村内にある、電柱ほか。
これらが、生きているのか、単なるモニュメントなのであるか、
たぶん後者なんだろうけど。
古い木柱とか、碍子とか、トランスとか、
がんばって探してきたのか、
それごと移設してきたのか。
ちゃんと、これらも含めた「街並み」を再現しようとしているようで
見る方としては嬉しくなる。
かつての北海道の、建物である。
雨風がしのげるだけで、
そりゃー寒かったろうて。
板張り・無断熱。
床下だって、外気がスースー通る。
屋内の流し場には、
古めの水抜き栓と、古めの水道管と、古めの保温材とがあったけれど
でも当時のものでは全く無い。
現代に使用しようとするならば、
自ずと制約があるのは仕方がない。
防災設備関係と一緒だ。
暖房兼湯沸かしであったろう、
居間の囲炉裏。
開放の燃焼場所だから、
断熱気密性が皆無であった当時だからこそ
可能であったとも言える。
現代の住宅でこれを実現しようとするならば、
酸素供給と廃ガス排出とを厳密に計画しないと
居住者は皆一酸化炭素中毒で死んでしまう。
石炭ストーブ。
いくら気密性無しといえども、
石炭ストーブを煙突無しで使えるほどではないのだが。
井戸直結の、流し。
地下水が良質で豊富であったなら、
確かにこれで十分であったろう。
確か、和菓子屋か何かの作業場。
手前に、型板がある。
この照明では、夜明け前からの仕込み時には
とても暗かったであろう。
照度計算もへったくりもあったものではない。
浴室。
今どきは、煙突のある浴室なんて
余程古い公営住宅でも見ないかな。
せいぜい、FE式の湯沸器くらいか。
ところどころに、郵便ポストもあるが
当然ながら、ただのモニュメントであって
ここに投函することはできない。
さり気なく、投函口を塞いであるから
うっかり出す人も居るまい。
この手のポストで、
まだ使用されているものもあるのだろうけれど、
絶滅危惧種であろう。
明治〜大正〜昭和前半までくらいの歴史が
ゴッチャゴチャと言えなくもないけれど、
現代から見れば遥か昔であることに変わりはない。
未来人の「平成村」では、
第二次世界大戦直後から、六本木ヒルズくらいまでの建物・事物が
ぜんぶ綯い交ぜになって展示されていても
「ああ、昔だなぁ」
未来人には、そう感じられるだけなのかもしれない。
(「開拓の村の家々のせつび2」おわり)