2021年04月09日

日高では実質とっくに廃止されていたのだけれど

JR北海道の日高本線。

「本線」を名乗るだけあって、苫小牧市から様似町までを結ぶ
全長146.5kmの長い路線なのであった。

……過去形だ。



というのも、むかわ町の鵡川駅以南は、2021年4月1日に廃止・バス転換されてしまったから。



とは言えこの区間は、実質的にすでに廃止されていたに等しい状態ではあった。



2015年1月に高波によって土砂が流出し、更には秋の台風により被害が拡大し、
復旧方法や費用について検討を続けている間に
2016年に3個連続して襲来した台風により 壊滅的打撃 を受けた。

路盤、鉄路、鉄橋、橋脚などの被害が甚大で
元々大赤字路線であった日高本線に、
巨額の復旧費を投じることの困難さは言うまでもない状況となった。


2015年以降「代行バス」と称して、JR北海道バスが輸送を担っていた。
事実上、この時点で「バス転換」が開始された。


その後も紆余曲折、地元自治体の協議などを経て、
2021年4月1日に、正式に鉄道事業の廃止となった。



その日高本線の南部にある、
浦河(うらかわ)駅に、寄った。


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遠からず解体され無くなるであろう駅舎や鉄路を目当てに
鉄分の高そうな方々が、次々に訪れる。



もうだいぶ長いこと、無人駅であったようだ。
そのうえ、2015年以降は「駅」としては使用されなくなっていた。


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改札口は残っているものの、
改札などされなくなって久しいようだ。


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「丘と海のまきば」と称している。



この看板も、いつまで残されているものか……。


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浦河町内の駅名が列記されている。


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様似方面。

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もちろん、単線だ。



苫小牧方面。

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立派な跨線橋が、
かつてはそれなりの交通量・利用者数であったことを
物語る。


「青色申告と諸税完納宣言の町」との文字が、
だいぶかすれてきている。



駅前にあった木柱が、
なかなか年代を感じさせるものであって。


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北海道開拓の頃、
海岸から内陸まで、
次々と鉄路が伸ばされて
人々や物資の輸送に著しく貢献した。


けれども、人口減・過疎に加え
自動車の普及と道路網の整備に伴って
鉄道は徐々に衰退し、
大都市圏を除けば完全に赤字産業である。



無人駅で電動車いすを利用したいからと
事前連絡なく訪れた方が
「バリアフリー対応がなくて酷い!」と 気勢を上げて おられたが、
それを主張すれば主張するほど、
コスト的に全く合わない無人駅や路線は廃止されていくことだろう。

却ってますますバリアを拡大してしまうことに
彼女は気づいていないのだろうか。



毎年のように、駅が廃止され、路線が減少していく。

そういう時代なんだ、と思うしかないわけで。


もしも大赤字だろうが何だろうが、
地域の足として必須だ、というのであれば
公営化するしかないのだが、
その財政負担に耐えられる自治体は
恐らく無いだろう。


いっそ国鉄に戻す、としても、
やはり維持は容易ではないはずだ。


かつて栄華を誇ったニシン漁、石炭産業などのように
時代や社会構造や人々の意識の変化によって
栄枯盛衰の波に呑まれていくのは
万象の辿るところなのである。
(「日高では実質とっくに廃止されていたのだけれど」おわり)
posted by けろ at 11:00| Comment(0) | 交通 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする