「白石郷土館」というスペースがある。
この「白石」の地域がどのように開拓されていったか
パネルでの説明が中心となっている。
元々は、その名の通りに
磐城国、白石からの入植者によって開拓が始められた地なのである。
基本的に、このようなパネルがたくさん並べられている。
大型の本を読む、そういう感じだと思えばよかろう。
全パネルを紹介するわけにもいかないので、
抜粋で。
明治初期、現代のような文明の利器が無い時代に、
遠路はるばる北海道まできてゼロから開拓する。
いったい、どれほどの覚悟が要ったことだろうか。
特に、冬の寒さたるや、
東北の人にとっても一段違うと感じられたのではなかろうか。
そんな苦労が、書かれている。
いわゆる「郷土史料館」的な施設には、
その当時の家屋復元や道具が並べられているものであるが
ここにはあまり多くない。
「本のページ」がパネルになっている、
そんな感じの説明が続く。
開拓にも、いろいろな形態があったことがわかる。
白石の隣、厚別(あつべつ)についての言及もある。
アメリカに渡り、牧場経営を会得し、
北海道で酪農を始める……。
現代も、いろいろとすごい人はいるのであるが、
明治期のそういう人材は、ものすごく多いのではなかろうか。
そういう人たちの血と汗と涙の結果、
現代日本があるのであろう。
北海道と言えば、かつては「サイロ」が目立ったのだという。
でも現在は、 牧草ロール をたくさん見かける。
専用の機械があるから、ロールのほうが手軽になっているんだろう。
この郷土館、「展示」としてはそんなに目を引かないかもしれない。
でも先人の功績を辿ると、いろいろと目が開かれる点があって
興味深いことでもある。
昨秋、北海道庁は 先人カード を発行した。
白石郷土館では「佐藤孝郷(たかさと)」氏のカードをもらえる。
地下鉄東西線白石駅のすぐそばである。
いわゆる「観光地」以外に、
こういう場所に寄ってみるのも乙なのではなかろうか。
いろいろな地を巡り、記念としてこんなカードをもらってくるのも
楽しいのではなかろうか。
かつて、いろんな方々が活躍していた
近代文明の黎明期に思いを馳せることができる。
この手のモノには、「転売」がつきまとうのが現代である。
フリマサイトにたくさん出品されているけれど
(ダムカードやマンホールカードも、そうだ)
あんなの買い集めて、何が楽しいんだろうね。
買い集めて、再転売して、ちょっとでも儲けようってんだろうか。
でも、この類は、行ってこそのモノだ。記念物だ。
自分が行かないのに入手するとしたら、
せいぜい知人が行った際の「お土産」くらいが限度だろう。
ワタクシは、そう思う。
ま、それでも買いたい人は、勝手に買えば良い。
それが経済原理だ。需要と供給の法則だ。
でも、たかだか数百円から千円ぽっちの儲けを得るために
各地を巡るなんて、何と非効率。
まっとうな仕事をしたほうが、よほど稼ぎになるだろうにね。
(「白石郷土館」おわり)