北海道中央部、登別温泉から洞爺湖温泉へと抜ける「道道2号線」の途中に
「オロフレ峠」なる峠がある。
展望台 は、道道から分岐して少々離れているけれど
道道沿いにも駐車スペースが造ってあって、
それなりの展望を楽しめる場所がある。
5月半ばの峠には、まだ雪が残っている。
どうです? 涼しげでしょ?
とは言え、路面にはもはや雪なぞ無くて、
山肌に少々残されている程度である。
周辺では、まだ新芽が出ていない。
もう少し季節が下る必要がある。
北海道室蘭土木現業所による、立派な「史碑」が建てられている。
史誌が長々と刻まれていて、その偉業を後世に伝えている。
昭和の末期になってようやく、
通年通行できる道路として共用されたようだ。
とは言っても、悪天候時などには通行止めになる。
吹雪とか。
このような地に、明治初期に私費を投じて開削したとは
ものすごい事であったと思うのだ。
碑の裏側には、当時のおエライさん方のご芳名が
しっかと刻まれていた。
当時のお役人は、碑文の揮毫もできなくてはならなかったのか。
大変だぁ。
青函トンネルの抗口部にある「青函隧道」は
時の総理たる中曽根氏によるもの である。
軍人ではないから、このような形で名を残したいと
虎の皮の如くに願ったのかもしれない。
今でも、トンネルや橋のたもとには
関係した技術者たちの名が記されて いたりする。
5月中旬と言えば、季節的には一般的に夏と言って差し支えないことだろう。
大相撲だって、5月の場所は夏場所と呼ぶ。
けれども、南北に長い日本列島では
まだまだ春のはじめである地も、あるわけだ。
少しは、涼感を得ていただけたであろうか……。
なお、前述の展望台は、
まだこの時期は冬期通行止め期間中であって
見に行くことはできない。
もう少し季節が進まなければダメなのである。
(「オロフレ峠の春は」おわり)