今ほど航空機が、空港施設が、高速道路網が発達していなかった時代には
寝ている間に目的地に着く、長距離移動の花形だったのだろう。
しかし今や、定期運転している寝台特急はわずかに2系統。
いや、わずかに1系統。が、途中で2方向に分かれるのだ。
夜、東京駅のラッチ内コンコースを歩くと、
その表示が出ている。
寝台特急サンライズ瀬戸 と表示されている。
目的地は、高松である。
少し見ていると、表示が変わる。
寝台特急サンライズ出雲 目的地は出雲市となる。
高松行き、出雲行きの2系統が連結された状態で走り、
岡山駅で分離 され、
一方は本四備讃線、予讃線経由で高松へ、
もう一方は伯備線、山陰本線経由で出雲市へ向かう。
なつかしい顔の、列車である。
いかにも、これに乗っていきそうな格好の人々が
ホームを歩いていく。
別のホームには、残業帰りの人たち。
列車の表示は「高松」。
東京駅ならではの表示であろうか。
バスタ新宿の表示ほどではないのかな。
ああでも 「新函館北斗」なんて書かれる新幹線 もあるね。
出かける時、最短・最安で移動することもあるし、
時間と費用が許すなら、敢えてそれらを掛けた移動を選択することもある。
たまには、こういう手段も使ってみたかった。
今後、いつ廃止になるかも知れないし。
時節柄、柄々、いや、ガラガラである。
寝台料金は節約しようと思って、「ノビノビ座席」を選択。
寝台に見えて、これ、座席なんです! ってやつ。
こんだけ空いていると、通路を行き交う人もいない。
この車輌には、数人だけ。 ようやく片手を超えるくらい?
寝ている間に、どんどん進む、のであるが
駅に停車するたびに何となく睡眠が浅くなってきて
何となく外を覗いてみたくなったりする。
明るいなぁと思ってカーテンをめくると、岡山駅だった。
売店は当然まだ開いていないけれど
屋根の上に乗っかっているエアコンの室外機が出迎えてくれた。
「瀬戸」のほうの車輌にのっていたので、
到着したのは「さぬきうどん駅」であった。
「うどん県」とも書いてある。
それなのに「それだけじゃない香川県」とも書いてる。
一体、どっちを推したいんだい?
高松駅での、顔。
反対側の顔も。
向こうのホームには、
瀬戸大橋を通って岡山に向かう「快速マリンライナー」が停まっていた。
そっちのほうが、現代っぽい顔をしている。
四季島とかトワイライトエクスプレス瑞風とかななつ星とか
富豪向けの超豪華寝台特急が次々と運行されているけれど、
そういうのにはなかなか手が出ないなぁ。
足が出ちゃう。
だから、現在残されている「サンライズ」に、
一度は乗ってみたかったのである。
う〜ん、一度乗ったら満足するかと思ったけど、
いざ乗ってしまうと、おかわりしたくなる気分。
「出雲」方面にも、いつか行けたらいいんだけれど!
運行しているうちに。
狙っている方々、今がチャンスかもしれません。
コロナ禍がすっかり収束してしまったら、
それこそ世界中から愛好家が集まってきて
予約困難になること必至なのだから。
(そういう時期が早く来ることを、
旅行、運行、運航各社は願っているに違いない)
(「寝台特急は今や」おわり)