2021年08月11日

浦河町立郷土博物館

浦河町の 馬事資料館 の隣、
実は、優駿の門 の正面にあるのが
浦河町立郷土博物館 である。


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浦河町のかつての事物や産業、生活などについて
展示してある施設だ。



外観を見てわかるように、元々小学校だった建物を
博物館として使っているのだ。

正面玄関は、かつての昇降口であろう。


脇に停まっている車は、室蘭ナンバーである。

豊浦町からえりも町に至るまでは室蘭運輸支局の管轄であるので
途中の浦河町も室蘭ナンバーとなるのだ。

もっとも、途中の苫小牧市部分だけは管轄は同じだけれども
苫小牧ナンバーとなっている。



展示室部分の外壁は、倉庫のようにも見える。


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けれどもよく見ると、元々窓があって、
それを塗り込めた状態であることがわかる。

教室が並んでいたのである。



屋根に煙突が飛び出ているのは
薪か石炭を燃やすストーブが各室に置かれていた名残であろう。



中に展示されているのは、
自然、産業など多岐の分野にわたる。


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この地に住む動植物の、写真、剥製、模型などなど。



昔のおもちゃとか、雑誌とか。


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このあたりは、全国共通かもしれない。



漁具の類。


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実際に使われていたものを
保存しておいたのだろう。



農機具も、さまざまに。


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使われ方を示す絵が独特で、
絵の得意な人が一生懸命描いた感じ。



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縄ない機は、いろんな資料館で見ることができるが
それぞれの地で実際に使われていたものが置かれているのだ。


場所によっては動態展示ということで、
実際に縄ないを行うところもあったりする。



籾殻を除去する装置。


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壁に掛けられているのは、鋤のようなものかな。



動力式の脱穀機も残されている。


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昭和34年購入のものだというから
60年以上前になろうか。


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もっと昔、和人が入ってくる前の住宅の復元も。


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かと思うと、近代の住居も。


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ひたすら、いろいろ置いてある。


ランプと囲炉裏が、辛うじて「せつび」である。



廊下部分には、消防ポンプ車が置いてあった。


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と言っても、手動なのだが。


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荻伏消防組 と書いてあるので、
浦河町内でもこの博物館よりだいぶ北西に位置する
荻伏(おぎふし)地区で使われていたものだろう。



さて、かつての学校らしさは
随所に見られて。


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古い建物に天井は、こんな感じのところが多いだろう。


照明器具は後付けだ。もちろん。



火報なども、後から付け加えられている。


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後から増設したトイレへ伸びる露出の給水管は
冬は寒さで凍ってしまうのだろう。


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凍結防止の電気ヒーターが巻きつけてあるようだった。



外には、古い古い丸形庇付の郵便ポスト。


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かつての学校が廃校になって、
このような形で郷土資料館、郷土博物館のようになっている建物が
全国至るところに見られる。


この類の施設も、今後どのくらい保存されるものか、
少子高齢化・人口減少・過疎化の進む日本において
維持できなくなってくるところも
きっと少なくないに違いない。


ぜひ、ナマで見られるうちに、
行ってみようじゃないか。


そして、可能な限り、
ネット空間にせめて画像だけでも
保存しておこうじゃあないか。



Youtubeに動画を上げるもよし、
あるいは徐々に普及しつつあり、廉価化しつつある
3Dスキャナのデータなんかも、いいだろう。



紙や木や石に書いて、あるいは描いて、あるいは刻んで
残すしか手段のなかった時代とは違って
いろいろな残し方ができる現代。


後世に語り告げ、保存し、残す責務が
現代に生きる我々にはあるのではなかろうか。



なんて。



別にカネもらってるわけでもなし、
誰かに頼まれてるわけでも、強いられているわけでもなくて
ただ楽しいから、面白いから、興味深いから
そして好きだから、
そういう動機で良いと思うのだ。

「〜すべき」なんて使命感でやるようなもんじゃないんだ。


ただの趣味。時として変態的なまでの。


それらがいろんな分野で形として残ることにより
これまでも文化が形作られてきたし、
これからも続いていき、発展して、あるいは衰退していくのである。



こういうのを、文化庁あたりの予算で
どっかの企業に委託して「しっかり」やろうとすると
得てしてあんまり面白くない成果品になっちゃうんじゃないかな。

それって、ただの偏見かな。
(「浦河町立郷土博物館」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月10日

浦河町の馬事資料館

浦河町の優駿の門の脇に建てられているのが、
馬事資料館 である。



文字通り、馬の事に関する資料が展示してある
そんな施設。


建物はレンガ外装の小洒落た雰囲気であるが、
いかんせん、だいぶ古びてきた感が強い。


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入り口を入るとすぐ左に、
競馬専門フリーマガジンの うまレター バックナンバーが
何冊も置いてあった。


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馬産地からの既設の便りと称し、全国の馬産地の様子を
伝えている。



施設内部は、鉄骨造多角形平面の空間である。


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馬、特に競走馬に関するものが数多く展示されている。



流鏑馬の的とか、絵とか、ネクタイとか、
「雑多」と言って差し支えないだろう資料が並べられている。


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これはこれで、たいそう面白い。


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馬車に関するものもある。
昔むかし、天皇陛下を乗せたという迎賓馬車も。


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ヒンドスタン号の剥製は
ガラスケースの中だ。


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「サラブレッド」というものが
300年前の3頭を起源としていることに
驚いた。


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人間であっても、優秀な血統に属する人々を
サラブレッドと呼ぶ場合があるが、
なるほど文字通りの「サラブレッド」である。

Wikiには、Thorough + bred が語源であると記されている。



だから、「種付け料」なんていうお金が発生するんだな。


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家系図というか血統図は、とてもはっきりしているわけだ。



結構驚きだったのが、
ヒンドスタン号の心臓である。


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ホルマリン漬けのそれが置いてあったのだが、
そのデカいことと言ったら。


長径34cm、短径23cm、幅20cm、と表示されている。


1馬力の力を出すためには
これだけの心臓が血液を送り出す必要があるのか。



人間でも、マラソンなど持久力を要する競技に関して
長年トレーニングを積んだ人たちの心臓が大きくなる
「スポーツ心臓」という状態があるというのだけれど
(心肥大などの病気ではなくて、健康な適応としての肥大)、

馬は体も大きい上に長距離を疾走するので
このくらいの心臓でなければやっていけないのだろう。



競馬好き・馬好きの人の中には、
場産地を訪れるのを楽しみにしている方々も
おられると聞く。


新冠(にいかっぷ)、静内(しずない)くらいまでで
済ませる人も多いかもしれないけれど、
浦河(うらかわ)、様似(さまに)まで足を伸ばして
こういう資料館も一緒に見るとなお面白いのではないか。



時間とカネに余裕があるならば、
そのまま南下して襟裳岬を見て、
黄金道路からハート型の豊似湖を見て、
広尾〜帯広方面へ向かうのも良かろう。



ま、言うのは(書くのは)簡単なのだが、
とんでもない距離になることだけは覚悟が必要だ。


新千歳空港〜豊似湖〜帯広〜新千歳空港
と一周すると、だいたい480kmになる。


そういう時は、新千歳空港から北海道入りして
帰りは とかち帯広空港 を使う、というのも
一考であろう。
これなら、約290kmで済む。



北海道には空港がたくさんあるので、
目的地に応じて行き帰りの空港を変えてみるのも
ひとつの方法だ。

移動時間の短縮に繋がるから、限られた時間を有効に
使うことができよう。

北海道では、距離感の違い を意識しておくことが重要なのだ。

道路標識の数字 を見るだけでは、ピンとこないかもしれないけれど。
(「浦河町の馬事資料館」おわり)
posted by けろ at 12:00| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月09日

浦河町の優駿の門

北海道浦河郡浦河町 の南東部に
ちょいと洒落た門がある。


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『優駿の門』という。

昭和の終わり頃に製作 された、なかなかに優雅な門である。




躍動する馬たちの様子が見事に造形されているのだが
少々高い位置にあるため、その細かな造りがやや見づらい。



船底に使う鉄板を切り出して製作したというのだから
結構大変な作業であったろう。


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当日はあいにくの曇天であったのだが
青空に生える駿馬たちは、なかなかに美しいはずだ。



日高山脈をバックに、
あるいは太平洋を背にして
良い写真スポットとなることであろう。



結構遠い、というのが、
ネックになるのかもしれないけれど。
(「浦河町の優駿の門」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月08日

本別駅跡

中川郡本別町 には、鉄道駅の跡がある。


かつて、池田町と北見市とを結ぶ国鉄池北(ちほく)線が存在していたのだが
国鉄民営化に伴ってJRから経営分離され、
第3セクターの「ふるさと銀河線」として沿線市町村で存続を試みたものの
時代の流れには逆らえず、20年ともたずに廃線となった
その鉄道駅の跡である。



現地には、跨線橋と、わずかな線路のみ残されていた。


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昔むかしの、鉄骨+木造の造りである。


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ここだけが鉄道沿線であった名残を感じさせる。


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銀河線時代の駅名看板も、だいぶ薄汚れてきていた。


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ちょっとした年表が添えられている。


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開拓期、人や資材の運搬手段が馬車しか無かった頃に
鉄道の役割はたいそう大きかったのだ。


しかし、自動車の発達、道路網の整備、過疎化、少子高齢化などにより
鉄道本来の長所を活かせる場面は無くなり、
実用交通としての廃止は已む無しという状況に追い込まれた。


これも時代の流れ。致し方ない。

鉄道は「輸送」以外の新しい目的を創造し、
体験型観光の一部として生き残る道を探るような状況であろう。



現在は駅舎ではなく、道の駅 が建っている。


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形状を見るに、
なかなか熱負荷の大きな建物のようである。



本別町は「まめのまち」である。


だから、町の公式キャラクターも「豆」である。

名前は、「元気くん」。



道の駅には、元気くんの石像も置いてある。


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眉と目と口と手足のある「豆」なのだ。



見ただけじゃわからないって?



だから、これが何なのかわかるように
背面に刻んであるのだ。


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大都市圏を除くと、
鉄道はもはや文化遺産に近い。


現存の路線も、
この先どのくらい存続するものかもわからない。



だから、乗れる時に乗っておきたいものである。



「そのうちに、機会があれば」

なんて言っていると、気がついたときには無くなっているのである。



「親孝行、したい時には〜」なんていう川柳と同様かな。

いや、そこまでの恩も義理も無いんだけどね。
(「本別駅跡」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 交通 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月07日

つはものどもがはしらんとす

新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴って、
東京オリンピックは1年間延期された。


延期したものの次々に姿を変える変異株の猛威によって
有観客での実施をほぼ諦め、
中継映像による配信により競技状況を伝達するのが中心となった。



感染拡大が続く中で、
オリンピックそのものの開催可否について賛否が入り乱れる中、
数年間をかけた競技実施のための準備は
度重なる方針転換にもかかわらず、
粛々と(おそらく実際には現場の阿鼻叫喚のうちに)進められた。



毎年猛暑に見舞われる東京の地を危惧して
競歩とマラソンの競技は、北海道札幌市で行われることになった。

2019年の秋、ドーハで開催された世界陸上競技選手権大会における
棄権者続出の事態を受けての突然の変更であると言われた。



ところが、この夏の北海道は各種猛暑記録を次々に更新する事態となっていて
開催地の札幌市においても観測史上最長の真夏日連続記録を打ち立てる
こととなってしまったという。


例年より5℃以上高いような気温が連日続き、
しかも通常なら20℃を下回るような最低気温が、
この年は毎日熱帯夜に迫ろうかという高さになっていて
エアコン普及率のあまり高くない北海道民にとって
相当に厳しい夏を迎えている由である。



北海道は、「暑さは盆まで」と言われるようで、
たいてい8月中旬を過ぎると急に涼しくなるらしい。


実際に週間予報を見ると(毎日状況は変化しているが)
10日あたりから急激に気温が下がって
最高気温が20℃に届かないくらいになるというのだから
何とも間が悪いというか、運がないというか。



北海道及び札幌市によって「感染自粛」の呼びかけがあったものの
実際の中継映像を見ると競技中の沿道には少なからぬ観客が並んでいて
感染自粛要請にどのくらい効果のあったものか
疑問を抱かせるものでもあった。


もっとも、200万人弱の人口を有する札幌市において、
520万人以上いる北海道民がいる中で、
連休を利用して全国各地から訪れんとする日本人、
2週間の待機期間をものともせずやってくる外国人などがいる中で
あの程度で済んでいるのだから
「効果は絶大だった」という評価が行われても、
それはそれで間違いとは言えないかもしれない。



札幌市は北海道の道庁所在地であり、
各種全国企業の北海道支店、北海道事務所が多数所在していて
ビジネス上の要所の一つとなっている。


札幌駅から大通に至る地区にオフィスを構える企業も多く、
企業活動をしている以上、人流をとどめることはできない。


にもかかわらず、市中心部の目抜き通りや、
郊外の主要幹線道路を封鎖して競技を行うのであるから
市民生活、企業活動上は結構な制約を受けることになる。



競技が実施される何日も前から、
沿道における準備は進められていた。


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可能な部分には次々とフェンスやコーンが配置され、
それによって、確かに競技が行われるらしいことが
感じられるようになっていた。


IOCも、auショップの看板までは取れとは言わないのだろう。


車で走っていると、至るところに迂回要請の看板が掲げられている。


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「う回」という表現、何とかならんか?
「迂回」ではダメなんか?
単に「左折できません」でもいいんじゃない?



コース表示の緑色の破線が路面に描かれていた。


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撮れなかったが「これは道路交通法上の表示ではありません」的な
注意書き看板も、ところどころに置いてあった。



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交差点など、当日のみ閉鎖する箇所の脇には
フェンスがまとめて置いてある。


通勤・通学の人流は結構あって、
でもそれは都市の中心部なのだから、仕方がない。


本来の予定であれば、
日本全国から、世界各国からの観戦者・観光客で
数日間埋め尽くされていたに違いないのだから
それに比べればものすごく少ない人出であると言えよう。


JR高架に記された TOKYO2020 United by Emotion が
なんともうら哀しい感じがするのはワタクシだけだろうか。



交通量の多い道路だけれども、
コース表示の緑破線がずっと続いている。


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これだけの流れを全面封鎖して行うのだから、
結構な影響がある。


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とは言え、毎年北海道マラソン、札幌マラソンなどを
実施してきた経緯があるので、
ある意味慣れた面もあることだろう。


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ちょうど、競歩の競技が進んでいる最中だったようだ。


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うまく映らないけれど、上空をヘリが飛んでいる。

上方からの中継映像は、あそこから送られてくるのだ。

マラソンになると、飛行範囲も広いことだろう。



会場ほど近くの駐車場は、
競技関係車両用に確保されていた。


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選手・コーチなどの宿泊場所と競技会場とを輸送する
バスのたぐい。


せっかくの札幌の街を、
バス車内からしか見られない関係者は
少々可哀想ではある。



「なんで見に行ってんの?」

「自粛要請無視?」

「こんな写真なんか撮ってさあ」



いえ、別に競技を見に行ったんじゃないんです。

こちとら、仕事はあるんですよ。

しがない設備屋なんだもん。
日々、経済活動を続けなくっちゃ食っていけないんっすよね。

その信号待ちの間に写真を撮ったからって
責められる筋合いじゃあないよね?



そろそろさ、「炎上」なんていうバカバカしい現象を
撲滅したいものだね。

ちょこっと聞き齧っただけでわかった気になって
その無根拠に等しい「知識」を元に
ひたすら他人を罵り、貶し、攻撃し、悦に入る
そんな現象を。

なんて。

仕方ないかな。人間の性だもんね。



さて、開催賛否入り乱れたオリンピックも
そろそろ打ち上げだ。

続いて、パラリンピックが開催されるが、
感染拡大状況とも合わせて、こちらもどうなることか。


いずれにしても、
全く先を見通せない中で準備してきた現場の方々は
ほんとうに大変だったことと思う。

何の責任もなく、担当もなく、後始末の心配もなく
ただ一時の感情にまかせて「やめろ〜!」とか「絶対開催〜!」とか
無責任に叫んだりネットで喚いたりしているだけの人物には
想像もできないことだろう。



全世界の人々が感じたように、
コロナ以降、あらゆる価値観が大きく変わった。


決して元のようには決して戻らない。


そう感じさせる、オリンピックなのであった。
(「つはものどもがはしらんとす」おわり)
posted by けろ at 13:00| Comment(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月06日

本別町歴史民俗資料館

北海道東部に位置する、中川郡本別町 に、
町営の 歴史民俗資料館 があった。


全国各地、いろいろな場所に「郷土博物館」とか「歴史資料館」といった施設があって、その地域の近代史を見ることができるようになっている。


仕事や旅行やその他で各地を訪れる際に、
たとえば昼休みとか、予定時間から余裕をもって到着した際、
早めに仕事が片付いた場合など、
この類の施設を見たくなるのは必定だ。


ここ、本別町にも役場の傍に施設があって、
しかも入場無料で(企画展は別)、サラッと見るには適していた。


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雪が写っているのは、訪れたのが春先だったからに他ならない。

今年の北海道は記録的猛暑で、
東京の酷暑を避けて札幌に移転したTOKYO2020の競歩、マラソンも
大正時代以来の真夏日連続記録を約一世紀ぶりに更新することになりそうで、
たいそう過酷なことになっている。

朝早くのスタートにも関わらず、
そもそも北海道ではほとんど無い熱帯夜になる勢いで
朝から既に暑いようだ(といっても、本州各地よりは少しはマシらしい)。

先回の東京オリンピックのように、
10月開催くらいがちょうど良かったに違いないのだが、
欧米のプロスポーツの競技日程などの都合だとかで
7月末〜8月上旬にせざるを得ないなどと言われていて
しかもその肝心の欧米で視聴率が悪いとかで。


競技の数日後には最高気温が10℃以上下がる予報になっているようで
全世界的なコロナ禍といい、1年延期といい、無観客開催、直前の日程変更など
この巡り合わせの悪さと言ったら、もう。

対応のまずさというものはあっただろうが、
もう「誰のせい」という範疇を超えた「不運」としか言いようのない
感じだと思うのである。



閑話休題。



さて本別。


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入り口脇には、化石や復元模型などが
ひっそりと置いてある。



中に入り、常設展のある2階へ上がる。



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開拓期からの農具のたぐい。


各地の資料館に同じもの、似たようなものがあるのだが
気候により、土質により、入植者の出身地により、
ちょっとずつ違うようである。
なかなか、興味深い。



昔の家屋の実物大復元模型もあって、
やはり水回りを真っ先に見ざるを得ない。


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給水設備は、井戸。以上。



排水はカメに溜めるだけだし、
照明もなく、囲炉裏で火を焚くだけ。


おおよそ「建築設備」などと呼ばれるものは一切ない、
そんな住宅。


断熱なんか、もちろん無い。


断熱サッシも、気密性能も、一切無い。


本別町は北海道の内陸部であるので、
夏は暑く、冬は寒い。

暑さは本州各地ほどではないかと思いきや、
8月5日には猛暑日を記録しているようだ。


気象庁の記録 を見ると、
冬は-30℃に迫ることもあるようで
厳しい気象条件である。


熱性能に優れ、建築設備に溢れた現代の建物の
ありがたみを感じる。


「せつび」の存在意義が如実にわかるから、
こういう資料館が好きなのだ、という要素も無いわけではない。



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この資料館では、テーマごとにコーナーが設けられていて
ある程度まとまった展示となっている。


無節操なばかりにひたすら羅列した施設、
すごくマニアックに同じようなものの微妙な違いを示した施設、
昔たいそうカネをかけたような、それでいてその後は放置のような施設、
いろいろあって、面白い。



このあたりになると、電話機などの「せつび」が出てくる。


あと50年もすると、いろんな「建築設備」が
過去の事物として紹介されてくることであろう。



コロナ下にあって、いろんな施設が臨時休館、閉館などに追い込まれ
見たくても見られない、そんな状況になっている。


今後の状況は全く見通せないけれど、
可能になっていたら、ぜひ見て回ってみたい。



緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置下であっても?



ま、状況と地域によるだろう。



職員が他の業務の片手間に受付していて、
来館者が他にまったくいないような場所では
手洗い・消毒・マスクなどを適切に励行していれば
そうそう感染するものではなかろう。


移動手段にも注意する必要があるが。
というか、そっちのほうがリスクが高いことだろうから。
(「本別町歴史民俗資料館」おわり)
posted by けろ at 12:00| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月05日

日本最北の水田

イネは、熱帯の植物のはずだ。

けれども長年にわたる品種改良によって
時代とともに徐々にその作付けは北上して
北海道も今やかなりの稲作地となっている。



とは言え、北海道全域で作付けできる状態には
至っていない。



ではその北限はどこに?



国道232号線の、通称『オロロンライン』を留萌から北上していくと
遠別(えんべつ)町の市街地を過ぎたあたりに
「日本最北の水田」という案内看板が立っている。

国道から中川町へと抜ける道道119号を東行すると
「日本最北の水田入口」なる看板が見える。


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一瞬なので、うっかりしていると見落としてしまう。

googleでもyahooでも、スマホのナビをセットしておけば安心だろう。



この看板から北へ折れる。


500m先に、それがあるらしい。


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この看板の向かい側は牧草地。


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牧草ロールが転がしてあった。

水田、あるの?



500m先と書いてあったんだから、
あるんだろう。



農家の私有地? という感じの道を進んでいくと、
道に蛇が這っていたり、
農家のご主人らしき方が作業小屋で何かしておられたり、
そんなところを過ぎて進むと、
やがて突き当たる。


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あったで!



あの先のイネが、日本最北のイネなんや。


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あれが実ると、日本最北のコメになるんや。



立派な擬木看板が立てられていた。


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ご主人が自前で立てたと言うよりも
町が観光開発の一環として立てたという感じだろうか。

今までに見てきた道路標識も、そうなんだろうか。

それとも道道の看板は、道の予算で?



看板を最後まで読むと、「もち米生産地」と書いてあるので
うるち米ではないのかもしれない。



ここ、見たからと言って、
フツーの水田と特に何も変わりはない。

『最北』であることは、看板や地図を見てそれとわかるのみ。


でもね、それがいいじゃん。


いわゆる観光地観光地している場所も
それはそれで魅力があって楽しめるのだけれど
ひっそりと、それでいてしっかりと、そこにある
あんまりメジャーでない観光(?)地っていうのも
趣があっていいじゃないか。



今よりもずっと気象条件が厳しくて、農機も重機も肥料も農薬もない
そんな 大正7年(1918年) に
こんなに北の地で稲作を初めた佐藤さん、
口では言い表せない様々なご苦労をされたことであろう。


つくづく、昔のひとたちはスゴい。

その意気、その決断力、その行動力。
(「日本最北の水田」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月04日

ガスのバルクタンク

店舗とか、大規模じゃない集合住宅とか、
LPガスのバルクタンクがよく見られるようになった。


昔むかしは50kgボンベの連立しか無かったのだから
大きな進歩である。



ここも、店舗の裏側にあたる部分。


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黒い店舗外装に対して、
白いタンク、白いフェンス、白い看板。


コントラスト的にはかなり目立つはずだけれど
裏側だからあまり気になるまい。



このタンク、黒く塗っちゃいかんのかな?

日差しで熱されやすいからダメなのかな?


建物外装色と全く関係なく、
単に白く作られただけ?


いろんな想像が、楽しいのであった。
(「ガスのバルクタンク」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 衛生設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月03日

ダクトの出口がカワイイ

建物外壁に、ダクト出口が見えることがある。


室内の換気のため、
空気を取り入れる場所と、排気する場所とが
必ず要るんだから、アタリマエだ。


ただ、それが目立つか目立たないか、
フツーかそうじゃないか、
デカいか小さいか、
そんな違いがあるだけである。



さて、通りがかりの建物のそれが、
なかなか興味深かった。



まずは、これ。


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地下のある建物で良く見られるものではあるが
ちょっと引っ込んだところや目立たい所に
設けることも少なくないから
その気になってしっかり探さないと
見つからないかもしれない。


たいてい、どちらかが給気で、どちらかが排気。

だから、それぞれの口を少しでも離そうと、
逆側に曲げてある。


どうして曲げてあるかって?

だって、上向きだったら雨とか入るじゃん。
そうならないように。


あと、積雪地だったら、
雪に埋もれない程度の高さまで立ち上げる必要もある。

それで、こんな感じになる。

植物よりも目立っているかもしれない。



ここまでは、前座。

それなりに目にする造りだから。



で、次のやつは、初めて見たのだ。



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どうです? わかります?



壁面の換気口がつくはずの部分から
更にダクトを延長してある。

手前側にも、向こう側にも、
そんな細工が見えるだろうか。



縦に3個並ぶ換気口のうち、給気と排気が混在しているので
どちらかのダクトを伸ばしてショートサーキットを防いでいる形だ。



見た目はアレだけど、
建物の正面側ではないから
外壁と同じ白色に塗ってあるからして
ほとんど気にならないだろう。


う〜ん、楽しい。


これがアリなら、夢(?)が広がるなぁ。

設備設計の自由度が、相当に高まるじゃないか。



実際には改修工事に際しての苦肉の策なんだろうけれど、
何なら、最初は縦3個並べていて
あまりにもショートサーキットが酷くて
止む無くこのように改善を図ったのかもしれないんだけれど
結果としてとても「カワイイ」形になっている。



そんなこんなが目についてしまうから、
街歩きは楽しいのである。


意匠や構造もそれぞれに面白味があるんだけれど
「せつび」の面白さと言ったら、もう。


っていう同志が増えるといいんだけどなぁ。
(「ダクトの出口がカワイイ」おわり)
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2021年08月02日

ガスヒーポンがデンと

店舗の裏側が道路だったり駐車場だったりすると、
機器類がしっかり見られてなかなか良い。



ここにも、ひときわ立派なガスヒーポンの室外機が
鎮座していたのである。


21080201.JPG



ヤンマーの 塗装が、結構な自己主張をしている。
標準塗装がこのようになっているようで、
なかなか攻めているじゃぁないか。


そう。


設備機器も、このくらい攻めていったらいいんじゃないかと
思うんだ。


目立たないこと、気づかれないこと、自己主張をしないことばかり
追求しすぎていたんじゃないだろうか。


もちろんそういう役割のものがあっても良いのだけれど、
主張を持った機械だって、存在してもいいんじゃないかな。



21080202.JPG


基礎、架台、頭つなぎの金物、冷媒管用のカバーなどが
いい感じで配されている。


本体側面にも赤い塗装がちょこっとあって、
いいなぁ。



反対側の側面も見てみよう。


21080203.JPG


うん、こっちも良いね。

ゴミかごと並んでいるのが、ちょっと可哀想かな。



ガスヒートポンプエアコンなのだから、
ガスが供給されているわけで。



外壁の別面も見てみよう。


21080204.JPG


都市ガス供給地域のようで、
ここにガスメーターが並んでいる。


1つは暖房用に、1つは厨房用に。



低圧引込の屋外引込盤やら、
冷蔵庫用の室外機やら、
大きなプルボックスやら、
換気フードやら、
いろいろなものが取り付いている。



すぐ隣に建つ建物は
電気のヒートポンプエアコンのようで
ガスっぽさは全く見られない。


21080205.JPG


冷媒管カバーは外装色に寄せた白色にしてあるけれど
電線管やプルボックスや室外機架台は亜鉛メッキそのままで
そもそも裏側なのだから
意匠的にどうこう気にするような場所じゃない。


そういうことであろう。



この室外機たちは、目立たないことを目指しているようだけれど
ヤンマーのようなワンポイント塗装がつくようになっても
イイんじゃないだろうか。


冷媒管カバーも、
蛇柄とかヒョウ柄とか迷彩色とか
いろんなものがあったら楽しいのに。


楽しいだけで、採用されないし売れないしで、
作って売る方としては「市場性なし」なんだろうね。
(「ガスヒーポンがデンと」おわり)
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2021年08月01日

浄化槽ミッケ

市街地から離れた地域では、
公共下水道が整備されていないところも多い。


とある道の駅 の駐車場。


新しく建て直された道の駅なのだけれど、
建て替え前の公衆トイレはまだ残されていて、
それ用のでっかい浄化槽が、脇に埋まっている。


21080101.JPG


たくさんの角形の蓋が並ぶ、
かなり大きな浄化槽である。



これ用のブロアポンプやら薬注ポンプやら盤やら
その類の機器類は、どこに設けられているものか。

トイレ棟の一部にスペースがあるのか。

脇のプレハブ調のものは、後から置かれたものっぽいから
そこじゃなさそうだし。



この地中埋設の浄化槽には、
上部スラブの他に、下部にもスラブが打設してあるかも。


車が載る場所じゃないので、
人間が歩く荷重を支えられれば良いはずなのだけれども
雪が積もる場所だと
人どころではない荷重がかかってしまうから
躯体も頑丈にせざるを得ない。



さてこの浄化槽、
道の駅の建て替えに伴って使われなくなったのか、
屋外排水の切り替えによって引き続き使用されているのか、
そのあたりはちゃんと調査しないとわからないかな。


そんなお仕事でも来れば、
喜々として調べようじゃぁないか。
(「浄化槽ミッケ」おわり)
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