するったら、するんだい。
でもちゃんと、人の居ない時間帯に、
迷惑のかからないように撮っているのだから
構わないよね。
学術調査に近い位置づけなのだ。
なのだったら、なのだ。
興味関心や趣味も、いささか、若干、ごく僅かに
含まれているに過ぎない。
仕事が趣味なのか、趣味が仕事なのか、
とにかくも「せつび」に関わる仕事をしている者にとっては
必須事項と言っても過言ではないだろう。
え? 過言だって?
それは見解の相違ですな。
さて、気を取り直して
洗面台の下を見る。
3台の洗面器が並んでいるところである。
そんなに新しい施設ではないので、
何度か改修を繰り返してあるようである。
設備系についても、配管更新など
大掛かりにやってあるようだ。
壁面に露出で配された、給水管と給湯管。
主管から立ち上げてエルボで返してからアングル止水栓って
なかなかアクロバティックなワークじゃないか。
うん、うまい具合に配しているね。
と言いたいところなのだけれど、
この排水は、なんじゃらほい?
Sトラップと見せかけた、Pトラップ?
Sトラップの部材から、無理やり蛇腹管で壁に抜いている状態。
sp混成軌道かいな。
いやいや、そんな量子力学的存在じゃあないのであるが。
ちょいと、給水管を水平に流す位置が、高すぎたのだ。
もしくは、アクロバティック配管に固執しすぎてしまったのだ。
その結果、排水の取り合いに支障が出てしまったのだ。
それ故に、何とかして給水管を跨がなくちゃならないから
こんな苦しい納まりになってしまったのだ。
なんてこと、ある?
素直にPトラップで、いいじゃん。
何なら、S部材からエルボで返して水平に伸ばして
その高さで壁を抜けば、いいじゃん。
なして、S部材2個をつなげちゃう必要があるのさ?
蛇腹管がU字状にたわんでいるものだから、
ダブルトラップになってしまっとるやんか。
排水、流れにくくね?
自分の仕事じゃないところでこういうのを見かけると、
とってもたのしー。
好き勝手に茶々入れて、純粋に楽しんでいられる。
自分のミスでうっかりこんなことをやらかしちゃったら
気に病んでしまうかもしれないけどね。
そんなタマじゃないかなぁ。
素っとぼけちゃうかなぁ。
いやいや、そんなことは、ないはず。たぶん。恐らく。
ともかく、「せつび」は奥が深くって、
いろんなイレギュラーにも満ちていて、
それでも何やかや機能していて、
大きなトラブルにつながっていないことも多くて、
「たのしい」ものなのである。
ぜひ、この「沼」に嵌まる人たちが増えるといいのだ。
マンホールカード収集なんかも、入門としては手近であろう。
それはそれで楽しいのだけれど、
マニアックな設備沼にハマればはまるほど、
その楽しさは増していくものなのだよ。
ただ、時として、
いろんなイレギュラーが重大な事故につながってしまうことも
無いわけではない。
そう考えると、
「ほんとうにシッカリと教科書どおり・理論どおりに造られた
完璧な建築設備」
なんていうものが、この世にあるんだろうかと
いや、1つだって有るはずがないだろう、と
そう思ってしまったりもする。
みんな一所懸命に設計し、施工し、監理し、検査しているんだけれどね。
それだけ、微に入り細に入り、複雑繊細なものなのだ。設備って。
それでいて、結構テキトーで、ちゃらんぽらんで、文字通り「良い加減」な
愛すべき「せつび」なのである。
(「ダブルトラップやん」おわり)