設計の時にも、施工の前にも後にも、
天井内を見ないわけにはいかない。
建物には設計図や完成図なるものがあるのだが、
現場の状況を的確に示しているかというと
全然そんなことはないから。
たいてい、「これ、何じゃ?」という、正体不明の管があったり
ルートが違ったり、本数が違ったりするものなのだ。
なんでだろう。
まあ、それが現実なのだから、仕方がない。
さて、とある天井内。
排水管の一部が、
違う材質になっている。
ストラブカップリング で繋げられているところを見ると、
配管が錆びて穴があいたかなにかで水漏れが生じたので
部分的にカットしてつなぎ直したか、そんなところかもしれない。
応急処置には、よく使われるのである。
そういう所が何箇所かあると、
そろそろこの建物の排水系は、全面更新しないとまずいかな、
そういう時期に来ていると言えよう。
でもそうするとカネがかかる。
だから、とにかく応急処置だけで持ちこたえさせる。
そんなビルも、多々ありそう。
既存ビルの評価額って、そんなところも考慮されているのかなぁ。
たぶん、されてないんだろうなぁ。
元の持ち主だって、現状どうなってるか
よくわからないままだったりするんだから、
こんなのを全部ちゃんと調べて、把握して、
将来的な改修費なども勘案して評価額を決める……なんていう手間を
かけているとは思えないのです。
経営難で手放されたビルなんか、
要改修設備ばかりで、
購入額よりも多額の設備改修費がかかってしまうかも。
逆に言うと、既存ビルの購入にあたっては、
天井の中を覗いてみると良いかもしれない。
「この部分、改修費がかかっちゃうから、その分値引きできますよね?」って。
天井の中、ピットの中、パイプシャフトの中は、
必見なんじゃないかと思うんですよね。
(「水漏れ修理の痕」おわり)