アーティストによる全国ドームツアーなどの会場の一つに
札幌ドーム がある。
文字通り、札幌にあるドーム型の施設である。
元々は、FIFAワールドカップ2002大会の誘致のために建設された
野球場としてもサッカー場としても使用できる競技場、という施設だという。
ワールドカップの会場では天然芝であることが必要だが、
ドームで覆ってしまっては芝が育たない。
しかし寒冷地ゆえドーム状に覆うのが望ましい。
その両方を満たすために、開閉式のドームとするのではなくて
芝面を出し入れする方法を考案したということなのだ。
そんな施設。
ホバリングサッカーステージ が、ドーム部とオープンアリーナとを行き来する。
観客席も、野球モードとサッカーモードで移動させることができる造りになっている。
現在は、野球では北海道日本ハムファイターズの本拠地として、
サッカーでは北海道コンサドーレ札幌の本拠地(厚別公園競技場と併用)として
利用されている。
コロナ下にあって、入場者制限のある中、訪れてみた。
座席は全席指定で、一つおきに座るようになっていた。
中央右上にある小さな楕円の窓は、展望台である。
そこに昇降するためのエスカレーターが、空中に吊られている。
展望台は反対方向にも伸びていて、
ドームの屋根を突き抜け、市街を見渡せるようになっている。
なかなか斬新な造りである。
外野後方には大型ビジョンがあって、
当初建設時から何度かの更新を経て
現在はかなり大型・高画質のものとなっているという。
ビジョンの下部には「ニッタン」「能美防災」と
防災メーカーの社名が大きく記されていた。
システムをこの球場に納入したから、
広告費とともに掲出を強いられたのかどうか、それはわからない。
だいぶ前で、コロナの状況もずっと軽かった時期であったけれど
1つ飛ばしの座席では4万人の座席のうち、
このくらいしか入るまい。
ドームの通路に、こんな大きな展示が据えてあった。
2023年に、球団が北広島市にオープンする予定の
新球場の案内である。
北海道ボールパーク と銘打って、現在建設中である。
札幌ドームの所有者である札幌市と日本ハム球団とのいろいろな軋轢があって
結局球団が飛び出して自前の球場を建設してしまう結果となった由、
報道されているようだ。
となると、現在の札幌ドームはどうなってしまうのだろう。
サッカーの試合は、そんなにたくさんあるわけではない。
はっきり言って、野球で成り立っていたようなものだ。
その球団が出ていってしまうと、採算がとれるわけがなさそうで。
維持費や修繕費は毎年かかるし、古くなればなるほど修繕費が増えていく方向になる。
コロナが収まったとしても、アーティストのドームツアーが
球団並みに利用することはあるまいし、
収入の見通しが全く立たないのではなかろうか。
どうなってしまうのかな。このドーム。
500億ほどかけて建てたはずなんだけど。
ドームの外に立っていた、謎のオブジェ。
ブレーメンの音楽隊的な。
こういうものも、一体どうなる?
オリパラ後の、国立競技場をはじめとした各競技施設にも言えることなんだろうけど。
でっかい箱モノに、あんまり経済的な夢を見すぎないほうがいいんじゃないかな。
(「札幌ドームはどうなる」おわり)