馬事資料館 である。
文字通り、馬の事に関する資料が展示してある
そんな施設。
建物はレンガ外装の小洒落た雰囲気であるが、
いかんせん、だいぶ古びてきた感が強い。
入り口を入るとすぐ左に、
競馬専門フリーマガジンの うまレター バックナンバーが
何冊も置いてあった。
馬産地からの既設の便りと称し、全国の馬産地の様子を
伝えている。
施設内部は、鉄骨造多角形平面の空間である。
馬、特に競走馬に関するものが数多く展示されている。
流鏑馬の的とか、絵とか、ネクタイとか、
「雑多」と言って差し支えないだろう資料が並べられている。
これはこれで、たいそう面白い。
馬車に関するものもある。
昔むかし、天皇陛下を乗せたという迎賓馬車も。
ヒンドスタン号の剥製は
ガラスケースの中だ。
「サラブレッド」というものが
300年前の3頭を起源としていることに
驚いた。
人間であっても、優秀な血統に属する人々を
サラブレッドと呼ぶ場合があるが、
なるほど文字通りの「サラブレッド」である。
Wikiには、Thorough + bred が語源であると記されている。
だから、「種付け料」なんていうお金が発生するんだな。
家系図というか血統図は、とてもはっきりしているわけだ。
結構驚きだったのが、
ヒンドスタン号の心臓である。
ホルマリン漬けのそれが置いてあったのだが、
そのデカいことと言ったら。
長径34cm、短径23cm、幅20cm、と表示されている。
1馬力の力を出すためには
これだけの心臓が血液を送り出す必要があるのか。
人間でも、マラソンなど持久力を要する競技に関して
長年トレーニングを積んだ人たちの心臓が大きくなる
「スポーツ心臓」という状態があるというのだけれど
(心肥大などの病気ではなくて、健康な適応としての肥大)、
馬は体も大きい上に長距離を疾走するので
このくらいの心臓でなければやっていけないのだろう。
競馬好き・馬好きの人の中には、
場産地を訪れるのを楽しみにしている方々も
おられると聞く。
新冠(にいかっぷ)、静内(しずない)くらいまでで
済ませる人も多いかもしれないけれど、
浦河(うらかわ)、様似(さまに)まで足を伸ばして
こういう資料館も一緒に見るとなお面白いのではないか。
時間とカネに余裕があるならば、
そのまま南下して襟裳岬を見て、
黄金道路からハート型の豊似湖を見て、
広尾〜帯広方面へ向かうのも良かろう。
ま、言うのは(書くのは)簡単なのだが、
とんでもない距離になることだけは覚悟が必要だ。
新千歳空港〜豊似湖〜帯広〜新千歳空港
と一周すると、だいたい480kmになる。
そういう時は、新千歳空港から北海道入りして
帰りは とかち帯広空港 を使う、というのも
一考であろう。
これなら、約290kmで済む。
北海道には空港がたくさんあるので、
目的地に応じて行き帰りの空港を変えてみるのも
ひとつの方法だ。
移動時間の短縮に繋がるから、限られた時間を有効に
使うことができよう。
北海道では、距離感の違い を意識しておくことが重要なのだ。
道路標識の数字 を見るだけでは、ピンとこないかもしれないけれど。
(「浦河町の馬事資料館」おわり)