どこかしらに排気ダクトがあって、
それがどのように排出されているのか
建物周囲をぐるりと見渡すとわかったりする。
とある店舗の裏側。
排気ダクトとおぼしき、2本の角ダクトが
下まで立ち下げられて設けられていた。
ダクトをそのまま開口しておくと
水滴や油分が地面に垂れるからなのだろうか、
「受け皿」が取り付けられていた。
このあたりの設え(しつらえ)は、
店舗ごとに結構異なっているものだ。
チェーン店だと、過去の出店店舗でのトラブル事例を参考に
ちょっとした工夫が施されていることもあろう。
「せつび」には、いろんなノウハウが詰まっているのだけれど
なかなかそれらが共有・一般化されていかない面もある。
「秘伝のせつび」を、わざわざライバルに教えたりは
しないのかもしれない。
この業界のスタンダードとも言える 「茶本」 や 「学会便覧」 には載っていないさまざまな要素が、実際の使用にあたっては肝要だったりもする。
「秘伝のタレ」を受け継ぐ鰻店に通って、
自分の舌でその感覚を確かめるように
ワールドカップのスーパープレー映像を繰り返し見て、
戦術や体の使い方を確認するように
タイトル戦の棋譜を繰り返し並べて、
玉形の妙を体得するように
そんな感じで、いろんな建物についている設備をいろいろと眺めて
「なぁるほど、こうしてるのか」
とか、
「えっ……? コレって、アリ?」
とか、
いろんなことを勝手気ままに思い巡らすのが
仕事の肥やしにもなるし、
単純に楽しい事だったりするのだ。
さて、上の画像から、
どんなことがわかるだろうか。
どんな工夫を(言葉は悪いが)盗み取ることができるだろうか。
どんな「うっかり」があるだろうか。
とっても広くて、そっても深い。
そんな「せつび」が、ますます楽しくなるのだ。
(「排気ダクトの出口」おわり)