いかにも「元、教室」である。
しかし、使用目的に合わせた室内環境を整えるために
新たな設備が付加されている。
どうだろうか。
「教室」だったことが、一目瞭然であろう。
しかし現在は「椅子」を展示してある空間である。
だから、それにふさわしい照明器具をセットしてある。
展示状況に合わせて移動し照射角度を変えられるように
ライティングレールで格子が組まれている。
「窓を開ける」ことに依存しない居室換気として、
カセット形の全熱交換ユニットが据え付けられている。
梁の寸法と窓開口の関係上、梁下のダクトは窓を塞いだパネルに通している。
元の教室には無かったであろうエアコンもまた
追加されている。
別途FF式温風暖房機が設けられているところを見ると、
冷房専用機としての位置づけであろう。
実際には暖房も可能なのかもしれないけれど。
これも、一番台数が出ていて安価であろう、天井カセット形の室内機と
なっている。
建物のところどころに、防火区画が形成されているけれど、
その部分を貫通するものもある。
ケーブルラックに乗っかっているケーブル類はそのままでは貫通させられない。
被覆を通じて、火炎が区画を跨いで伝搬してしまうからである。
それを防ぐために、貫通部分は金属電線管の中を通して、
しかも配管内には大臣認定の貫通処理材を充填してあって、
これにより区画の役を果たすようになっているのである。
そんなこんな、いろいろな措置を、間近に見ることができる。
だから、改修された建物は面白い。
新築だと、大抵これらのものは隠されてしまって
見ることができないから。
かつてのバブル期のような、スクラップ&ビルドの時代は
もう来るまい。
変わって、古い施設を改修して改修して永く使う時代が続くだろう。
そんな現代にこそ、
「せつび」は大手を振って自己主張できるのである。
「われ、ここに在り、と」
まあ、ちゃんと働いていればそれで良いので、
別に主張なんかせんでもいいんだけれど。
「主張」しているようで、
実は誰もその存在に気づいていないのだから。
……てことは、新築の場合だってコストを掛けて敢えて隠さなくっても
構わないんじゃないかな。そう思う、この頃。
改修だって、楽になるし。
メンテも、やりやすいし。
良いことづくめだと思うんだな。
(「せんとぴゅあのせつび」おわり)