標識が建っている位置からすると、
ちゃんと敷地内に収まっている……はずだ。
何かの店舗のようで、
木のおしゃれな外装。
軒裏換気口と、2階の排気フードは白く、
エアコン冷媒管用のスリムダクトは外装色に合わせてある。
1階の排気用とおぼしきスパイラルダクトは、
そのまんま。
エアコンの室外機は、
色のバリエーションが無いから、
仕方がない。
無理やり着色してあるものも見かけるが、
メーカーが「保証できないよ」って言うから、
ちょっと躊躇うよね。
室外機は全部、
架台に乗せてある。
冬は、雪が積もるから、だね。
防雪フードも取り付けてあるし、ね。
誰がために並ぶか、って?
そりゃ、店舗ならお客さんのためと従業員のため。
物によっては、製品のため。
つまり、必要性があって、ついている。
もし、建物のデザインにとことんこだわりたいのであれば、
どこに置くか、
どんな並びで置くか、
どういう形式にするか、
隠すか、現しか、目立たせるか。
そんなこんな事も考えてあげないといけない。
「デザイン上、邪魔だから、つけない」
まあ、それも有りっちゃ有りだ。
その場合、
「誰がために」……それをも犠牲にするということにもなる。
その建築がオブジェじゃないのだったら
なかなか、選択しづらい。
あとは、徹底的にカネをかけて、
これらのものが決して表に出てこない
そういう設備システムを採用することだ。
カネをかけさえすれば、
大抵のことはできる。
物理法則に反しない限りに於いては。
意匠も、構造も、電気も、設備も、
すべて揃って全体が成り立っているんだな。
それらを、それなりに理解した上で
全体を構成するのが
プロジェクトリーダーたる建築士の仕事なのである。
すんごく、大変。
リーダー以外は、
自分の領域に専念できるから、
そういう意味では気が楽かな。
(「誰がために室外機は並ぶ」おわり)