ちょこっと歩く。
ちょっとだけ、乗り継ぎの時間があったから。
せっかくだもの。
ただ、乗り物を乗り継ぐだけじゃ、
もったいないのだ。
せめて、駅の周囲を一周してみようじゃないか。
当地ゆかりの、正岡子規の句碑が建っている。
駅前でこそのモノである。
34歳で亡くなっていて、
しかも晩年(と言えるのかどうか)の7年間は
結核を患っていたという。
それでいて、大きな足跡を残しているのであるから
なかなかの御仁なのである。
松山市内には、
路面電車が走っている。
全国的に廃れてしまって、
残されている都市はあまり多くはないのであるが、
欧州各国で「エコ」であると評価されて以来
その地位を盛り返している感もある。
伊予鉄、である。
公営ではなく、民間鉄道として
地方都市で頑張っているようである。
ぷらっと歩くと、
新しそうな、市民病院の建物が建っていた。
本館ではないけれど。
建物の設置部分、如何にもな感じ?
そう。
免震クリアランスが取られている部分だ。
裏側からも、見てみよう。
裏側には、遠慮なく換気フードや配管が並んでいる。
手前の駐車場に何かが建てば、全部隠れてしまうから。
右隣は、まるで北側斜線の説明図のようである。
ついでに脇を見ると、
露出の配管が見える。
見映えを気にする必要がなくて
凍結の心配も無いのであれば
作るにもメンテするにもやり替えるにも
すこぶる便利である。
ま、足場の都合は出てくるけれど。
「排水管と通気管って、こんな感じでつながってるんだよぉ〜」
教材として、使えるんじゃないかな。
道行く先々に、
いろんな教材があるのだから
「建築」は学びやすいと思うんだ。
超ミクロとか、超マクロとか、理論とか、
そういうやつよりも。
換気用か、冷暖房用か、
何かの開口部。
2個セットだから、換気かなぁ。
ふと見上げると、
開閉器が外壁から持ち出した架台に
取り付けられている。
電柱をやめて、共同溝化したからなのかな。
屋上に無造作に置かれる高置水槽も
いつだって気になるアイテムである。
猫やカラスが浮いていないか、
そんな大きなものはなくても、虫とかホコリとか
浮いていそうだよね。
ま、そういうヤツは、屋内の受水槽だって一緒か。
定期的に、こまめに、しっかり掃除するしかないんだ。
「松山らしさ」ってのを、
風景や気候や交通機関とともに、
「せつび」や「ケンチク」の有り様によっても
なんとなく感じることができたんじゃないかな。
とは言っても、たかだかJR駅の周辺だけの話。
坊っちゃんゆかりの温泉とか、
もちょっと離れた城とか、
大街道とか、
尾道今治ルートとか……。
生きてるうちに見に行く機会があるといいんだけど。
(「松山市内をちょっくら」おわり)