鋳鉄管って。
なんか、メカメカしてるじゃん?
どう? この赤っぽいやつ。
これに比べると、後方に移っている鼠色の配管は
あんまりメカっぽくない。
配管用炭素鋼鋼管(白)だ。
炭素鋼鋼管に亜鉛メッキを施してあるやつだ。
継手の前後が赤いのは、錆止め塗料だ。
錆止めにもいろんな色のやつがあるけれど
赤っぽいと、鋳鉄管とうまくマッチする。
なんて、誰もそんなことは気にしちゃいない。
鋼管の末端につけられている砲金製プラグが青緑色なのは
銅が酸化してしまったからだ。
ふっるい十円玉でこんな色になったやつを見たことがあるだろうか。
鋳鉄管に他の管種のものがつながっていることもある。
ジュート巻きの給水管(たぶん)でちょっと隠れてしまっているけれども
鋳鉄管から通気管が取り出されていて、
通気は白管(配管用炭素鋼鋼管(白)を単にこう呼ぶ)だし、
掃除口接続の管もそのようだ。
もちょっと下から見てみる。
おお、これならつながりがよくわかる。
掃除口と通気管の他に、斜めにつながっている管が何本もある。
これは鉛管である。
なんとなく、ビミョーに曲がっている感じがするのがわかるだろうか。
鉛は柔らかいので、中に砂を詰めて木槌で叩いて
目的の曲率に成形するんだとか。
もう、イマドキの配管屋さんで鉛管の施工をやる人なんて
居ないんじゃないだろうか。
かなりのご年配の方を除くと。
さあ、各管種の配管の乱舞を見たまえ!
美しいであろう?
ピット内の排水管は通常、保温材を巻かない。
多少結露しても、まあ、ピット内だから下階に迷惑はかけない。
それに、給水管や冷水管ほど結露するものでもない。
下階があると、ポタッ、ポタッとちょっと滴下するだけでも
天井板にシミが出来てしまったりするから、
排水管でも保温するのだけれど。
ピット内の保温の外装材は、
得てしてカビやすいものだ。
呼吸に注意しないと妙な肺の病気になっても困るだろう。
各配管が、しかるべきつながりを正しく形成されて初めて、
設備は機能するのである。
排水にせよ、給水にせよ、その他配管だったとしても。
しかも排水管には一定の勾配を設ける必要さえあるのだ。
こういう配管を、3Dで適切に施工できる方々はスゴいのだ。
特殊な技能なのである。
だから、配管工には技能士制度があるのだ。
ま、ものづくりにはすべからく技能が必要であって、
だからこそいろんな分野の技能士がおられる。
普段だあれも関心を持ってくれなかったとしても、
それでもこのような技能者によって
健康で文化的な生活は維持されているのである。
災害や故障などがあって初めて
意識されるようになるのだけれど
普段意識されないということは、
そのくらい適切に働いているということなのだ。
水管橋が破断して断水して困った事例が報道されていたけれど
ああいうことでもなければ
「水管橋」なんて誰の意識にも上っていなかったはずなのだ。
(「鋳鉄管と鉛管と」おわり)