2020年12月04日

マンホールの中身だよ

建物の周囲には、
どこかしら、排水用のマンホールがあるはずだ。


排水の通り道であって、
そこに難があると、いろいろと困ったことになるのだ。

普段は、ぜんぜん気にも留めていない、
そんな存在なのだけれど、
イザ、無いとなると、ほんとうに困ってしまう。



中は、たいていこんな感じだ。


20120401.JPG


底部に溝がつけてあって、
そこを排水が流れていく。


「インバート」と呼ぶ。

上の写真だと、左から右へ、
排水が流れていくようになっている。



そんなに簡単に開かないよ?


かもしれない。


20120402.JPG


取っ手のついたフックなんかがあると
開けやすい。

プライヤーなんかで器用に開ける人もいるし、
鍵付きになっていてそう簡単には開けられないものもある。

場所によって、いろいろだ。

それにしても、
上のマンホールの内壁には
何やら成長しているようであって、ちょっと不気味。



基本的に、排水桝間の配管は直線に通されている。
それが、望ましい。


多少の曲がりがある場合には、
桝の中で曲線のインバートを設ける。


20120403.JPG


のだけれど、得てして、桝間の配管が屈曲していたり
桝壁に対して排水管が直角にはいってきていなかったり、
まあ、いろいろだ。
(望ましくはない)



2方向から合流してくる場所では
こんな風になっていたり。


20120404.JPG


左と下から入ってきて右上に流れるのだけれど、
下からの配管が太くて、流下方向が細くなっている。

これまた、望ましくない。


排水管は、下流に行くほど流量が増えるから
太くなっていくのは構わないのだけれど
途中から細くなるのは、いただけない。



蓋に「汚水」とか「雨水」とか
用途が書いているとわかりやすい。


20120405.JPG



けれど、何が書いてあるかなんて関係なく
テキトーにつけられていることも、
無いわけではない。



蓋だけ外れてどこかにいかないように、
鎖で留めてあるものもあるのだけれど


20120406.JPG


亜鉛メッキの鎖は
たいてい真っ赤に錆びて千切れてしまう。



日本はこんな蓋が盗まれて売りまくられるような
そういう治安ではないけれど
国によっては速攻で無くなってしまうかも。


コロナ禍で運休していた鉄道の給電ケーブルが
銅で高く売れるからって、どんどん盗まれてしまって
もうディーゼル機関しか走らせられない……なんていう国も
あるようだから。



設備改修の設計に際しては、
こんな感じでマンホールの蓋を開けて
既設の排水設備状況がどうなっているのか
調べるのだ。


建物にとって、「排水できない」っていうのは
致命的だから。



図面には描いてあるけれど、現地で見当たらなかったり、
絶対あるはずなんだけれど、土に埋もれて所在が不明だったり
そもそも図面と実際とでルートが違ったり、
汲み取りの図面しか残っていないけれどとうの昔に水洗化されていたり
地盤沈下で勾配がぐちゃぐちゃになっていてちゃんと流れていなかったり、
土が、木の根が、ぎっちり詰まっていたり、
蓋を開けるとともに大量の虫が湧いて出てきたり、

まあ、いろんなドラマが伴う場合もある。



そんな、マンホールの中身だよ!
(「マンホールの中身だよ」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 衛生設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする