未だとどまることなく継続中である。
救命活動か、経済活動か、といった果てしのない議論も
双方の主張がまったく相容れないような状態で
罵り合いが活発である。
何が正しいのかを追求するのではなくて、
ただ異なる意見を糾弾することが目的であるかのような
わけわからん罵倒が氾濫している。
ま、それが人間なわけであるが。
日本科学未来館に、そんな展示があった。
もちろん、こんなコロナの渦中であるからして、
「お願い」「取り組み」はあちこちに掲示されている。
risk≠0
(理系には)わかりやすい表現ではなかろうか?
その展示は、5階の常設展コーナーの一角にある。
「100億人でサバイバル」というタイトルである。
われわれの社会が、さまざまなリスクの下に置かれているのだということを
視覚的に展示してあるのだ。
ピタゴラスイッチのような装置に生じるさまざまなアクシデントが
人間に見立てた小さなパネルをパタパタとなぎ倒していく。
そういう模型。
あまりにもナマナマしいわけでもなく、
しかし人の安全というものが何と儚いものであるかを如実に示す、
なかなか工夫された展示であると思うのだ。
リスク低減のための方策の有無や
それでも避けきれない被害など、
ひとしきり眺め続けてしまった。
この地球上のリスクのうちのごく一部を表現にしたに過ぎないけれども
眼前でパタパタと倒れるパネルが
過去のさまざまな人的被害を想起させる。
甚大な被害を身近に受けた方々にとっては
少々つらい展示かもしれない。
当然、こういう社会情勢であるから
パンデミック関連についても、主として文字情報ではあるけれど
展示されている。
日々の報道は、
「理系ではない人々」の思考・感覚によって
時としてセンセーショナルな扱われ方をし過ぎて
物事の判断材料として不適切であることが多いように思う。
各分野の専門書をじっくり読み込むことができれば
それが良いのであろうが、
このような形で吟味を重ねられた展示を観るのも
考察のための良い材料になるのではなかろうか。
もちろんこれらの展示も、吟味されているとは言え、
ある一定の見解・判断・考察の元に編集されたものであって、
絶対に正しいとか、専門家共通の認識であるとか
そういう保証は無いのではあるが。
少なくとも芸能人やらレポーターやらが
ロクに材料もなく、その場の思いつき感覚で
あーだこーだ言っているのを聞くよりは
余程ためになるはずだ。
現在は、事前オンラインチケット予約が必要で、
逆にそれゆえに過度に密になることなく見学が可能である。
大勢で行ってワイワイ、ではなくて
個人で、あるいは家族限定で、
観に行くのが良いのではなかろうか。
他の展示も、いろいろ興味深いから、
楽しめることは確かである。
(個人的には、霧箱の前に1時間居ても
飽きない気がする)
(「我々はリスクの中で生存している」おわり)