時々残念に思うことがあるのだ。
いや、大したことじゃないんだ。
たぶん普通の人にとっては全く意味のないこと、
気にも留まらないこと、
存在にさえ気づいていないことなのだ。
それでも、その業界の片隅に在るワタクシとしては
やっぱり気になってしまう、そんなモノだ。
どうでしょ?
気になりません?
「別に……」
「歩道、だよね? それが何か?」
そうだよね。フツーは、そうだよね。
でもね、ちょっとだけ、見てみて欲しいんだ。
マンホールの蓋が4個もついているのが、わかるかな。
歩道表面を飾っているインターロッキングの材料を、
蓋にはめ込むことができるようになっている
「化粧蓋」なのだけれど。
ただの鉄蓋よりも、値段が高いんだ。
施工も大変(面倒)なんだ。
そんな「化粧蓋」なんだ。
何のために化粧蓋を使っていると思う?
歩道の仕上に連続性を持たせたい、
そういう要求があったからだよね?
ただの鉄蓋だと、そこだけ仕上材が途切れてしまって
面としての一体感が損なわれてしまうから、
それを緩和するために敢えて化粧豚、もとい、化粧蓋を採用したんだよね?
だったらさあ、
どーして右側の2つは、
せっかくはめ込んだ仕上げの向きを周囲に合わせないのさ。
蓋をはめる際に、周囲と向きを合わせる、
ただそれだけのことじゃないか。
ねえ。
左側の2つに至っては、
はめ込んである仕上材が違うじゃん!
点字タイルもぶっ千切っちゃってるしぃ!
化粧蓋使ってる意味が、ぜんぜん無いじゃんかっ!
決して簡単なわけじゃないインターロッキングはめ込み作業中に
「これでいいのかな?」って誰か思わなかったんだろうか。
思ったんだけど「ま、いーや」と無かったことにした?
左側の模様の材料に余裕が無かったから、どうしようもなかった?
訴えたんだけど、監督さんが「いーから、これでやって」と言った?
完成検査の際に、そもそも誰も気づかなかった?
気づいたけど予算も厳しかったし今更やり直せっていうわけにもいかないから
もういいやって済ませた?
どういう物語がそこにあったのか、
ワタクシには知る由もない。
知ったからと言って、どうにもなるわけでもない。
人生が豊かになるわけでも、今後の業務に活かせるわけでも、
対人関係が円滑になるわけでも、経済的に潤うようになるわけでもない。
そんな「どーでもいーこと」を、あれこれ思い巡らせるのが
好きなだけなのだ。
そういう趣味趣向なだけなのだ。
勝手に「せっかくの化粧蓋なのにぃ」と勿体ながっているだけなのだ。
(「せっかくの化粧蓋なのにね」おわり)