サッポロビール博物館。
同じ会社の ヱビスビール記念館 は、違うの? という疑問はさておき。
(URLにも museum って入ってるけど)
明治時代、国策として行われた多くの事業の一つが、
ビール醸造、なのであった。
「殖産興業」のもと、そのバイタリティはもの凄いものである。
その産業遺構を博物館として残してあるのだ。
天気が、悪い。ので、映えない。
けど、訪れた日がそうだったのだから仕方がない。
レンガ造りの建物が遺されていて、
一部が博物館やレストランとして利用されている。
現代の利用に耐えるよう、
耐震補強、設備追加など、さまざまな改修が加えられているに違いない。
そうでなければ、いろんな法にひっかかるし、いろんな不都合が生じる。
当時の雰囲気を最大限残しつつも、
傷んだ部分は補修し、汚れた部分はきれいにし、
建築的にも必要なものを添加している。
「博物館」としての動線計画もあるから、
おそらく従来とは異なるエントランスを新設したのであろう。
今どきはスロープが必須だし、
「完全に元のまま」というわけにはいかないものである。
また、その必要性もあるまい。
連結散水設備の、送水口。
すでにこれもだいぶ古ぼけてきているから
ピッカピカのものよりも溶け込みやすいかもしれない。
屋外消火栓ホース格納箱も、それっぽい塗装。
ガス管も塗ってあるけど、
ガスメーターには「指定色品」なんて無いから
まあ仕方ないんだろう。
プロパンなら無理やり塗ってる建物もあるんだろうけど
都市ガスだとそうもいくまい。
自販機も、レンガ柄。
内部も、元のレンガのイメージを最大限保ちつつ、
おそらく全面改修したに違いない。
螺旋階段は、どうみても後付け。
元はどうだったのかわからないけれど、
壁面のノズルがいい感じで取り付いている。
喫煙所も取り付けられていて、
換気扇やダクトもナマのスパイラルダクトじゃなくて
化粧が施されている。
配管類、照明器具類、コンセント類も
全部後付け。
外壁面には、補助暖房なのか、メインの暖房なのか、
ローボーイ形っぽいファンコイルユイットっぽいものがある。
これだけでは、冷温水がつながっているのか、温水だけなのか、
電気式なのか、判別しかねる。
蒸気ではないっぽいけど。
「博物館」としての展示も、ちょっとだけご紹介しておく。
「重要科学技術史資料」としての、麦汁煮沸釜。
結構貴重なもののようである。
これは何だったのか……。
忘れちゃった。
何か搾る感じのものかな?
村橋久成、中川清兵衛の物語が
パネルによって紹介されている。
各国語で書かれたラミネート説明板も用意されている。
英、中、韓のほか、タイ語などもあったような気がする。
有料のプレミアムツアー参加者には、
専用の英語・韓国語の音声ガイド端末貸し出し(有料)もある。
今どき中国語もありそうだけれど、無いんだね。
官営であった麦酒醸造所が、民間に払い下げられて産業化していった。
大成建設との繋がりは、こういうところからあったんだ、と
認識できよう。
あ、次回一万円札の人も関係してるんだ。
「ただの暗記科目」としか認識していなかった地歴科目だけれど
時代の流れ、人物の関係性などとともに見ていくと
なかなか面白いものなんだなと、やっと気づくようになってきたような。
サッポロビール園 も併設されている
(というか、博物館のほうがオマケで、メインがビール園)ので、
羊肉とともに堪能できるのである。
もうもうと立ち込める煙を堪能したい人向け、
無煙ロースターで楽しみたい人向けなど、
いくつかの建物があるので目的に合わせて選ぶことができる。
通販や物産展で、あるいはアンテナショップで、
今どきは全国・全世界どこにいても食材は手に入るかもしれないけれど、
やはり本場で食べてこそ。
雰囲気・気分も含めての味なのである。
コロナ禍は過ぎ去ったと言える状況がいつになるのか
見当もつかないけれど、
様子を見つつ、ある程度経済を回すという意味でも、
そろそろ訪問を考えても良い時期じゃないかと思ってみたりする。
「以前(Before Corona)と同じ」には、たぶんならないだろう。
けれど、「今後(After Corona)の新しいあり方」は
形作っていかなくてはならない。
我々の敵は、決して SARS-CoV-2 だけではない。
毎年万人単位の犠牲者を出す季節性インフルエンザも、
未だ根絶とは程遠い結核、梅毒、HIVなど各種感染症も、
各種のガンも、不慮の事故も、
猛暑も豪雨も台風も地震も噴火も高潮も津波も、
経済不況も雇い止めもセーフティーネットの崩壊も
国際関係の悪化も家庭内不和も、
ありとあらゆる「危機の源泉」が存在している。
たとい健康であっても、経済的に立ち行かなくなれば
やはり生きてゆけない。
経済最優先、とするのは危険だけれど、
優先度は決して低くはないはずだ。
そもそも、ある程度経済的裏付けが無ければ、
各種の危機への対策も打てないのだから。
ここで経済をうまく回すアイディアと実行力を見せる人がいたら、
ノーベル経済学賞が貰えるんじゃないだろうか?
よくわからんけど。
(「日本で唯一のビール博物館、ということだ」おわり)