2020年03月19日

ポリスチレンフォーム保温材

受水槽廻りの配管が組み上げられた後、
保温材をかぶせているところ。


20031901.JPG


給水の配管には、SGP-VA と書いてある。

水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管 である。



配管用炭素鋼鋼管(SGP)に、ビニル(V)のライニングを施した
そういう製品である。

水道用亜鉛メッキ鋼管を原管としたものであれば、
SGP-VB と書かれる。

色が違う から、配管の切断などでプリント表示が読めなくても
すぐにわかる。


VAは、表面に一次防錆塗装が施されている。

通常はこのまま保温材で被覆するけれども、
錆をものすごく気にするのであれば、更に錆止め塗装をする、
という場合も無いわけではない。



白いカバーは、
見るからに「発泡スチロール」だ。

これを被せて、テープで留めて、外装材を巻く。



20031902.JPG


バルブ廻りをきれいに仕上げるとか
テープを美しく巻くとか、
一般の方々の目には触れないところで
「きっちりとした」仕事をしてあったり、してなかったり。

職人さんの腕の見せ所だ。



通常、配管屋さんと保温屋さんとは全く別の職種であるからして
別々の専門会社に依頼するのである。



どうせ見るようなところじゃないから、
見た目なんてどうでも良い。機能さえちゃんと果たせばいいんだよ。



「日本人の几帳面さ」みたいなステレオタイプな話も
だいぶ過去のものとなったけれど、
「どうでも良い」と言い切る人が、どのくらいいるだろうか。

やっぱり、自らの気分的なものも含めて、
それでもキッチリやってしまうものなんだろうと思う。



もっとも、見た目キタナイと、設備のことをよく知らない検査官であっても
「ここ、もちょっとキレイに直しといてよ」って言えてしまうし、
後々まで「これ、誰やったのさぁ。いい加減っ!」って言われちゃうから
たとい個人の素性は割れなくっても、少々気分が悪い。

だから、程度の差こそあれ、
キレイに仕上げちゃうものなのだ。



この発泡スチロール、
国土交通省の 標準仕様書 では
「ポリスチレンフォーム保温材」と称されている。
(上リンクの平成31年版であれば、P.66)


ロックウールやグラスウールよりも硬いので
カッチリまとまるし、触ってもブヨブヨしない。

ただ、火気には弱いから、ボイラー室内などでは使えない。

うっかり使っちゃうと、消防署のほうから、ご指摘を賜ることになる。



グラスウールよりもお値段が高いから、
設計図ではポリスチレンフォーム保温材が指定されているけれども
グラスウールでやっちゃいました、テヘッ(^_^;) っていう例も
まま見られるのじゃなかろうか。


まあ、公共工事なんかで、お施主さん側がちゃんとわかっていて
厳しい人だったりすると、事前に許可なく勝手に仕様を変えてしまえば
「やり直して下さい」と冷徹に再施工を命じられるから
安易に考えているとヤバいよ。



もっとも、設備工事って、特に改修工事って、
設計上じゃ表現されていないような、追加で費用がかかってしまうような
いろんな「何か」が出てくるから、
そういう時のための「貯金」として指定されたりも
しないわけじゃない。


繊維系のものと違って、水分を含んだりしないから
ピット内なんかで使うには、やはり優れていると言えよう。



「なんで、保温材なんか巻くの?」



確かに、これは給水管。

「保温」は必要なかろう。


でも、内部を冷たい水が流れるので、
そのままだと表面に結露水がどんどんついて
べちょべちょになってしまう。

それが垂れて、周囲を濡らしてしまう。



だから、そうならないように
保温材を巻くのである。

「防露材」という言い方もあって、
給水管、排水管、冷水管などに巻くのは「防露」
蒸気管、給湯管、温水管などに巻くのは「保温」と
言い分ける人もいるけれど
まあ、面倒なのでまとめて「保温」と呼ぶ。



保温されている配管があったら、
「保温材の材質は、何?」
って、気にしてみたら、面白いに違いないのだ。


知らん、って?


なのだったら、なのだ。


きっと、面白いんだいっ。
(「ポリスチレンフォーム保温材」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする