ちょいと、事務所の流し台にお邪魔しますよっと。
ザ・事務所流しっ! っていうくらい、
典型的な流し台廻りに見えません?
シンクと脇のスペースがあって、
シンク下の収納があって、
吊戸棚、LED照明、布巾掛け、電気温水器、混合栓。
設備とは別に、食器洗いスポンジとか洗剤とか電気ポットとかコップとか
什器類もいっぱい。
掃除の行き届き具合とか、整理整頓の様子とか、
そいう方面が気になる方もいらっしゃることと思うのだが
ワタクシはやはり何と言ってもここの主役は電気温水器だと思うのだ。
ここの設備では一番カネかかっているし。
脇に貼ってある銘板を見る。
イトミックとか細山熱器とかじゃなくって、TOTO製。
貯湯量約12Lなので、本体の運転重量は15kgを超える。
平成24年国土交通省告示第1447号により、
耐震固定 が義務付けられている。
建築確認申請時に明記しておかなくてはならない事項だ。
この機器の沸き上がり温度は90℃。
「ボイリング仕様」と言って、沸騰させる機械もあるけれど
これは違う。
電源は、単相100Vを使用している。
他に、単相200Vや3相200Vの電源を利用する機種もある。
電気設備の事情に応じて、一番都合の良い電源を選べば良い。
電気温水器の下側を覗いてみる。
電気温水器だから、設備機器だから、
こういう覗きは許容されて然るべきだ。
そうじゃなくって、対象が人間だったり他人の住居内だったり
そういう趣味嗜好の方が時々摘発されるようであるが、
それはイケナイ。
ぜひ、「設備」に宗旨変えすべきである。
犯罪ではない上に、人様のお役に立てる可能性があり、
ひいては事業収入に繋がるし、
何より楽しいではないか。
おひさまの下で正々堂々と立ち回れるではないか。
(いや、屋内だから直射日光は当たらないのだが)
まあそれはともかく。
給水管、給湯管、排水管がそれぞれフレキで壁内に潜っている。
本体カバーを下方に伸ばすことによって、
これらの配管類が正面から見えないようになっている。
もっとも、隠さずに見せている管も一般的に多く見かけるけれど。
シンクの水栓は、熱湯専用栓付の湯水混合水栓である。
壁付のシングルレバー混合水栓で、
レバーの上下で吐水止水を操作し、
レバーの左右回転で湯水の混合具合の調整をする。
昔は、一番右に振ると水で、
左に振る角度で徐々に湯の温度が上がっていったが
近年は「エコシングル」となっている。
レバーが真っ直ぐの状態では水だけが出て
それより左に回すと湯の温度が上がっていく。
昔のタイプだと、まっすぐのまま使って
ほんとは水でいいのに無駄に湯を使ってしまうことになったから
少しでもエネルギーの無駄を省くように工夫されたものだ。
その他に、電気温水器で沸かされた熱湯を出すための専用栓が
設けられているやつだ。
熱くなる部分は、樹脂で覆われている。
金属だと火傷しやすいから。
熱いお茶やコーヒーを入れたり、
カップ麺を作ったりする際に利用できる。
メーカーや機器によっては、
温水器本体に熱湯専用栓がついているものもある。
そもそも飲用の湯が必要であれば
電気ポットでいいのでは? ということで
熱湯専用栓を設けないこともある。
湯沸器は、洗い物の際に水だけだと冷たいから必要、
という位置付けだ。
ま、何を必要とするかは、その建物、その室により異なるだろう。
何事も、必要に応じて据え付けるまでだ。
続いて、中身も見るのだ。
電気温水器ではなくて、流し台の。
前面の扉を開けてみよう。
洗剤とゴミ袋とティッシュペーパーがたくさん入っているが
そんなモノたちにはあまり興味はない。
ぎっちり詰まっていると「邪魔だなぁ」と思うくらいのもので。
それより、この中で見たいのは配管類である。
電気温水器からの排水が、専用トラップを介して
流し台シンクの排水管に接続されている。
その加減と納まりとを観察したいのだ。
そして、その接続管の更に下には
ミニドルゴが取り付けられている。
うん、なかなかイイじゃない。
この部分の排水管が、どのようなルートで屋外まで導かれているかは
ここを見ただけじゃわからないけれども
排水管の流れには「通気」が大事なのである。
排水管内には、空気が入っているのだ。
そこに排水が流れるためには、
管内の空気をうまく移動させてあげなくてはならない。
特に、流れるモノの上流側から
空気をうまく取り入れてやることが大切になるのだ。
そのために設けられるのが、通気管。
配管をそのまま伸ばして屋外に開放するのが本来であるが、
近年は空気取り入れだけを行うことができるドルゴ通気弁が
よく使用されるようになった。
パッキン類の信頼性が高まり、臭いが出てこないようになってきたし
低位ドルゴなんていう便利な製品も出てきたので、使いやすくなった。
小規模事務所とか住宅とかマンションとか
通気なにそれ美味しいの? っていう感じで全く設けられていないところも
良く見かけるのだけれど、やっぱり通気は欲しいよね。
海外の集合住宅における開放式の通気の場合、
SARSや新型コロナなどの感染を拡大させた事例が報告されているようだから
(まあ、トラップ切れも原因の一つらしいが)
ドルゴ通気、使いどころじゃないかな。
値段もそんなに高くないし。
そうそう。
シングルレバー混合栓を使う場合、
ウォーターハンマー(水撃)防止器も欲しいところ。
「防止しろよな」って
建設省告示 にも書いてあるし、ね。
(「流し台廻り」おわり)