今でも農林水産物が豊富な北海道であるが、
ニシン漁などが盛んであった頃は、相当に羽振りの良い漁師たちが多かったようである。
そんな遺構が、この村にも多く集められている。
「旧土屋家はねだし」というものらしい。
文字通り、水辺に「はねだし」て、獲れたものや資材などの
上げ下げをしていたようだ。
脚の部分、ちゃんと造らないと怖い気もするが
そういう技術者・職人もちゃんと存在していたんだろう。
旧青山家漁家住宅。
この頃の漁師の家は、御殿 のようなものも見られる。
北海道の日本海沿いに、いくつか遺されている。
ここの基礎も、レンガのようだ。
釜焚き作業の現場も再現されていて、
こんなふうに作業されていたんだという解説図とともに興味深い。
文字通り「釜」で焚いていた場所。
ニシンは食するものではなくて
潰して絞って油を採るものであった……とは
何とも贅沢な話である。
現代では高級食材である「数の子」も
当時はただの生ゴミでしかなかったくらいに
大量にあったということだ。
乱獲が祟ったか気候変動の影響か
その後まったく獲れなくなって高級化したニシンも、
稚魚放流などの施策の効果かどうか、
近年になって「群来(くき)」が再来する ようになって
関係者が快哉を叫んでいるという。
コロナ禍でロックダウンされた各地で
水や空気が澄んできたり、野生生物の活動が活発化したり、
「禍」は人類以外にとって「福」だったと捉えられるのかもしれないが
可能であれば共存したいものだと思ってみたり。
まあ無理かな、と諦念してみたり。
(「漁村群」おわり)