だから、守られているんだろうか。
不届き者が、君を連れ去ってしまうことがないように。
それとも君は、虐待されているんだろうか。
だから、囚われているんだろうか。
逃げ出してしまわないように。
あるいは君は、存在が恥だと思われているんだろうか。
だから、隠されているんだろうか。
その醜さが、人目に触れることがないように。
たぶん、そのどれでも無いんだ。
木質の外装材に、君の装いが少々不釣り合いなものだから
少し引っ込めたところに置いてあげようとして、
外壁と同じ面には似た色の建具をつけてやろうと気を遣われて
金属建具を充てがわれたものだから
却って目立つ羽目になってしまった、
そんなところかもしれない。
例によって例のごとく、
真相は不明である。
不明であるからこそ、好き勝手な想像を膨らませて
妄想にふけることが出来るのだと言えよう。
いちいち説明するのも野暮ってもんだ。
ピクトグラム・パントマイムで
ラケットを落としたのはミスなのか演出なのかって、
少〜し煙に巻いておいたほうが、なんとなく小洒落た感じがするのと同じように。
(「檻の中の室外機」おわり)