過酷な環境なのであろう。


ぜひ、労ってあげていただきたいものだ。
(「秋だ!室外機だ!」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月12日

ピットの中も見る

改修工事の計画をする場合には
床下も見ざるを得ない。


既存図が無いことも多いし、
あってもそれが正確であることは
まず期待できないから。


もっとも、床点検口が見当たらないとか
重量家具の下敷きになっているとか
枠が歪んでしまってあるいは取っ手が壊れてしまって
開けることができないこともしばしばあるのだけれど。

(そんな時は状況報告の上で「開かないので、図面を信用して
 計画しますね」と言い訳をしておく)

(開けてびっくり玉手箱、というときは、ゴメンナサイだ)


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照明の点いているピット内なんて、ほぼ無いから(ごくたまには有る)
ライトは必須だ。

カラビナタイプは、重宝する。
ピット内にうっかり落としてしまうリスクを避けられる。

点検口蓋の裏に断熱材をガッツリ吹き付けてあるのは
こうしておかないと結露が大変なことになるからだ。



本来なら、点検口直下の配管は避けたほうが良いのだけれど
なかなかそううまくいかないことも多くて
そうなるとたいてい昇降のための足場代わりにされてしまって
保温材が凹んでいるわけだ。


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今のところは、
それほど酷い被害には遭っていないようだ。


青銅弁のステムのカバーが
見事に錆びて緑になっている。



ナゾのケーブルが
ハリガネムシのようにのたくっていたりする。


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ピットの深さはコンベックスなんかでアナログで測っても良いんだけれど
ホント、便利になったものだ。


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ピット深さも天井高さも壁間距離もすぐ出せる。


あとどのくらい経つと、
3D空間スキャナが数千円で買えるようになるかなぁ。

今でも相当安くなったと言われているのだけれど
まだ桁が2つくらい多いよ。
(「ピットの中も見る」おわり)
posted by けろ at 19:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月11日

設備と管理 2021年12月号

「設備と管理」12月号の発売日である。


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けろ による連載記事は3回目となる。


今号は、ピット内の観察記録。
なるべくならご購入の上、ご笑覧ください。



語りたいことはたくさんあるのだけれど、
ブログほどテキトーに書き殴るわけにもいかないし、
文章を意識してしまうとなかなか、ね。


でもブログとは違って、編集各位の目が入るので、
多少は人様が見ても毒にはなりづらいのじゃないかと
思っているところである。



ブログ記事も、このくらい真面目に取り組めば、
もうちょっとマシな記事が少しは増えるのではないかと思う方が
おられるかもしれない。


または、真面目に取り組んでもこのくらいの文章しか書けないのかと
叱咤される方もいらっしゃることであろう。



ま、それはそれで甘受するしかあるまい。


ワタクシは、ワタクシにできることを
できる範囲で精一杯取り組むしかないのである。


「精一杯」の程度は、推して知るべしなので
あんまり突っ込まないでいただきたい。


大谷翔平や藤井聡太じゃないので、ね。

軍曹や中尉や魔王(ほんとうは魔太郎)でもないので。
(彼らほどの稼ぎも無いし)
(「設備と管理 2021年12月号」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 設備と管理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする