2020年07月11日

開拓の村の家々のせつび2

開拓の村 を続けさせていただく。



村内にある、電柱ほか。


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これらが、生きているのか、単なるモニュメントなのであるか、
たぶん後者なんだろうけど。


古い木柱とか、碍子とか、トランスとか、
がんばって探してきたのか、
それごと移設してきたのか。


ちゃんと、これらも含めた「街並み」を再現しようとしているようで
見る方としては嬉しくなる。



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かつての北海道の、建物である。

雨風がしのげるだけで、
そりゃー寒かったろうて。



板張り・無断熱。

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床下だって、外気がスースー通る。



屋内の流し場には、
古めの水抜き栓と、古めの水道管と、古めの保温材とがあったけれど
でも当時のものでは全く無い。

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現代に使用しようとするならば、
自ずと制約があるのは仕方がない。

防災設備関係と一緒だ。



暖房兼湯沸かしであったろう、
居間の囲炉裏。


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開放の燃焼場所だから、
断熱気密性が皆無であった当時だからこそ
可能であったとも言える。

現代の住宅でこれを実現しようとするならば、
酸素供給と廃ガス排出とを厳密に計画しないと
居住者は皆一酸化炭素中毒で死んでしまう。



石炭ストーブ。


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いくら気密性無しといえども、
石炭ストーブを煙突無しで使えるほどではないのだが。



井戸直結の、流し。


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地下水が良質で豊富であったなら、
確かにこれで十分であったろう。



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確か、和菓子屋か何かの作業場。

手前に、型板がある。


この照明では、夜明け前からの仕込み時には
とても暗かったであろう。

照度計算もへったくりもあったものではない。



浴室。


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今どきは、煙突のある浴室なんて
余程古い公営住宅でも見ないかな。

せいぜい、FE式の湯沸器くらいか。



ところどころに、郵便ポストもあるが


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当然ながら、ただのモニュメントであって
ここに投函することはできない。

さり気なく、投函口を塞いであるから
うっかり出す人も居るまい。


この手のポストで、
まだ使用されているものもあるのだろうけれど、
絶滅危惧種であろう。


明治〜大正〜昭和前半までくらいの歴史が
ゴッチャゴチャと言えなくもないけれど、
現代から見れば遥か昔であることに変わりはない。



未来人の「平成村」では、
第二次世界大戦直後から、六本木ヒルズくらいまでの建物・事物が
ぜんぶ綯い交ぜになって展示されていても

「ああ、昔だなぁ」

未来人には、そう感じられるだけなのかもしれない。
(「開拓の村の家々のせつび2」おわり)
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2020年07月10日

開拓の村の家々のせつび1

北海道開拓の村 には、いろいろな建物が移築されている。


建物もそうであるが、外構にも気を使ってあるようで。


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木製の電柱と、傘のついた裸電球用外灯が雰囲気を出している。


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住宅兼店舗のような建物が、いくつか建っている。


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ここでは実際に「昔の駄菓子・昔の飴」が売られていて
昭和のガキの買い食いを体験できるようだ。



住居部分も再現されていて。


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木床にはめ込まれた、便器。
便器の「蓋」が乗せられている。

汲み取り式であったなら、
蓋でもしておかなくては、臭くて堪らないだろう。



台所。


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給水は、左上に貯めた水を使い、
排水は、壁側から排出される。


壁といい、窓といい、
冬はさぞや寒かったのではないだろうか。



竿縁から吊り下げられた、照明器具。


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裸電球用の器具であったのだろうが、
現在ついているのはイマドキ(いや、ちょっと前、か)のもの。

こんな吊り下げコードなんて、普段見ることは無い。


感知器は……もちろん現代だから必要なモノ。



現代に建つ建物、しかも不特定多数の見物客が訪れる建物であるから、
防災関係はどうしても取り付けざるを得ない。


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これは、仕方がないのだ。



この類の移築建物は、
所詮は「紛い物」なのかもしれない。


でも、それはそれで、過去の生活を現代に伝えるための
貴重な伝達装置として機能するのだから、良いではないか。


鉄筋コンクリート造、エレベーター付きの城郭建築 も然り。



現物が、現地にそのままの状態で残されているのは良いのだが
誰にも見られないまま「保管」されているのでは、
果たしてそれが人々に何の影響を与えられるかというと
皆無に近いのではなかろうか。



「人」の営みの遺物なのであるからして、
人が見て、触れて、感じてこその存在意義なんじゃなかろうか。



なので、こういうモノたちを見るのは
心躍り、楽しいものなのである。
(「開拓の村の家々のせつび1」おわり)
posted by けろ at 11:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月09日

北海道開拓の村

札幌市厚別(あつべつ)区のはずれに、
北海道開拓の村」 という施設がある。


明治村 の北海道版、といったところか。



本州各地に比べると近代文明の歴史は浅いのかもしれないけれど
北海道開拓の歴史を移築した実物で辿ることの出来る場所なのである。



もっとも先住の人々にとっては「開拓」ではなくて「侵略」の歴史であって
多面的捉え方を要する事項であったりもする。



しかしながら、そのあたりの難しさは常に抱えつつも、
この地が経験してきた歴史の一部を切り取ったものには違いなく、
「事実」の検証と解釈とは経過した時間とともに変遷するものであるとも言えよう。



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村のエントランスの建物自体が、移築建築物である。



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旧札幌停車場。1908年完成の、三代目札幌駅舎であるという。



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洋風の要素を多分に持ちつつも、
和風の風貌も漂わせる、そんな洋館。



明治村には及ぶべくもなかろうが、
多くの建物が移築・保存されている。


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入口広場の左手には、
旧開拓使札幌本庁舎。


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開拓使の星マークがはためく。

ビジターセンターとして使用されている。



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旧浦河支庁庁舎。

木製の電柱や外灯が、当時のもの風になっている。



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旧小樽新聞社社屋。

北海道内には巨大火山がいくつもあって、
そこから噴出された多量の火山灰が広大な範囲に堆積している。

それらによって形成された溶結凝灰岩が、各地の石造建築の資材となっているのだ。


この社屋は「札幌軟石」を積み上げて造られているという。



さて、この村内には鉄道が走っている。


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単線の鉄路が敷いてあり、この小ぢんまりとした車両が往来する。



動力は……馬力である。


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鉄道が「走っている」というよりは、「歩いている」かな。


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園内周遊はできないが、ずうっと奥まで歩いて行ってこれに乗って帰ってくるか、
まずはこれに乗って奥まで行って、そぞろ歩きで戻ってくるか、
そういう使い方もできよう。


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この手の施設は、
行った1日だけで念入りに見尽くそうとするよりは
ある程度見て、残りは次の機会に……くらいに考えておくのが良いかもしれない。

2〜3日かけて見て回る時間的余裕があるなら、
それもよかろう。



忙しい中で苦労して休みを取ったから、
頑張って半日で全部見て回って、違う観光地にも行って……
まあ、そういうお方もおられるだろうから、
事情に合わせて愉しめばよかろう。



旅は「回る」ことが目的なのではなくて、
「愉しむ」ことにこそ主眼を置いたら良いと、
ワタクシは思うのである。
(「北海道開拓の村」おわり)
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2020年07月08日

木造現場にケーブルいっぱい

木造というと住宅程度しかなくて、
「設備設計」という立場で関わることはほぼなかったのだけれど。


耐震や防火の基準が変わってきて、中大規模の建物でも
木造が採用されるようになってきた。



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そうすると、おのずと「設備」の立場であっても関わりが増えてくる。

RC造やS造とはかなり異なった納まり、配置になってくる。


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見慣れない金物類も、たくさん見かけることになる。



建築士試験のテキストでしか見る機会がなかったものが
否が応でも目に入ってくるようになる。



電源ケーブルの類も、RC造とはずいぶんと様変わりである。


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天井の吊り棒に支持されるのではなくて、
構造材に直接留めつけられている。



普段住宅建築に関わっておられる方々であれば、
当たり前の様子なのでろう。


でもスパンが大きいから、
梁成も大きいんじゃなかろうか?



梁をいちいち跨ぐことになるから、
所要ケーブル長さも、設計数量より多くなるんじゃなかろうか。


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こういう状況を見ると、
建築設備数量積算基準は木造では係数を変えなくちゃいけないんじゃないかと
思ったりするのである。
(「木造現場にケーブルいっぱい」おわり)
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2020年07月07日

ポンプ桝の中身

排水桝があんまり深くなりすぎると、
公共下水道に接続できなくなってしまう場合もある。

敷地状況やら、排水勾配やら、公設桝の深さなど
条件によっていろいろだけれども。



そんな時には、ポンプアップしてあげるしかない。



排水ポンプを収めた人孔桝を、「ポンプ桝」とも呼ぶ。



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中に、2台の排水水中ポンプが入っている。

排水がどんどん入ってきて水位が上がると、
フロートが浮き上がってきてスイッチが入り、
ポンプが起動して汲み上げられるのである。


2台のポンプは、順番に動く。


急激に水位が上がれば同時に動く制御もかけられる。



結構深いから、
トラブル時や清掃などで人が入るのは大変だ。

だから、内部にはタラップも設けてある。



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当然、ポンプを動かすための電源ケーブルも
この中に入ってくるのである。



マンホール蓋を閉められたら、
次に誰かが開けてくれるまでは
ただ黙々と働くのみだ。


そんな、ポンプたちが入っている、ポンプ桝。


そう。


「せつび」は何時だって、
隠れたところで働いているのだ。
(「ポンプ桝の中身」おわり)
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2020年07月06日

地下の換気のルーフファン

駐車場に生える、換気塔。

その頂部に並ぶ、ルーフファン。
結構、でかい。


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この駐車場の地下も、駐車場だ。


だから、換気を設けてある。



ダクトを延々と伸ばして巨大なファンを設けるか、
こんな換気塔とルーフファンを点在させるか。


いろんな選択肢が考えられる。



施設計画をする人がこういう存在を知っていれば、
採用することもできる。

知らなければ……?


もちろん、知っている選択肢だけで検討するだろう。



見た目の問題もあるし、騒音だって生じるから
単純な話ではないのだけれど。
(「地下の換気のルーフファン」おわり)
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2020年07月05日

掘ったら水が出てくる

とりあえず、ユンボで穴を掘ると。


ボーリング調査でわかってはいたけれど、
地下水位が高いね。


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ピット内にはすぐ水が溜まりそうだから
釜場と排水ポンプは必須だ。



基礎打設の際の水替も、結構なことになりそう。
(「掘ったら水が出てくる」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 建築工事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月04日

マスクだ、布マスク

全世帯に2枚ずつ下賜されるという、布マスク。

一人暮らしでも、2枚。
5人暮らしでも、2枚。

時の総理の名で通称されるようになった、アレ。


先日、ついに来ました。


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報道されていたような瑕疵はありませんでした。

至って、健全な状態でございました。



けどねえ。



不織布マスクも十分に出回ってしまっているし、
これを機にいろんな方が製作した布マスクが
結構あるんよね、既に。



巨額の国費を投入して配布されたマスクだから、無駄にはしませんよ。

当然のことです。


コロナだって、解決したわけじゃないし、
再拡大しつつある様子も報道されているし、
そもそも毎冬のインフル他感染症対策としても効果が期待できるし
ひとまず保管しておきますよ。

金輪際不必要、なんてことは有り得ないと思ってますんで。



ただね。


マスクにしても、給付金にしても、各種事業にしても、
一体どのくらい、どこでピンハネがあるのか
わけわからんのが困るね。


一所懸命やってる人が大勢居る中で、
どさくさに紛れての火事場泥棒的な行為が存在するらしいこと、
指摘されても情報が出されないこと、
誰も納得できなくてもウヤムヤになっちゃうこと。


いつから、こんな国になったの?

「美しい国」って、こういうこと?

それとも、知らなかっただけで、
ずっとこんな国だったの?



でも、それでも、
それなりに回っているこの国は
やっぱり恵まれているのだと思うんです。
(「マスクだ、布マスク」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月03日

乾式って貼ってある

「乾式」の消火栓って、知ってますか?


消火栓なんだから、
消火配管の中には水がいっぱい詰まってなきゃならないんだけれど、
「火事だ」ってなったら、栓を開いてすぐ放水できなくちゃならないんだけれど、
でもそこが寒冷地だったりすると、そうもいかなくなるんですよ。



24時間稼働の常時暖房している建物なら良いんだけれど、
夜間は人が居なくなって暖房も止まるような建物で
消火管の中に水が入っていると、凍っちゃう危険性がある……。

そんな場合、消火管の中は空っぽ(乾いた状態)にしておいて
非常ベルが押された時点で消火ポンプを起動、
管内を水が送られてきて、やや暫くしてから放水、という算段になるんです。



普通は、ダメなんですよ。
すぐ放水できなくちゃ。

だから、敢えてそう呼びはしないけれど「湿式」の消火栓が普通なんです。

けど、事情によって「乾式」も認められるのです。
まあ主として立地条件ですね。

くれぐれも、勝手に判断しないで、所轄の消防に確認しましょうね。



逆に言えば、寒冷地においてはごくごく当たり前の存在。

なんだけど。



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たまに、「乾式」って敢えて表示してあるのもあるみたい。

普通は、その地方では書いてないですよ、わざわざ。

まあ、こういうのも、いいじゃない。わかりやすくて。

特に、温暖地にある設計事務所が、寒冷地の建物の改修設計にあたるような場合。



でも、普通は書いてないから、注意が必要なのです。

放水試験をした後に「水抜き」するためのバルブと配管も必要だから。
そのバルブの位置表示も必要だから。



ついでだけど。



上の消火栓、「1人で操作できます」っていう表示も貼ってある。

ご丁寧なことで。
(「乾式って貼ってある」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 防災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月02日

ダクト、潰れちまってるよ

誰だい、ダクトを潰しちまったのは?


可哀想に。

俯いちゃってるじゃないか。

錆汁も流しちゃって。



ああ、可哀想に。



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ムシャクシャした通行人が、殴った?


上司に叱られて頭にきた社員が窓を開けて蹴飛ばした?


人力で、こんなにひしゃげるものかなぁ。



いえいえ、ここは積雪地。

恐らくは、パラペットで固まった雪庇がドスンと落ちて
ダクトを押し曲げてしまったに違いないのだ。


良く固まった氷の比重は大きい。


数百kgの固体が、10m以上落下して衝突したならば……。

まあ、計算すれば何Nの衝撃力であったのか求められるだろう。



とにかく、こうなった、というわけだ。



とりあえず、排気ダクトとしての機能は果たせているんじゃないかな。

今のところ。



こういうことがあるから、
室外機なんか置いちゃダメなんだ。
陸屋根であっても、ね。



パラペットに雪庇防止板か何かをつけておくのも
一つの方法である。

まあ、そんなところかな。



連結散水設備用の送水口も、
だいぶ年季が入っているようだ。

じきに読めなくなったりしないかな?
(「ダクト、潰れちまってるよ」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 換気設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月01日

古い型のガスメーター

新築ぴっかぴかの建物は、それはそれで良いのだけれど
「味わい」に欠ける面もある。



だって、何もかもぴっかぴかで、
しかもほとんどの「せつび」は
あるものは天井内に、あるものはシャフト内に、
またあるものは床下に隠されてしまって、
見えやしない。


ほんの一部、グリルとか放熱器とか水栓あたりが見えるだけなのだ。



その点、年季の入った建物はひと味もふた味も違う。


建てられてから現在までの、
いろいろな歴史をその身に刻み、
それが随所に残されているからなのである。



ここに、1つのガスメーターがある。


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取り付けられてから幾星霜。

こののち、あとどのくらい利用されるものなのか。



ん……。



それにしても、古すぎないかい?


計量法の規定では、8年ごとに取り替えられるはずだが?



いや、でもわからん。

これは飽くまで、内部的に使用量を把握するためだけのもので
使用料金の根拠として利用されるようなものではないのかも知れない。

そのあたりの経緯がわからない以上、
軽々に疑念を挟んではなるまい。


とにかく、味わい深い、ガスメーターなのであった。
(「古い型のガスメーター」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 衛生設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする