流し台とか洗面化粧台とか洗面器とか、
水回りや衛生器具があったとしたら
どうするだろうか?
どうするって、使うだけじゃん。
ええ、それがごくごく普通の一般的な対応なのですよ。
それはね、重々承知しているんですよ。
いるんですけどね。
でもやっぱり、その「下」って、
見てみたくないですか?
見たくなんかないって?
どうして?
なぜ?
まあ、他人のことは置いておくこととして。
ワタクシは、今日も今日とて
見てみるのであります。
流し台があるとするよね。
そうしたら、迷うこと無く、一切の躊躇なく、
なんてことはないのだけれども
遠慮がちに、周囲の空気をしっかり読みつつ
「これは、開けても一大事にはなるまい」
そういう緻密な判断とともに
おもむろに、さり気なく、
さも当たり前であるかのように、
下部の扉を開けてみるのだ。
給水管があって、給湯管があって、排水管があって。
各管が露出で横引きされている状態をそのまま見せるのが癪だったからなのか
それらを覆うカバーまでかかっている状態。
まあ、フツーの配管接続だよね?
ええ、そうですとも、そうですとも。
フツーですよ。
流し台なんだもの。
水、湯、排水、このセットがあって
当たり前じゃない。
でも、その並び、材料の接続具合、納まりの妙、
そういった所に、興味無いですか?
ああ、そうですか。無いですか。
まあ興味や評価は人それぞれですからね。
でも、考えても見て下さい。
人物の「写真集」なんて、あるじゃないですか。
男性アイドルだったり、女優であったり、
そんな人たちの画像を集めた出版物が
いつだって大量にあるわけじゃないですか。
新聞だって、雑誌だって、
見目麗しい男女の姿がいたる所に溢れているじゃないですか。
広告なんて、商品の宣伝だか人物のアピールだか
わからんものも多いじゃないですか。
でも、人々は見ますよね。
写真集も、買う人はそれなりにいますよね。
どれを見たって、手があって、足があって、頭があって、
どの顔を見ても、たいてい目があって、鼻があって、口があって。
お決まりのモノしかついていないじゃないですか。
目が20個ついてるとか、頭が5個だとか、手足が50本あるとか、
そういう珍しさなんて、どこにもないじゃないですか。
それでも、人々はそれを見、楽しみ、愛でるわけです。
ちょっとした配置の妙、表面仕上の美しさ、全体のバランス、
そういうのを評して、イケメンだとか美女だとかかわいいとか
タイプだとかそうじゃないとか、
各人の好き勝手に評して楽しむわけじゃないですか。
それとおんなじなんです。
ただちょっと、ほんのちょっとだけ、
ソッチに目が向く人間の数が少ないっていうだけで
設備だって人物だって、何も変わりゃしないのです。
社会経済的にも、倫理的にも、
後ろめたい所もなければ、
皆様にご迷惑や不快な思いを撒き散らすような存在でも無い……はずなのです。
と、長々と理論武装しつつも、
やはり眺めるのである。
洗面器の下部も、なかなかのものだ。
扉を開けるという余計なハードルが無いのもポイントが高い。
「秘すれば花」を楽しむ方もおられようが
こと「せつび」に関しては、秘されて、もとい、隠されていないほうが
良いと思うのだけれど。
給水管が電気温水器に突っ込まれ、
適温の湯が自動水栓を通じて吐出されるものである。
排水管が床上で塩ビ管に接続されているが、
これは上部からのエアコンドレンを合流させるための措置のようだ。
ドレントラップが挟まっているのが一緒に見られるのも
比較的レアなケースかもしれない。
使っているだけならば、その詳細なんて知る必要はないかもしれない。
使い方さえわかっていれば、何の支障もないことも確かだ。
自動車だって、スマホだって、そのしくみや原理を理解している人など
製造・整備に関わるごくごく一部の方々だけであろう。
それでも、趣味的にそれらに関する知識を持つならば、
ただ使うだけよりも楽しい生活が待っているではないか。
建築の「設備」だって、そうなのだ。
あって当たり前、ちゃと働いて当たり前の設備だけれど
どんな仕組みで、どんなつながりで、それらが働いているのか
なんとなくのイメージがつかめていると
ただ使っているだけよりも、余程人生楽しめるというものである。
ここまでお読みになって
「なんて勝手な奴なんだ」「とんねもねぇ設備屋だ」
いい加減腹が立って仕方のない方がおられたとしたら
申し訳ありません。
いや、そんな人はここまで読んでないだろうし
そもそもこんなブログには、やってこないのだから、
気にせずとも良かろうか。
でも、ワタクシが「せつび」にこだわったからと言って、
観て、愛でて、読者の少ないブログにアップし続けたからと言って
何らの不利益を被ることは無いはず。
相手が「設備屋」ってだけで攻撃的になる方もたまにおられるのであるが
存在まで否定されなくても良いんじゃないかと抗弁したくなるときも
無いわけじゃない。
どうしても生理的に受け付けない、という方には
そっと離れていただくしかないのである。重ね重ね申し訳ない。
設備屋全般じゃぁないんだ。オマエだよ、オマエ個人なんだよ、
目障りなのは。
そうだったとしたら、尚のこと申し訳ない。
とにかく「せつび」を眺めて愛でて、
「せつび」をメシの種に生きてしまっていようかと
思っているので。
大丈夫。100年後には、確実に居なくなっているから。
それまで、忍んでいただきたい。
No Life, No せつび!
(「流し台・洗面器の下部を見る」おわり)